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四人とのデート(中編)

 えーと、アレは何処においてあったかな?

 女性陣がいつものアクセサリーショップでワイワイと商品を眺める傍らで、俺はお目当ての物を探す。

 あったあった。

 それを見つけると、すぐさま購入してクラリーヌの元へ。


「コレをつけて欲しいんだけど」

「何よコレ?」


 俺が手渡した指輪をかざして不思議そうに眺める。

 銀の指輪は状態異常防御力アップ効果と、魔法抵抗力アップ、ついでにアンデットに対して攻撃力アップと防御力アップの効果がある。

 どれも微々たる効果で、はっきり言って値段の割にあわない物ではある。

 だけど、クラリーヌに手渡したのは、装備品とい意味じゃない。


「俺のチームメンバーには付けるもらってるんだ。いわゆるメンバーの証だな」

「ああ、前から気になってたのよね」


 クラリーヌはフィーナ、リゼット、ティアの右手を順々に眺めていく。


「でもさ、みんなを見るとメンバーの証って感じじゃないわよね? 薬指につけてるし」

「まあ、一応薬指につけてもらってる。クラリーヌも良かったら右手の薬指に付けて欲しいんだけど……」


 なんか妙に遠慮がちに言ってしまう。

 他の三人は素直っていうか、従順だからあんまり躊躇はしなかったけど、クラリーヌ相手だと断られたらどうしようとドキドキする。


「アンタって変な所で大胆よね」


 呆れながらも、素直に右手の薬指にはめてくれる。


「これで、正式にメンバーで、その……アンタの恋人ってことよね?」

「まあ……そういうことになるかな……」

「アタシのこと大切にしてくれるよね?」

「も、もちろんだよ」


 なんだか、ものすごい照れくさい。

 告白した時の事を思い出して更に恥ずかしくなる。

 クラリーヌも同じなのか耳まで真っ赤だ。


「とっ、ところで、なんか良いアクセサリはあったか?

 欲しいのが有るなら買うけど」

「そっ、そうね。ユウキに選んでもらおうかしら」

「え? 俺が? 俺はセンス無いからな」

「いいの、アタシ達がいいと思った中から選んでくれればいいから。

 みんなもユウキが選んでくれたらきっと嬉しいわよ」


 手を引かれて付いて行くと、ティアがフィーナとリゼットに似合うものを懸命に選んでいた。

 フィーナもリゼットもティアの熱心さに少し困ってたようだが、俺が選ぶとなると張り切りだす。

 クラリーヌの言うことは合っていたようだ。


 気に入った物をいくつか買った後は後は、洋服屋に向かう。


「好きな服を選んでいいぞ」

「私は今ある服で良いです」

「えー、せっかく綺麗なメイクしてるのにもったいないじゃない」

「そうだにゃ、フィーナは可愛いんだから、もっとおしゃれをした方が良いにゃ」


 今朝と同じように、ティアとクラリーヌに両肩を掴まれて連行されていくフィーナ。

 こりゃ、しばらくは着せ替え人形の様に遊ばれるな……。


「あれ? リゼットは良いのか?」

「あたしはいいわ。あんまり似合う服がないし。

 それに、前に作ってもらった服……。

 ご主人様も気に入ってるんでしょ?」

「すごい似合ってたな」

「だから、新しい服はしばらくはいらないわ。

 そ・れ・よ・り、ご主人様こそ同じ服ばっかりじゃない」


 はっきり言って俺は自分の服には興味が無い。

 ティアが選んでくれた服を着てる状態だ。

 そんなに数も持ってない。


「あたしが選んであげるからコッチいらっしゃい」

「ええー、いいよ面倒くさい」

「いいから来なさい」


 リゼットに手を掴まれると男服売り場に連れてかれる。

 これじゃまるで、母親に服を買ってもらう中学生だ。


「これなんか似合いそうね。さっ、試着してみて」

「えー、試着なんかしなくても適当でいいよ」

「い・い・か・ら」


 うう……。

 珍しく押しが強い。

 仕方なく、しぶしぶと試着を試していると他の女性陣にも見つかってしまった。


「面白そうなことしてるじゃない」

「ご主人様にはコッチのほうが似合うにゃ」

「私も、ご主人様の服選びたいです」


 やばい。

 着せ替え人形のターゲットが俺になってしまった。


「いや、もうこの服でいいよ」

「ダメよ。コッチのほうが絶対に合うんだから」

「違うにゃ、この服のほうがいいにゃ」

「これをご主人様にきて欲しいです」

「うう……勘弁してくれ……」


 俺の声は聞き入れてもらえずヘトヘトになるまで、着替えさせられた。


「もう皆、服買ったのか?」

「はい、私は十分です」

「あたしはご主人様の服が買えたから満足よ」

「にゃーも満足にゃ」

「うーんとね。一着だけ気になってるのが有るんだけど……」


 クラリーヌがソロソロと小さく手をあげる


「なんだ? 買ったらいいじゃないか?」

「それがね。あの服なんだけど」

「あれが欲しいのか?」


 恐る恐る指差した先には、様々なメイド服がずらりと並んでいた。

 今まで散々、私はメイドじゃないって言い張ってたのに。


「欲しいっていうか、みんな着てるからどんなのかなーって、ちょっと興味があるだけよ。

 そっ、それで着心地はどうなの?」


 俺から目をそらしフィーナ達に目線を送る。


「着るとピシっと気が引き締まるわね」


 リゼットらしい答えだな。

 俺もスーツを着ると気が引き締まるからな。


「カワイイし結構動きやすいにゃ。あと、汚れてもそんなに目立たないにゃ」


 家事が好きなティアらしい。


「ご主人様にかわいがってもらえます!」

「ちょっ!」


 フィーナの突然の発言に周りを見渡すが、幸い人は居なかった。

 店員に聞かれてたら店に来れなくなってたな……。

 しかし、クラリーヌは更に興味を持ったみたいだ。


「ユウキはメイド服が好きなの?」

「う、まあ、好きかと言われれば、好きかな。ハハハ」


 薄い笑いをして誤魔化そうとする。

 が、リゼット達がさらに追撃を入れてきた。


「ご主人様はメイド服の上から触るのが好きみたいね」

「メイド服を着せたままするのが好きみたいにゃ」

「いつもより、元気になります!」


 周りに人が居ないからって好き勝手言ってくれる。


「お前達……」

「そっ、そんなにユウキが好きなら着てあげてもいいわよ。

 ただし、ユウキのメイドになるわけじゃないからね!」


 クラリーヌは腕を組んで、横を向いているが、頬と耳が赤い。


 ちょっと、いやかなり嬉しいかも。 

 ずっと拒否してたからメイド服姿は見れないかと思ってた。

 フィーナ達も別にメイドになって欲しくて買ったわけじゃなくて、単純にメイド服姿を見たかっただけだからな。


「よし、じゃあ買おう。すぐ買おう」

「そこまで喜ばれると、ちょっと引くわね」

「なんだよ、じゃあ買わないよ」

「買うわよ。仕方ないから着てあげるわ。仕方なくね」


 そんな風に、『仕方ない』を強調しつつもメイド服を選ぶ姿は嬉しそうだ。



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