表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
王子転生! ~王子は王子でも琉球第三王子!~  作者: 高見結
~王子は王子でも琉球第三王子~
74/175

第71話 諭祭

資料不足でかなり創くっちょります。m(._.)m

万暦三年 天正三年 1575年 真三郎15歳 五月

冠船の来沖より四日後のことである。


パーパーパッパッパ!パッバッパッパッパッ!

パーパーパッパッパ!


東の空がやや白みはじめ、紫だちたるまだ日も上らぬ夜明け前、当然琉球時刻(うちなータイム)の一番鶏はまだ深い眠りのなかであるが、久米の天使館の中庭で一斉に大音量の明の行進曲が奏でられ、赤々と篝火に照らされた正門の周囲には既に大勢の見物客が列を作っていた。


冊封使の琉球滞在施設である天使館から久米大門を通る白砂の大通り、明、大和に琉球中の商人が行き交うここはまさに国際的な繁華街。

このメインストリートを冊封使者であることを示す二本の大旗を高々と掲げ、夜明け前に集合し迎えに来た王舅北谷王子朝里に半分寝ぼけてうとうと醜態をさらしつつある金武王子朝公こと真三郎ら王族衆、三司官以下数十名の王府の政府高官らを先頭とし、さらに前後に50人ずつの路地楽隊が早朝の眠気をさます音楽に真三郎が思わず背伸びの運動や、軽く跳躍を始めてしまう希望に満ちそう曲を奏でながらゆっくり徒歩で進む。


列の中央には儀杖隊、屋根付きの神輿に似た乗り物、御轎(ウチュウ)には正副の冊封使が乗り、それぞれお付きの一隊を引き連れる。さらに警固の兵と総勢200名を越える一行は琉球における中華街、那覇の港に浮かぶ浮島で防壁に囲まれた久米唐営から後に葛飾北斎が琉球八景のひとつとして描いた長虹堤とよばれる石橋を渡り、対岸に位置する崇元寺に到着する。


ピーヒャラー!ブーブーブ!

グワァーン!パッパラパッパーパッパ!

「ピィーッ!総員停!」

バンッ!



「お待ちいたしました!ささっ!こちらに諭祭の準備に世子も既に中に!」

門前には出迎え役の役人が二十人程平伏して一行の到着を歓待する。


「ふぁぁ。ふむ、ご苦労ぢゃな、直ぐに祭壇に向かうぞ」

深酒の影響がやや眠たげな正使蕭崇業(しょうすうぎょう)が御轎から差し出された踏み台を降りながら指示を出す。


「そうね、早く終わらせましょう。睡眠不足はお肌に悪いわ。」

朝から薄化粧をしていた謝杰(しゃけつ)は気だるげだ。


諭祭の式典の差配を任された三司官筆頭名護親方良員の合図で石造りの三つの立派な門の中央、明の皇帝の代理たる冊封使と国王しか通ることの出来ぬ扉がギィーと音をたてながら観音開きに開かれる。



ここで琉球の歴史を若干振り返ろう。


琉球の歴史は天帝がアマミキヨ(アマミク)なる創造神を下向させ島々を創ることから始まる。

アマミキヨの願いを受けて天帝が二人の男女を人類の祖として降ろし生まれた三男二女のうち長男の子孫が天孫氏と称して二十五代にわたり琉球を治めたという。

その天孫氏を滅ぼした家臣を討 ち、諸公の推挙により新たに王朝を開いたのが源為朝の子であり、鎌倉幕府を開いた源頼朝とは従兄弟にあたる舜天(しゅんてん)。その舜天の開いた王朝が三代続く。

最後の王、義本(ぎほん)が相次ぐ天災に時の宰相に禅譲したのが英祖(えいそ)の王統で五代で分裂し群雄割拠、三つ巴の琉球三山時代の到来となる。


そして三山を統一した青竜(キョウリュウ○ルー)こと佐敷按司尚巴志(しょうはし)が開いた王朝が第一尚氏王統である。


七代続いた第一尚氏をクーデターで乗っ取ったのが第二尚氏の開祖、金丸こと尚円王(真三郎のひいひいじいちゃん)になる。


琉球の王統は簒奪の歴史でもあるが、ここ崇元寺では舜天を中心に初代琉球国王とした歴代の神主(位牌)を祭り、その権威と正当なる後継としての地位を内外に示す場であった。尚円王こと金丸が尚氏を称したのも冊封し王に封じた明の面子を憚り年下であるはずの先王尚徳の世子として冊封を受けている。まさに経歴ロンダリングの象徴である。


