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所有物

 昨日は宿屋に着くと、ベッドが二つある部屋を借りた。

 俺一人と、フィーナとリゼットに別れてとこく。

 リゼットを別の部屋に寝させて逃げ出したら困るからだ。

 おかげで、昨日はフィーナと愛し合う事ができず、悶々とした気分で朝を迎えた。

 早く何とかしなければ。


「じゃあ、今後のことを相談しよう」

「ご主人様、朝のキスは……」


 フィーナが遠慮がちに聞いてきた。

 俺はちらりとリゼットを見る。

 さすがに見せつけるのはまずいよな。

 リゼットは不思議そうな顔で俺を見ている。


「ああ、また今度な」


 フィーナが落ち込んでしまった。

 すまないフィーナ。


「まず、リゼットは俺達と一緒に冒険者になるということでいいか?」

「わざわざ聞いてくれるなんて優しいご主人様ね」

「ご主人様はとても優しい方です」

「俺は強制するのが嫌いでな」

「ところで、いつもそんな堅苦しい話し方しているの?」

「どういうことだ?」

「もっと肩の力を抜いて喋ってもいいと思って」

「ご主人様は、肩に力を入れて話してたんですか?」


 鋭いな、確かに物々しい話し方はこの世界に来てから使っていた。

 洞察力から見るに、リゼットの実年齢は相当高いんだろうな。

 まあ、それについては、パーティーに入れればすぐわかる。


「フィーナの前でも、そのしゃべり方だったならそれでいいわ」


 咳払いをしてから続ける。


「では、改めて聞くが冒険者になるということでいいな?」

「ええ、もちろんよ」

「なら、パーティーに入れよう」


 冒険者カードを持って「パーティー追加、リゼット」と唱える。

 リゼットも「入ります」と答えた。

 冒険者カードにリゼットのステータスが追加される。



リゼット 47歳 女 LV 43

ジョブ ネクロマンサー

HP 184

MP 360

スキル ファミリア リアニメイト サモン・ゾンビ サモン・スケルトン サモン・ゴースト サモン・ジャイアントスケルトン クリエイト・ゴーレム サモン・ファイアーエレメンタル サモン・ダークエレメンタル

装備 ソウルワンド スピリットローブ シールドブレスレッド 精神の指輪 魂魄のネックレス



 レベル43かやはり高いな。

 そして、年齢47……。


「えー、リゼットさんは……」

「なんで、突然さん付けになるのよ」

「えー、リゼットはどうして子供の見た目をしているのでしょうか?」

「敬語もやめてもらえるかしら」


 どうも、日本文化の影響で年上と考えると敬語になってしまう。

 よくよく考えたら47歳って俺の母親とあまり変わらないんだよな。

 いやいや、それについて考えるのはやめよう。

 見た目は子供だ。


「すまない……。なぜ子供の姿をしている」

「30年前に魔法の実験で事故を起こして、それから体の成長が止まったのよ」

「30年前ってことは、17歳の時から年をとってないということか」

「そうよ」


 17歳?

