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王子転生! ~王子は王子でも琉球第三王子!~  作者: 高見結
~王子は王子でも琉球第三王子~
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第64話 旅クェーナ


真三郎、真牛、飛漣の乗船した馬艦(マーラン)船、告天号が金武湾の沖合いで突然の嵐に会い行方不明になったとの急報が建設中の鴉那(あな)御殿に届き、留守居のかんジィと三良が右往左往の混乱の極みに達していたおり

「来るよぉ!」

厨屋からひょいと顔を出したかめオバァが不意の来客を告げてから一刻


今帰仁より真三郎のをなりであり、三十三君の一人、今帰仁ノロ阿応理屋恵のおババの名代も務める神女(ノロ)の馬が早馬に騎乗して恩納の鴉那御殿に急ぎ訪れた。


「あいっ!やっぱり来たねぇ!」

芋を蒸かしていたオバァが顔をだす。

「これは真鶴(かめオバァ)様。流石にお分かりでしたか?」


「オバァに解るのはお客さんの来ることぐらいさぁ。それより、かんジィたちがまちかんてぃしてるさぁ、さっ早くいかんね。」


「う、馬様!金武に来られたのは、まさか真三郎様に!」

琉球では政治には直接関与しないものの働き者の女衆、ことに神に仕える神女は聞得大君が王と同格であるように高い地位と権力を保持しており、真三郎のをなり(霊的守護者)である馬は家宰であるかんジィより上、真三郎に準じた扱いである。

「安桓様ご安心を。真三郎様は御無事です。」

馬は真三郎の首にかかる獸型勾玉の組紐をに加えた髪の一房を切り取った側頭部と対の勾玉である小勾玉の首飾りを握りしめる。


断言する馬にかんジィと三良の顔にほのかに喜色が浮かび、かんジィは腰が抜けたようによろめく。


祭政一致の琉球王国では琉球神道のシャーマニズム、をなり信仰の権威は絶大であり、実際今帰仁から早馬で駆けつけたタイミングから見ても金武の番所よりも早く此度の異変を察知していたことが明白であった。


「御身体は御無事ですが…………此度の遭難、急な嵐。オババ様の見立てでも真三郎様に呪い、それもかなりの霊威(セジ)の高い者か、邪悪な神の祟りか……………」

声を潜めた馬は慎重に言葉を選びながら二人に厳重注意を促す

「呪い…………」


「はい、御無事の帰還を祈願するには私だけでは力不足です。もう農閑期に入ります。真三郎様と縁のある者、間切を上げての『旅クェーナ』で祈願する必要があります。」


「ああ見えて金武がこれ程豊かになったのも真三郎様のおかげなんだ、無事帰還が叶うなら………俺に出来ることならなんだってやります!」

金武の中では比較的裕福な漢那村の大屋子の子息であった三良ではあるが、山がちで大風や干魃の度に子供を間引いたり餓えの余り毒のある蘇鉄の実を食し苦しむ村人を見てきた。

真三郎が金武王子となり行ってきた内政チートの数々に一番感謝していたのも彼であった。


「では、まず首里の池城安李様、久米の程羽友様にそれぞれ安心するよう文を。それから三重城(みえぐすく)の普請場の程亮成(樽金)様には王命を受けて進めている普請ですから今は滞りなく進めるようにとも!」

三良の決意に頷いた馬が矢継ぎ早に指示をだす。

「うむ、そうじゃな。安棟も含めワシが書こう。」

甥っ子三兄弟、特に三司官の安棟への文をかんジィが引き受ける。

「では、可良(ありよし)(三良)様には、『クェーナ』の準備を!」

「安桓様には、他に金武間切の全ての村のノロに使いを、文が届きしだい各村の全て拝所で御無事での帰還を祈願し、神衣の巫女衣装で鴉那(あな)御殿に召集と!」


「はっ!」


「卦によると、会場は……向かいの万座毛がよろしいでしょう。首里から縁者の、真三郎に命を救われ縁を得た二人が参るのは……四日後、私もそれまでこの鴉那御殿に新たに開いた烏森(からすむい)御獄で潔斎を行います。五日後に万座毛で!」