閑話休題


霊徳山 崇元寺

南面する廟堂には二十を越える歴代琉球国王の神主(位牌)が納められ、手前の台には巨大な黒豚(アグー)が様々な熱帯の花に飾り立てられ酒や銀子、絹織物に五穀の櫃といった様々な供物もところ狭しと並べられている。


中庭の中央に置かれた巨大な銅の(かなえ)が中国風の巨大な線香から立ち上る沈香の薫りを周囲に漂わせる。

その対面、西の端に龍や鳳凰が浮き出る絹の白唐衣に黒の帯、冠は被らずに金の(ジーファー)のみを刺した世子、尚永王が跪拜して冊封使一行の入堂を迎えていた。


「世子、永で、あるか?」


「はっ!此度は父、元の諭祭に聖上の多大なる御配慮を頂き、御礼申し上げます。」

頭を下げたままの永(尚永王)が流麗な官話で両手を組んだ跪拜のままで正副使に礼をのべる。


「ふむ、では、早速執り行おうぞ!」

鉦の合図で正装した王舅北谷王子朝里に真三郎、三司官らが王の背後に平伏して並ぶと進行役である司香(司会)が遠く南蛮から運ばれた貴重な香や黄色く染められた紙銭を香炉にくべる。たちまちに火と薫りが崇元寺の中庭に立ち込めるなか銅鑼が鳴らされる。


「帝よりの追悼文である。」

蕭崇業と謝杰が手ずから龍亭と呼ばれる国書を運ぶ駕より金銀で見事に装飾された文箱を取りだし中から一巻の巻物を頭上に掲げた後、近くに控える久米唐営の長史にそっと手渡す。


「では畏れ多きことなれど、聖上よりの追悼文を代読させて頂きます!」

久米唐営の取りまとめ役で通事(通訳)の元締めにあたる久米長史に出世した元請封使の鄭祐(ていゆう)がみごとな声明で漢文の追悼文を読み上げる。


「琉球国王尚元、忠節を重んじ、倭冦に拐われた民を故国に護送すること幾度…………………………………………

………よってここにその死を悼み追悼とす。万暦3年五月、大明皇帝 御名 御璽」


読み上げた巻物を文箱に戻した鄭祐が神主の正前に置かれた台に安置する。


グワァーン!グワァーン!


先王尚元王の葬儀にあたる諭祭の儀式は以上であり、世子 永のみが閉じられた廟に籠り、正副史を酒もない精進料理の質素な朝食でもてなし、日が昇り切らぬ涼しい内に冊封使の一つ目の儀式を終えるのであった。



久米唐営 天使館


「これらは、官窯で作られた名品たぞ?」

クッション替わりに櫃を埋め尽くす香片茶の中から次々と極めて薄く、最高品質の青花の白磁の皿や壺が並べられらていく。

御物城(おものぐすく)の役人に対し明からの役人が声を荒げる。

「し、しかし銀子200貫は法外にございます。この値ではとても、とても」

でっぷりした目利きの役人の大量の汗をぬぐう手巾はもうびちょびちょ流れる汗は琉球の暑さ故ではない。

「熊の胆に、虎皮、朝鮮人参に、これは?竜骨?こ、このような高価な薬を購うことは……………」

薬種の箱を改め、中身を記録していく役人の声が震える。

「何をおっしゃる。先王は若くして病に倒れたと聞くぞ?新王の為にとこれほど貴重な薬種を明中から取り寄せたのだ!銀子300、びた一文まからんぞ?」

何をおっしゃる。先の皇帝が怪しげな精力剤や、仙丹を服用して後宮で腹上死したことは箝口令をしいても琉球にまで伝わっているぞとの言葉をぐっと飲み込んでいるのは天使館付きの程伯英、樽金の兄である。