 リゼットを見る。

 目は銀色で、同じ銀色の髪を地面につくほど長く伸ばしている。

 身長は140cmぐらいだろう、胸もお尻も発達していない子供体型だ。

 顔も中高生の女子ってよりは、小学校高学年の少女といったほうが正しい、ふっくらとした子供の顔つきでクリクリとした目が可愛らしい。

 17歳と言ったら、フィーナと同じ年だ。

 豊満なフィーナと比べたらあまりにも違いすぎる。


「どう見ても、12歳より下にしか見えないのだが」

「昔から幼い体だと言われているの……」


 リゼットはすこし目線をおとしてつぶやいた。

 体についてコンプレックスがあるのか。


「すまない。つまらないことを言った」

「ずっと言われている事だからなれたわ」


 つまり、リゼットは実年齢は47歳で、肉体年齢は17歳なんだが、見た目は12歳ということか、ややこしい。


「年齢の話についてはわかった。次は、今までの生活についてだが、どうやって暮らしていた?」

「農作業とか動物を狩ったりとかね」

「随分素朴な生活をしてたんだな」

「ゾンビやスケルトンを使えば自分でやる必要はないわ」


 なるほど、アンデットを労働力として使ってたのか、そういえばそんなこと言ってたな。


「あのダンジョンに一人で暮らしてたのか?」

「そうよ」


 うーん。それについては深く触れないほうがいいかな。


「ご主人様は、若いのに細かいことに気が回るのね」


 俺の表情を見て遠慮しているのを察したらしい。

 さずがに年の功か。


「事故が原因で村を追い出されてから、色々巡ったんだけど、うまく行かなかったの。

 それで一人で生きることにしたってわけ」


 やっぱり重い話だったか。


「俺らと過ごすのは大丈夫か?」

「もちろんよ。あたしはご主人様の所有物ですもの。

 すごくいい人で安心したわ」

「わかった。では、今度はこちらの情報を見せる番だ」


 そう言って、冒険者カードを渡した。


「あたしのこと信用するの?」

「ああ、話していて信用できると感じた」

「ありがとう……」


 リゼットは涙ぐみながら小さい声でお礼を言って、冒険者カードを受け取った。


「50レベル!?」


 あ、やっぱりそこに反応するのね。


「23歳であたしよりレベルが高いなんて信じられない」


 言ってることがフィーナと同じだぞ。


「あたしが負けるわけね。

 ヒーローなんてジョブも聞いたことがない。

 ご主人様は何者なの?」


 やっぱりレアなジョブなのか。


「俺はフィーナに出会う6日前以前の記憶が無い。

 その代わり、前世らしき記憶がある」


 フィーナに話した内容を簡潔に伝える。


「気がついた時に、英雄になる人だって天啓が下ったそうですよ」


 余計なことを言わないで欲しい。


「ふーん?」


 リゼットは俺の顔を真剣な目で見つめる。

 嘘だってバレるかな。

 背中に冷や汗を流しながら平静を装う。


「ご主人様がそう言うのならば、そうなのでしょうね」


 何かを察したようだが、追及はしてこなかった。

 やっぱりバレたか。

 さすが年の功。


「まあ、そういうことだ。

 この世界の知識を手に入れながら、冒険を続けている」

「わかったわ」

「次は住むところだな。

 今までは宿屋に泊まっていたが、3人になったしきちんとした家を借りたい。

 将来はパーティーメンバーも増やすかもしれないしな」

「それなら、あたしの家に住めば?」

「あのダンジョンか?」

「あのダンジョンよ」

「それはダメだ。普通の冒険者の暮らしがしたい」

「いいとこなのに」

「二人共どんな家が良いかな?」

「私は家の事についてはよくわからないので、ご主人様の意見に従います」

「あたしもよく分からないわ」


 そういえば、フィーナは盗賊のアジトで暮らしていたのか。

 リゼットも長年ダンジョン暮らしだしな。


「うーむ。寝室をどうするかだな」


 これは重要な問題だ。

 これからもフィーナとは毎日夜を共にしたい。

 だが、リゼットの扱いをどうするかが難しい。

 二人でイチャイチャしている中、リゼットだけ蚊帳の外と言うのは気分が悪い。

 そんなことを考えていると、リゼットがまたも真剣な表情で俺の顔を覗き込んでいる。


「ご主人様、色々聞いていいかしら?」

「ああ、もちろんだ」

「ご主人様はこの世界について知らない事が多い?」

「そうだ。前世の常識と違うので戸惑うことも多いな」

「フィーナも元は犯罪者で、ご主人様の所有物?」

「はい。私は元は盗賊団にいて、ご主人様の所有物になりました」

「ご主人様とフィーナは毎朝キスをしていて、夜を共にしている?」


 うぉ!

