街に戻る日(後編)
今回はラブですよ
「もうご飯できてますよ」
居間に戻るとフィーナが、にこやかに迎えてくれた。
「すぐ、用意するにゃ」
メイド服姿のティアーヌが、料理をテーブルに並べ始める。
よく見ると、三人ともメイド服を着ていた。
「おお、美味しそうだ」
出てきたのは、柔らかく焼いたパンと、野菜のスープだ。
スープの湯気が鼻孔をくすぐる。
「さ、食べようか?」
と、クラリーヌに声をかけようとしたら姿が見当たらない。
振り返ってみたら、背中にくっついていた。
「なにしてるんだ?」
「なんか恥ずかしくて顔合わせられない」
普段は気が強いくせに、こういう事になるとやたら恥ずかしがるな。
「クラリーヌって結構かわいい所あるんだな」
「何よ、どうせアタシは可愛くないわよ」
「いや、そういう意味じゃなくてだな」
「はいはい、せっかくの美味しい料理が冷めちゃうわよ」
リゼットがパンパンと手を叩いて、言い合いをしている俺達の仲裁に入る。
俺が椅子に座ると、クラリーヌもモジモジとしながらテーブルにつく。
「じゃあ、食べるか」
俺が食べ始めると、みんなも食べ始める。
「うん、久しぶりのティアーヌの料理は美味しいな」
「照れるにゃー」
俺を含めみんなが褒めると、ティアーヌは体をくねらせて恥ずかしがる。
豪華な料理ではないとはいえ、実に美味しかった。
パンもスープも柔らかく作られていて、消化に良さそうだ。
これなら、すぐ動いても大丈夫だな。
ティアーヌは家事のセンスは抜群だ。
「さて、食べ終わったし、フィーナ、行こうか?」
「はい!」
俺が立ち上がると、いそいそと隣に来て腕を絡ませてくる。
三人が見守る中、二人で寄り添って寝室に向かう。
妙に重厚な感じがする。
クラリーヌの発表が堅苦しかったせいか?
寝室に入るとすぐに服を脱ぎ体を拭く準備をする。
フィーナも、それを望んでいるようで、すぐに服を脱いでくれた。
二人とも早く一緒になりたいという気持ちでいっぱいだ。
どちらが言うでもなく、お互いの体を拭き出す。
抱き合うように、お互いの体を拭いていると、それだけで体が熱くなってくる。
自然とキスをしながら、まるで愛撫するようにやさしく体を拭きあう。
「ベッドに行こうか?」
たまらなくなり、ベッドに誘う。
フィーナは小さく頷くとおとなしくついてきた。
すぐにでもベッドに押し倒したいが、ここはぐっと我慢だ。
今日は大切な日だからな、本能に身を任せる訳にはいかない。
ベッドの縁に深く座ると、俺の前に抱っこするように座らせて、後ろから抱きしめる。
何をするのかわからずに戸惑っているようだ。
「フィーナに最初に出会えてよかった。
いい仲間が出来たのもフィーナのおかげだ」
「そんなことないです。
みんなご主人様が素晴らしいから自然と好きになっちゃうんです。
それに、私こそ感謝してます。
みんなより長くご主人様と一緒にいるんですから」
頭を撫でると、フィーナがモジモジしだした。
「どうした?」
「ご主人様、嬉しいのですが、あの……背中に当たってます」
真面目な話をしているつもりだったが、俺のグングニルは意思に反して硬さを増していた。
結果、押し付けるような形になっている。
これじゃ、全然説得力ないな……。
「すまない。まじめに話していたつもりだったんだが」
「いいんです。私のことが好きだからこうなっちゃうんですよね?」
「そうだな」
「なら、その気持、体で感じたいです」
フィーナは熱い吐息を発していた。
体を拭いた後から焦らされ挙句に押し付けられていたらそうなるか……。
むしろ我慢させていたかな?
フィーナをベッドに横になるように促すと、覆いかぶさる。
「すまん、俺も我慢の限界だ。今日は激しくしちゃうかもしれん」
「いいんです。私は、ご主人様に責められるのが大好きですから」
フィーナ、なんてエロい子なんだ。
こうなってしまったのは俺のせいなんだろう。
だとしたら、責任を取らなくちゃな。
自分に言い訳すると、フィーナに襲いかかった。
……
……
クラリーヌは初めてだったから抑え気味にしてたが、それをフィーナにおもいっきりぶつけてしまった。
まあ、フィーナは喜んでいたがいいか。
そして、その後はリゼットなのも良かった。
順番が逆だったらいろいろと不幸なってたな。
リゼットじゃ俺の全力は耐えられないだろうし、力尽きた俺じゃフィーナも物足りなかっただろうし。
フィーナと、交代でリゼットが寝室に入ってくる。
そして、ベッドの縁に座っている俺の前にちょこんと立つ。
「リゼットのメイド姿は、ほんとにかわいいな」
「そうかしら? ティアーヌの方がよっぽど似合ってると思うわ」
確かに、ティアーヌのメイド姿は胸が強調されまくって凶悪だ。
でも、リゼットのかわいいメイド姿もたまらない。
これで、年上だというのが逆にいい。
「なんか変なこと考えてない?」
ジト目で見られてしまった。
「いっ、いや別に。それより、今回は心配をかけてすまなかった」
俺はペコリと頭を下げる。
「謝らないで。あたしこそ無理やり言わせた見たいで、ごめんなさい」
「いや、リゼットに言われなければ、ずっと言えなかったと思う。
正直に言うと、すごく怖かった、でも言えてよかった。
感謝している」
「言うのすごく勇気が必要だったでしょ?
