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デーモンロード『生欲の王』②

「えっと、援軍は五人だけですか?」


 遠慮がちに聞くと、レナルヴェが片眉を釣り上げる。


「なんだ~? 俺達だけじゃ不満か?」

「いえ、そういうわけではないんですが……」


 心配そうな俺を察してかカシードがフォローする。


「魔法院のじいさんと、教会のばあさんにも声をかけたんだがな。

 二人とも揃ったように『老人に働かせるつもりか、若い奴らで何とかせい』って言われちまった。

 オレもそんなに若くないんだがな」

「あの二人からすれば、私達も若造でしょうけどね」


 気楽なカシードに、シトが苦笑で返す。


「デーモンが大量に発生して大変な事になってるんですよ?」


 イマイチ危険性を把握してないのか?

 デーモンがひしめき合う神殿のホールを指差すと、レナルヴェが気持ち悪そうに顔を歪める。


「おーおー、うじゃうじゃいるな」

「これは結構な出費になりそうですね」


 なおも余裕な表情でいる。

 シトも心配しているのはお金の様だ。


「こんな狭い場所じゃ人数を揃えても動けないし、デーモン相手じゃ弱い奴がいっぱいいても無駄に命を落とすだけでしょ?

 少数精鋭にするしか無いの」


 リュナが腰に手を当てて胸をはって話すと、カシードも付け加えた。


「魔法院のじいさんと、教会のばあさん。

 後は、上級冒険者の青薔薇と、シルバーソードを除けば街では最強のメンバーだ。

 青薔薇は遠征中で街にいないし、シルバーソードも余生を過ごしたいと引き受けてくれなかった。

 魔法院のじいさんか、教会のばあさんがいれば十分なんだけどな」

「魔法院の院長は世界でも屈指の魔法使いですし、教会の大司教は神聖魔法の使い手ですからね。

 どちらかが協力してくれれば、だいぶ楽だったんですけど」


 シトはやれやれと肩をすくませる。


「もちろん、上級冒険者である黒騎士と、お主のチームも一緒に戦ってもらうからな。

 ドラゴンファングにもサポートしてもらう」


 黒騎士のボードウィンがあんなに弱気だったのに、本当に大丈夫なのか?

 不安が拭えない俺をよそに、援軍の方々は自信ありげな表情だ。


「さて、噂のデーモンロードとの顔合わせと行こうか」


 カシードを先頭に全員が神殿の入口に集まる。

 異変を察知したのかシャーロットが、デーモンの群れの中から現れた。


「あら? カシードじゃない。

 ほかも随分と懐かしい面々ね」

「まさか、シャーロットがデーモンロードに乗っ取られるとは思わなかったよ」

「別に乗っ取られたわけじゃないわ。

 力を借りてるだけ。

 名前は『生欲の王』。

 今は、あたしの中で静かにしてるわ」

「なら、その力を手放してくれないか?

 できればあんたとは戦いたくない」

「イヤよ、せっかく得た力なのに。

 ところで、領主になったって聞いてたけど、冒険者に戻ったの?」

「立派に領主してるぞ?

 だからこそ、領土を脅かす存在は倒さないとな」

「本当に領主になってたのね。

 あなたなら国だって作れたでしょうに。

 残念」

「領主で終わるつもりはないよ。

 だだ、冒険者をやってるより近道だと思っただけさ」

「そのわりには、前線に戦いにくるのね」

「これも、必要なことさ。

 俺はまだまだ上にいくよ。

 その為の準備も進めている」

「どうやら、冒険者になりたての頃と変わってないようね。

 育てたかいがあったわ」

「……もう一度言うが、その力を手放さないか。

 あんたとは戦いたくない。

 デーモンロードの力はあまりにも危険だ」

「大丈夫よ。あたしは使いこなしてるもの」

「そうか? オレには操られているように見えるがな」

「あたしも見くびられてものね」


「お話中に申し訳ありませんが、急いだほうが良さそうですよ。

 結界を食べるデーモンが侵食してます」


 シトが会話を遮ると、シャーロットがしかめっ面をする。


「シトは相変わらず目ざといわね」

「褒めていただきありがとうございます」

「褒めてないわよ」


 シャーロットの苛立たしげな声を無視してカシードが振り返る。


「これから、デーモンロード討伐のための準備を始める。

 みんな手伝ってくれ」


 援軍のメンバーが、そろぞれ準備の指揮を始める。


「お主にはこれをやろう」


 俺の方を向くと、カシードが懐から巻物スクロールを取り出した。


「まあ、お主と言うかリゼットにだがな」

「リゼットに、ですか?

 何でしょう?」

「ドラゴンゾンビの召喚魔法だ」


 ドラゴンゾンビ?

 名前から強い魔法だと思うが……。

 リゼットに目線をやる。


「上級召喚魔法ね。

 名前の通りアンデットのドラゴンを召喚できるわ」


 上級魔法といえば、店で買うと金貨100枚にもなる。

 前回のデーモンロードを封印した時の報酬と同額だ。


「こんな、高価なものを貰っても良いんですか?」

「ああ、倉庫にずっと眠っていたやつだ。

 上級召喚魔法を使えるヤツは少ないし。

 その中でもネクロマンサーなんてもっと居ない。

 しかも、お主なら見よう見まねで使える様になるのだろう?