 いきなり直球で来たな。

 でも、さっきまでは子供の可能性もあったから言い難かったが、47歳なら問題無いだろう。


「そ、そうだ」

「昨日の夜と、今朝のキスは、あたしが居たから遠慮していた?」

「うむ。リゼットの年齢も不明だったし、あまり見せるものでは無いと思ってな」


 不意に、フィーナが「あっ」と小さい声を出した。


「ご主人様は勘違いをしているみたいね」

「そのようですね」


 リゼットの言葉に安心したようにフィーナが同意する。


「どういうことだ?」

「あたし達は、ご主人様の所有物です。

 なので、仮にあたしが子供だったとしても、ご主人様が遠慮する必要なんてなかったの。

 もちろん所有物と言っても、過度に苦痛を与えるたり殺したりする事は法律で禁止されてるわ。

 それについては問題ないわね。

 むしろ優しすぎるぐらい」

「そうだったのか」

「フィーナは、昨日一緒に寝てくれなかったことや、今朝キスしてくれなかった事で、ご主人様をあたしに取られたと思って悲しんでいた。

 そうよね? フィーナ?」

「え! そうなのか?」


 今朝、落ち込んでいたのは、そういう意味だったのか。


「はい。今後、ご主人様と、その……キス……とかできないのかと思い悲しくなりました。

 でも、そうでは無いようなので安心しました」

「すまない。誤解を与えてしまった」

「いえ、ご主人様の優しさを、私が勘違いしただけです」

「あと一つ、いえ、二つ言いたいことがあるの」

「なんだ?」

「一つは、この国では、複数人の妻をめとることはめずらしいことでは無いの。

 たしかに、普通はお金の問題などで難しいけど、貴族や力のある冒険者は、沢山の妻を持つことが美徳とされてるわ」


 確かにそれも勘違いしていた。

 ここは日本とは違う。

 男がモンスターと戦って死ぬことも多いだろう。

 そういった中で、強い子供を生むことは種として重要な事だ。

 そうなると、知力や権力を持っている貴族や、肉体的な強さを持っている冒険者は子供を多く残したほうがいい。


 つまり、ハーレムは合法。

 異世界バンザイ。


「なるほど、確かにそのことも知らなかった。

 教えてくれてありがとう」

「二つ目ですが、あたしはこんな体ですが……、生理はあります」


 リゼットは少し顔を赤くしながらも、真面目まじめな顔だ。


 つまり、しても大丈夫ということだよな?

 まさかリゼットから言ってくるとは思ってなかった。

 いや、言われなかったら手を出しづらかったのも確かだ。

 そういう遠慮をしないために言ってくれたのか。

 フィーナも優しいがリゼットも優しい。


「もちろん、どうするかはご主人様が決めて下さい」


 しかし……。

 つい、フィーナを見てしまう。

 フィーナは俺の目線に気づいた。


「さっきも言いましたとおり、ご主人様が遠慮する必要はありません。

 ただ、平等に扱ってくれると嬉しいですが」


 フィーナからもOKがでた。

 なら何も悩むことは無いのか。


「わかった。二人共、言い難いことを教えてくれてありがとう」


 フィーナにキスをして、その次にリゼットにキスをする。


「あっ、初キス……」


 リゼットがそう言って頬を真赤に染め唇に手を当てた。

 な ん だ と!?

 47歳でファーストキス!