馬は小勾玉を握りしめつつ対岸の万座毛を指差す。




五日後 真三郎達が遭難して一週間 万座毛


東シナ海を見下ろす隆起珊瑚の断崖、御万人(うまんちゅ)が座るに足ると称えられた芝の原には金武間切の総人口七千人、その約半分にあたる三千人もの老若男女が詰め替けていた。


海を望む広場には三良らが徹夜で組み立てた祭壇、その両脇には桟敷、そして高さ十尺はある井形にうず高く積まれた薪の山が三十ばかり。


ガーン!ガーン!ピィーヤァ!

グワァーーン!グワァーーン!

集まった群集が左右に綺麗に分かれる中をトウツルの草冠に大麻の神衣を身に纏い今帰仁ノロのオババ様より借り受けた水晶の数珠を手にした馬を先頭に金武間切中のノロ総勢20名に、首里より駆けつけた恩戸(うみとぃ)嘉樽(かたる)も巫女衣装で列の後ろにつきそい、厳かに祭壇の周囲に整列。続いて鐘や銅鑼、鉦に三線、ラッパ太鼓や、鼓を奏でる楽士が左右の桟敷に並ぶ。


「金武間切の衆よ!」

祭壇の前に立つ馬の声が響く。

「承知のとおり、金武王子、朝公殿下の御座船、告天号が金武湾の沖合いにて嵐に会われたのが七日前のことじゃ!」

「これも殿下のをなりである私の、私の力不足のせいである。

じゃが、今帰仁ノロ、阿応理屋恵様の占でもをなりである吾の繋がりでも御無事にあらせられる。」

対の小さい勾玉の首飾りにそっとふれる馬

「殿下のお戻りになられるまで、ここ、万座毛にて、皆様のお力添えで『旅クェーナ』を執り行いたい!」


「殿下の為じゃぁ」

「火之神さぁの為に!!」

「毎日、芋を食う旅に感謝しておりますだぁ」

「ハブに噛まれて足の悪いうちらにも仕事を下さる。」

「税も安いし、地割も公正じゃった!」

「なにより砂糖にウコン!」

「子供が生まれると米や、石鹸、布を頂けるなんて金武ぐらいじゃあ!ほんにありがたやぁ」

王子(ひとり)金武間切(みんな)の為に!金武間切(みんな)王子(ひとり)の為に!」

「皆!踊るべ!踊んべ!」

「おう!倒れるまで祈りながら踊んべ!」

牛の右手が上がるねを合図に五ヶ所の薪の山に火がつけられ巨大なキャンプファイアの呈をなす。

「さぁ、殿下の御無事を祈願して、踊ってたもれ!」

三線の旋律に会わせて太鼓や、鉦が鳴る。

祭壇の上には榊の枝を握り、拝み始める馬、後方には恩戸と嘉樽が控え。周囲には生なりの神衣に鉢巻きをしたノロ達が神歌を不思議な旋律のアカペラで謳い始める。

「ムラヤー ♪ゥンジ クェーナ ナライガ ♪チュン スイヌ ブンカサイヌ ♪クェーナー ディッパ ヤン!」


先程まで息をのむ音や眼下の岩場を波が洗う音が上まで聞こえていたのが嘘のように、三千人の領地民が足を踏み鳴らし輪になっていつ果てるともなく踊り始めるのであった……………。