偉かったわね」
リゼットが俺の頭を撫でる。
いつもは俺のほうが撫でていたが、リゼットに頭を撫でられたのは初めてな気がする。
自然と胸に顔を埋めて抱きしめてしまう。
リゼットは、フフフッと笑うと、俺の頭を抱いて撫で続ける。
「すごく安心する」
「いつでも撫でてあげるわよ」
「恥ずかしいから、二人だけの時だけな」
「ええ、二人だけの秘密ね」
こうされていると子供に戻ったような気になってしまう。
リゼットの胸のボタンを外して、小ぶりなおっぱいに吸い付く。
頭を撫でられながらチューチューとおっぱいを吸うと、すごく安らぐ。
まるで雲の上にいるような気分だ。
「あら? エッチな事をするのかと思ったら、赤ちゃん見たい」
リゼットは嬉しそうに笑っている。
が、やっぱり俺は男だ。
独りでに俺のミストルティンが起き上がる。
「リゼット、やっぱり我慢できない」
「やっぱり、ご主人様はご主人様ね」
リゼットは呆れた顔をしながらも俺を受け入れてくれた。
……
……
リゼットの代わりに、ティアーヌが部屋に入ってくると、嬉しそうに駆け寄ってくる。
俺は立って出迎えると胸に飛び込んできた。
「うー、ずいぶん待ったにゃー」
「いつも最後ですまないな」
「いいにゃ、楽しみは最後にとっておくにゃ」
ティアーヌは、俺の胸に頭をグリグリと押し付けると耳をピンと立てる。
その頭をゆっくりと撫でる。
「ありがとうな」
「にゃ?」
不思議そうに顔をあげて俺を見つめる。
「ティアーヌが大丈夫だって励ましてくれたから告白できた」
「お役に立ててよかったにゃ」
「俺やフィーナ、リゼットは人間関係に疎いからな。いてくれてよかった」
「ご主人様、いつもと違うにゃ」
俺の体をギュッと抱きしめると、テレテレと照れる。
「あとな、言っておきたいことが事があるんだ」
「何だにゃ?」
「俺はティアーヌの事が好きだ。一緒にいると楽しいし勇気づけられる」
目を見ながら真面目な顔で言うと、ティアーヌの目から涙が溢れだした。
「うー、突然そんなこと言うなんて卑怯だにゃ」
誤魔化すように俺の胸に顔を押し付ける。
「ご主人様に、お願いがあるにゃ」
「なんだ?」
「にゃーの事をティアって呼んでほしいにゃ」
「構わないが、急にどうしたんだ?」
「にゃーを好きな相手に、ティアって呼ばれるのが夢だったにゃ」
「わかった。愛してるよティア」
「嬉しいにゃ。にゃーもご主人様のことが大好きにゃ」
お互いに強く抱きしめあう。
「にゃ!? ご主人様の大きくなったにゃ」
どうやら、下腹部に当たる感覚で気づいたらしい。
「なんか、自然とな」
さっきから大きな胸が押し付けられているし、やっぱり好きな相手と一緒にいると自然と元気になってしまう。
「嬉しいにゃ。にゃーも同じ気持だにゃ」
そう言うと、熱いキスを交わした。
……
……
「え!? みんな一緒のベッドで寝るの?」
クラリーヌが突如大きな声をあげる。
「そうだにゃ。みんなで寝ると楽しいにゃ」
「でも、女同士じゃなくて、ユウキも一緒なんでしょ?」
女同士ならいいのか?
それでも俺はいっこうに構わん!
いや、そうしゃなかった。
よくよく考えれば、これが普通の反応だよな。
みんな、自然に一緒に寝てたから感覚が麻痺してた。
「いや、無理に一緒に寝なくてもいいけど」
「そうね。無理することないわよ」
「はい、私達はご主人様と少しでも一緒にいたいから、一緒に寝ているだけです」
フィーナとリゼットも同意してくれる。
ティアは、少し残念そうだが……。
「そりゃ、アタシだってユウキと一緒にいたいわよ……」
最後の方はもごもごして聞き取れない。
「アナタ達は、恥ずかしくないの?」
「ご主人様と一緒にいられるなら恥ずかしくなんてないです」
「あたしは、少し恥ずかしいけど、一人の寂しさに比べたら遥かにましよ」
「みんなと一緒の方が楽しいにゃ」
「アナタ達に聞いた私がバカだったわ」
クラリーヌは、大きく肩を落とすとうなだれた。
「分かったわよ。一緒に寝ればいいんでしょ!?」
「いや、無理すること無いって」
「うるさい!」
なぜか怒られてしまった。
「いっ、いっしょに寝るからには、ユウキはアタシを抱き締めながら寝るのよ!」
腕を組んで斜に構えながら言っているが、顔は真っ赤だ。
「ま、まあ、俺はいいけど、みんなはかまわないか?」
フィーナは、少し不満そうだか頷いてくれた。
リゼットは、仕方ないといった感じだ。
ティアは、一緒に寝れると喜んでいる。
こうして、なぜかぷりぷりと怒っているクラリーヌを抱き締めながら寝ることになった。