 2倍の効果が期待できるからな。

 受け取りにくいなら、今回の依頼の前金と思ってもらっていい」

「わかりました。

 ありがたく頂きます」


 巻物スクロールを受け取ると、リゼットに手渡す。


「あと、装備品も適当に見繕って持ってきた。

 ピエールから受け取ってくれ」

「それも、前金ですか?」

「前金って程のものではない。

 あまり使われないような低レベルの魔法の品だ。

 お主らは強さに比べて装備が貧弱だからな。

 今の装備よりマシだろう」


 確かに、それほど冒険しているわけじゃ無いから魔法の装備品はあまり持ってない。

 だけど、店売りの銀の装備すらそこそこの値段がする。

 魔法の装備となれば、けして安くはないはずだ。

 まあ、貰えるなら貰っておこう。


「今回の戦いでも期待している」


 そう言い残して準備に行ったカシードを背に、俺達も準備を始めた。

 リゼットに巻物スクロールから魔法を覚えてもらう。

 俺は、リゼットが試す時に見て覚えた。

 そして、装備品をピエールから受け取る。


「すごいわ! アタシも弓以外はそんなに良い装備じゃないから嬉しい」

「このアクセサリかわいいにゃ~」

「効果も高そうですね」

「これなんか、フィーナに似合うんじゃない?」

「この組み合わせカッコ悪いけど、ステータスはいいんだよね」


 装備を選ぶはずが何故かファッションショーが始まってしまった……。

 服を選ぶときには興味なさそうなフィーナも、多種多様の装備を前に目を輝かせている。

 

「楽しいのはわかるが、必要な物だけにしてくれよ」

「わかってるわよ。楽しむぐらいいいじゃない」


 クラリーヌが頬をふくらませる。


「所で、クラリーヌよ」

「なあに?」


 魔法の服を体に当ててサイズを計りながら答える。


「エルダール様とか言ってたが、どういう関係なんだ」

「え? 関係って言っても訓練所の師範と弟子よ」

「師範には『様』をつけるのが普通なのか?」

「エルダール様は弓使いの中では有名人だからね。

 憧れの意味を込めて様を付ける人は多いね。

 特に女性の弓使いは多いし」

「ふーん?」


 理解はしたが、イマイチ釈然としない感じがする。

 そんな、俺を見てクラリーヌは何か思いついたようだ。


「ひょっとしてヤキモチ焼いてる?

 エルダールの事は弓使いの先輩として尊敬しているけどそれだけだよ。

 好きなのはユウキだけだから」

「べっ、別にヤキモチなんて焼いてない。

 ただ、ちょっと気になっただけだ……」


 俺の顔を見てニマニマとニヤケ顔をするクラリーヌ。


「そっかー、ユウキもヤキモチ焼くんだー。

 なんか嬉しいな」

「焼いてないと言ってるだろ」

「うんうん、わかったわかった」


 わかったと言っているが、口に手を当ててニヤケ顔で俺を見る。

 絶対わかってないな。


 そんな俺達を見てフィーナがブツブツと言い始めた。


「ご主人様に、ヤキモチ焼いてもらえるなんていいなー。

 私も、なんかヤキモチ焼いて欲しい!

 あっ、でもメイドとしては失格だよね。

 でもでも、ちょっとならいいかな」


 聞かなかったことにしておこう……。


 そんな、こんなで準備は順調?に進んでいった。


【パーティーメンバーのデータ】

――――――――――――――――

名前ヤスナガ ユウキ 23歳 男 LV 50

ジョブ ヒーロー

HP 343

MP 332

【魔法】

 マジックアロー ヒール ウィルオーウィスプ アイアンアーマー サイコキネシス ライトニング・ボルト サモン・ファイアーリザード サークル・ヒーリング ウォーター トーチ アイアンアーム アイアンブーツ マジックウエポン ターンアンデット エクスプロージョン サモン・ドラゴンゾンビ

【スキル】

 ソードマスタリー アーマーマスタリー パリィ スマッシュ スウィープ クイックアーマー カウンター ダブルアタック スラッシュ パワースマッシュ  龍星光牙剣ドラゴネス・メテオ・ファング

【装備】

 両手剣(名前不明)  鎧(名前不明) ミスリルヘルム パワーガントレット 銀のブーツ+2 銀の指輪 硬化の指輪 デーモンロードのサークレット


フィーナ 17歳 女 LV 21

ジョブ シーフ

HP 186

MP 62

【スキル】

 罠解除 カギ解除 隠密 バックスタブ ソードマスタリー アーマーマスタリー パリィ

【装備】

 ガリアンソード バックラー+2 硬革の鎧+1 グリフォンハット 闇の小手 サイレントブーツ 銀の指輪 そよかぜの指輪 バックダガー


リゼット 47歳 女 LV 43

ジョブ ネクロマンサー

HP 184

MP 360

【魔法】

 ファミリア リアニメイト サモン・ゾンビ サモン・スケルトン サモン・ゴースト サモン・ジャイアントスケルトン クリエイト・ゴーレム サモン・ファイアーエレメンタル サモン・ダークエレメンタル サモン・ドラゴンゾンビ

【装備】

 ソウルワンド  スピリットローブ マジックハット+1 シールドブレスレッド 知恵の靴 銀の指輪 精神の指輪 魂魄のネックレス


ティアーヌ 18歳 女 LV 27

ジョブ プリースト

HP 139

MP 219

【魔法】

 ヒール ターンアンデット マジックシールド サークルヒール ディスペル・マジック ライト カウンターマジック キュア・ポイズン キュア・パラライズ

【装備】

 ホーリーメイス+2 魔貝の盾 ライトアーマー ホーリーティアラ シルバーブレスレッド+1 銀のブーツ+1 銀の指輪 土神の指輪 司祭のローブ


クラリーヌ 19歳 女 LV 24

ジョブ レンジャー

HP 182

MP 70

【スキル】

 ボウマスタリー クリティカルショット イーグルアイ パワーショット クイックショット 野営 採取

【装備】

 ウインドボウ  革の胸当て+3 ウイングヘルム ウインディーネの腕輪 革のブーツ+3  鷹の目リング マジックスカーフ

――――――――――――――――


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