時は遡り、漂流翌日、うふあがり島 南の島


「牛兄ぃ!あそこからなら登れそうだ!」

告天号から下ろされた小型の荷下ろし船で近づいた飛漣(フェーレン)が崖の一角を指差す。

「いけるか?飛漣!」


「まかちょんけー!」

南側のうふあがり島を半周しても上陸可能な浜は見つからず、やむを得ず僅に角度のついた断崖を登ろうとしていた。


飛漣の釣竿が50メートルはある崖の上を捕らえ、軽業師の様に飛漣が上陸、結んだ綱を手に真牛、二人の船員が後に続く。


「真三郎さまぁぁぁあ!周囲を確認しますのでぇぇ!暫しお待ちをぅ!」


告天号から四人が登るのをゾットしながら眺める真三郎。

「な、なぁ。俺は酒でも…………」

崖を登るより船に残りたいと弱音を吐くびびり。

「舵の補修中の揺れはこの程度では御座いません。座波様(真牛)がよい登り口を探しますのでお待ちください。」

南風に対し風下の島影になる位置に停泊していても波のうねりはひどく前後左右に揺さぶれ久しぶりのひどい船酔いに死に体である。

「ううっ…………orz」



風もうねりも落ち着く夕凪前

飛漣達の上陸ポイントから300メートルは離れた場所から狼煙が上がる。


「どなどなどなーどーなーつられていーくーよー」

崖上には綱でがっしりとほどけぬよう菱形に縛られ半ば荷物の様に吊り上げられた真三郎が意味不明な歌をうつろな目でつぶやいている。

服が濡れていたのは波の飛沫に違いない。そう、間違いない真三郎の名誉にかけて。


「ま、真三郎様?」


「ううっ、こ、怖かったぁ。お、落ちそうで、し、死ぬかと………」

生まれたての小鹿の様に足が震え半べそ状態の真三郎が真牛の差し出した水を飲んで一息をつくと下半身の冷たさに気付くと残りの水をそっと服にこぼす。


「真三郎様。落ち着かれました?」


「あ、ああ。しかし、ここは?」


「あちらから島の中央が………」



現在の南大東島 沖縄本島から見て、太陽(てぃだ)の昇る神の島、久高島。その神の島から東に300キロ、僅に南にずれるが、まさしく夏至に太陽が昇る方角にうふあがり島はあった。


南太平洋ニューカレドニア付近から年に五センチから七センチの非常にゆっくりとした速度で太平洋プレートに乗ってやって来た、まさに天国に一番近い島(ニューカレドニア)の欠片である神秘の島。


ピュー!


「へっ?」

眼下に広がる光景に絶句する真三郎。

真牛達に導かれ隆起珊瑚の岩場と海岸性の植物群落の藪を抜けるとそこから見えたのは山、ではなくクレーター状に陥没した風景、中心部には木々に覆われた湖すら見える。


「こ、これは隕石の?ま、まさか!みつは!みつは!………………ちっ!黄昏(カタワレ)時じゃないと、駄目か、」

未だ船酔いの影響で足元のふらつく真三郎がフラフラと外縁部を手を伸ばしながら混乱して歩く


「と、殿様ぁ」

「朝公様は一体、」

「真三郎様。吊られたのが余程怖かったのか…………真三郎様。あの様に島で飲み水は手にはいりました。告天号への水の補給は我らがやりますので、こちらでしばし御休みください。」

生暖かく真三郎を見つめる八つの瞳。


「ああ。わかった。少し横になるわ」

誰かと入れ替わりたいぐらい真っ赤になり、恥ずかしそうな真三郎は海風の当たらない場所を少し切り開いて葉っぱを敷き詰めただけの粗末な寝床にさっさと横たわる。


真牛達が手慣れた様子で鉈をふるいクバの葉等で夜露を防ぐ屋根が葺かれ、集められた小枝で火が焚かれる。


「明日は島を探索しまして簡単に降りれる場所なども探しましょう。真三郎様はゆっくり御休み下さい。」


海底火山の周囲に出来た環礁は大陸プレートの移動により沈んだ本体の火山を覆って成長し、さらに海面に顔を出しては深海に沈むという浮き沈みを繰り返した島は深海の水圧で固くしまり、周囲を断崖絶壁に囲まれた隆起環礁という独特の形状を成しており、島の中央部が窪み雨水の貯まった池があるドーナッツ型の島であった。



2回見ました。



※君の名ネタはタブーやったのかブックマークがめちゃ消えとる。


次は控えめにしまーす!


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