「絹織物はこれだけで?」

進貢や冊封時に大量に積まれるはずの絹織物は申し訳程度の量である。

「布帛は品不足でな、売値もかなりあがっておる。生糸は大量に仕入れておるが、琉球で織らせればよかろう?」

櫃には大量の生糸が入っている。


天使館に運ばれた冠船の荷の内直接琉球国王に下賜する品は別として、積み荷の殆どは琉球王府の一括買上である。その為、メーカー希望小売価格もない持ち込まれた品を互いに評価しながら商品の卸値を決める取引を評価(ハンガー)取引といい琉球からは請封使や柔遠駅の駐在官より欲しい品や大和に高く転売出来る品を伝えてる努力が図られていたが、中には使い道に困る不良在庫のような高額な品が紛れており、天使館や御物城の役人達が商品の値について数ヵ月に渡る折衝を続けることもあったのだ。



久米唐営 程羽友屋敷


天使館で王府が一括して購入する商品や万暦の帝より琉球国王への扮賜品のうち、いくつかは払い下げられ、天使官の隣の国営デパート、リウいや親見世(おやみせ)にて即売さる。

大和から今回琉球に買い付けに訪れた商人の目的は倭冦あたりも持ち込む民生の商品とは格が違う。後に利休らにより侘び寂び、国焼の茶器に独特の美が見出だされる前の事であり、万金を積み、やがて一国一城に比する価値がつけられるのが皇帝や後宮、一部の高官そして外交用にのみ許される官窯の唐物であった。


「首尾はどうだ?」

疲れきった表情の伯英に茶を勧めながら真三郎が尋ねる。

「はい、まず、絹織物は希望する量の仕入はやはり難しいようです。しかし生糸は大量に、浦添で作られた生糸とはやはり質が違います。」


「一枝姐には悪いが仕方ないな。」

琉球での養蚕技術はまだまだ、明の生糸とは質が違いすぎる。浦添王子に嫁いだ異母姉と甥っ子の顔を思い浮かべる。

「金武でも鍾乳洞を使って年に二回、蚕が繭を作るようになり効率化しましたが真綿にしか………」

世界遺産の番組でみた真三郎の記憶から鍾乳洞を使って年二回産卵させることは確率出来した三良達ではあったが品質の向上はまだ出来ていなかった。

「まぁ、いい。生糸は買い入れて、そうだなぁ猿波(さるふぁ)屋から大島や徳之島でも織らせてみるか?向こうも千歯こきや芋、砂糖黍の導入で余裕が出来るだろうし優れた織手を確保出来るだろう。」


「そうですね。絹織物はやはり大和の商人に、」

親見世での即売会の成功だけでなく、今後の取引からも大和の商人に買い付けに来てもらうには満足感を与える必要があると伯英が主張する。


「そうですね。対価となる銀はもちろん、扇子や漆器、刀等も大量に持ち込んでましたので資金は十分。さらに神屋、油屋、茜屋、組屋といった先年に手形引き受けの約束を致した商家の多くが上限に近い手形を持参しております。」

樽金が卯屋宛の手形一覧を差し出す。

「「ほう!」」

覗き込んだ羽友と伯英が大和商人の軍資金を見て高額な品の即売会の成功を確信して顔を綻ばせる。

「薬種はどうか?」


「朝鮮人参は博多の商人が直接朝鮮から仕入れておりますし、熊の胆は大和でも取れますので………」


「ちっ、」

思わず舌打ちする真三郎。

「一応高い薬種を売るには医書や薬書が必要であること、同行している医師に弟子として琉球の医師をつけさせれないか要請しております。」


「それからこちらを!」

伯英が懐から一枚の折られた紙と後に置いてあった木箱を差し出す。

「ほう!注文道理だな?」

折られた明は徽州の最高級の澄堂紙。右には明の年号に日付、そして今回の冊封使により琉球国王尚永王に下賜され一度は琉球国王の御物になったこと、それを払い下げることが記されており、琉球国王の御璽や、割印が押されている。

左には御物のサイズや図柄、青花雲龍葡萄菊型皿といった名前まで記載できるようになっていた。

「こちらは仮のものですが、箱の裏にもさらに裏書きをしまして、御物の価値を高めようになります。」


「箱に説明書は大事だよ。箱のあるなしで値段が変わると鑑定士が言ってたしな。」


「鑑定…士?」

怪訝な顔の伯英ではあったが父よ弟の表情にスルーする。どうやら空気の読める男のようだ。


尚元王の御世に真三郎が提案したアイデアの一つである親見世でのヤ○ー風オークションが開催される予定であり、箱書に証書をつけることでいくらかでも付加価値をつけようとしていたのだった。

キョウリュウブルーが尚巴志物語をやったとか。

ローカル放送みたいなんですがどうにか見る方法ないかな?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