 俺がびっくりしているのを見てリゼットが説明しだした。


「丈夫な子供が産めそうにない、あたしみたいな幼い体の女性は男に相手にされないの……」


 それで色々とつらい思いをしたのか。

 体は成長しなくなってしまったから希望もない。

 だから、ダンジョンに一人でいた。


 俺はリゼットにもう一度、ゆっくりと長いキスをした。


「フィーナ、家はどこで探せばいい?」

「冒険者ギルドで家の紹介もしていたはずです」


 朝飯を食べた後、冒険者ギルドに行った。

 家は驚くほどあっけなく見つかる。

 冒険者ギルドが貸し出している家が空いてたためだ。

 冒険者用だけあって標準的な冒険者チーム人数の6人を住むことを前提にしていて、備え付け家具も揃っている3LDK。

 1部屋に2つずつベッドがあるが、動かせば1部屋を寝室にすることも出来るだろう。

 場所も冒険者ギルドから100メートルと近く、即日入居可能ということですぐに入居した。

 家賃は一月に金貨1枚で、年間契約で金貨12枚。

 入居手続きをして、宿屋から私物――洋服ぐらいしか無いが――を運び、寝室のベッドを繋げるように移動させれたら完了だ。

 日が暮れる頃には引っ越しは終わっていた。


「すぐに見つかってよかったな」

「はい」

「なかなか、いいところね」

「ちょっと早いが寝る準備をするか。

 体を拭きたいが、お湯はどうしたらいいかな?」

「魔法を使って作ることも出来るわよ。あたしは使えないけど」

「薪が置いてあるので、井戸から水を汲んで作りましょう」

「ああ、今日のところはフィーナに頼む。

 生活に必要な道具や魔法なんかも揃えないとな」


 井戸から水を汲んできて、薪で火をおこし水を火にかける。

 これは思ったより大変な作業だ。

 早めに魔法を買ったほうが良さそうだ。

 しかし、残金が銀貨64枚に銅貨77枚。

 明日は、金になる仕事をやろう。


「リゼット、夜を共にする前に、俺がお前の体を拭こうと思うがいいか?」


 体を拭かせてくれないフィーナに対して、ちょっと意地悪な心がもたげる。

 横目でフィーナをちらっと観察。

 フィーナがちょっと困ったような嫉妬した顔をしている。

 うむ。かわいい。嫉妬しているフィーナはかわいい。

 なんてことを考えていると。


「ご主人様は何をしてもいいと言いましたが、フィーナみたいないい子をいじめちゃダメよ」


 リゼットにたしなめられてしまった。

 さすが年の功。


「フィーナ。ごめん。ちょっと意地悪したくなった」

「あの、はい。なんというか、うれしいです」


 うれしい?

 いじわるされるのが嬉しいのか?

 フィーナはMなの?


 俺が不思議そうな表情をしているのを見て、慌てて訂正した。


「いえ、意地悪されるのが嬉しいわけではないです。

 ご主人様が、私の事をちゃんと気にかけているというか、好いてくれているのがうれしいです」


 なんていい子なんや。

 思わず抱きしめて頭をなでなでしてあげた。

 そしてキスをする。


「えーと、今日はリゼットと初めてなので、二人きりになっていいか?」

「もちろんです」

「後で昨日できなかった分もかわいがってあげる」

「はい、楽しみにしています」


 フィーナは、頭を軽く下げた後、寝室から出て行った。


「さて、改めて、リゼットの体を拭こう」

「ご主人様は、そういうのが好きなのね」


 ハイそうです。


「リゼットは初めてなんだよね?」

「そうよ」


 恥ずかしさと、「悪い?」と言うような気持ちが混ざった返答。

 

「俺が初めてでいいのか?」


 フィーナの時には、夢だと思っていたので、流れで初めてを奪ってしまった。

 が、今回は違う。

 きちんと意思を確認しておきたい。


「今朝も話しましたが、あたしに興味を持つ男は今までいなかったの。

 それに、昨日からの2日しか話して無いけどわかる。

 ご主人様は、とても頭が良くて優しい人。

 今みたいに私の気持ちを心配してくれる。

 だから、ご主人様にもらってほしい」

「わかった」

「むしろ、ご主人様はいいの?

 あたしみたいな見た目が小さくて、でもあなたより随分年上の女性とするのは気持ち悪くないかしら?

 ご主人様は優しいから、あたしの為に我慢してくれているのじゃないかと心配だわ」

「確かに、年齢の話を聞いた時には、なんというか……微妙な気持ちになったけど、俺も話していてわかった。

 リゼットは優しくて賢くて、純粋で素敵な女性だと思う」

「ありがとう」


 リゼットは笑いながら涙をこぼした。

 涙を拭いてあげてキスをする。

 そして、服を脱がすと、少しぬるくなったお湯を使い、丁寧に体を拭いていく。

 やらしい気持ちではなく、リゼットの体についた悪い過去を拭い去るように清めていく。

 拭き終わると、ベッドに行き愛しあう。

 優しく壊れないよう丁寧に。



 リゼットと愛し合った後はフィーナと愛し合う。

 フィーナとは昨日の分を取り戻すように、情熱的に愛しあった。



本格的なハーレム生活が始まります。


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