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異世界の一日(22:00)

「おきなさい」


……


「おきなさい。ユウキ」


……


 意識の底、暗闇の中にいる俺は、遠くの光からの呼びかけを感じた。

 その声に導かれ、まるで水の中を泳ぐように光に向かっていく。


……


 光の中に飛び込むと一面は真っ白な世界になり、おぼろげだった意識がはっきりとしてくる。


「あなたは誰ですか?」


 光の中、何もない空間に向かって問いかける。


「女神」


 その言葉とともに、光の中に美しい女性の姿が現れた。

 いや、姿が現れたというのは正確ではないのかもしれない。

 実際に輪郭を持った存在ではなく光のゆらぎのようなもの。

 しかしながら、意識に直接問いかける声と光の波動は、美しい女性の物だと確信がもてた。


貴方あなたをこの世界に呼びました」


 なんとなく予想はついていた。

 真っ白な空間に現れるものと言ったら神様だ。

 そして、俺を異世界に転生できるのも神と呼ばれる存在だろう。


「異世界に連れて来てくれたことには感謝しています。

 ですが、私に何をさせたいのですか?」


 女神である光のゆらぎは楽しそうに小刻みな波動を放つ。


「話が早くて助かるわ。貴方あなたには、デーモンロードを再び封印してほしいの」


「再び?」


 その言葉に引っかかる。

 再び封印するということは、すでにデーモンロードの封印は解けてしまっているのだろうか?


「そうではありません。封印はこれから解かれていくでしょう。それを貴方の力で封印するのです」


 別の疑問がめぐる。

 封印が解けてないなら、解かれないように監視すれば良いのではないだろうか?


「それではいけないのです。

 最初の封印から時間が経ったため、封印事態が弱まっています。

 このままでは、いずれ魔王は復活してしまうでしょう」


「あれ?」


 言葉に出してないのに会話が通じているようだ。


「そうです。貴方の考えていることはわかります」


 心の中を読まれる……。

 そう考えた瞬間、頭のなかに様々な邪念がめぐる。

 女神はどんな女性だろうかとか、女神もエッチなことはするのだろうかとか、どうしようもない考えが頭をよぎる。

 女神を相手に何を考えているのだ。

 冷や汗を流しながら邪念をかき消そうとするが、なかなか思うようにはいかない。


 光のゆらぎは楽しそうに小刻みな波動を放つ。


「ふふふふふ。

 貴方は本当に人間らしい人なのですね。

 別に構いませんよ。

 異性を求めるのは愛の力によるものです。

 使命さえ全うしてくれるなら、女性たちと楽しい時間を過ごしても構いません。

 愛の女神としての助言をするなら、愛をはぐぐむ事は力になります」


 愛の女神か……。

 だから今俺はフィーナたちと楽しい時間が過ごせているのか。


「それは、もっと別の……創造主の力によるものです。

 いえ、その話は良いでしょう。

 封印が緩んでいるから貴方あなたと話せていますが、あまり時間がありません」


 創造主?

 時間がない?

 封印が緩んでいる?

 様々な疑問が頭をよぎる。


「まずは、強くなりなさい。

 貴方あなたの潜在能力は、もっと強いものです。

 自分の力を使いこなせるようになるのです。

 そして、デーモンロード達の封印は解かれていくでしょう。

 その時は、デーモンロードを打ち倒し再び封印していくのです」


 その言葉が終わると、一面の光が徐々に収縮していく。


「待ってくれ。

 自分のやるべきことはわかった。

 しかし、疑問が多すぎる!

 もっと話すことは出来ないのか?」


「答えてあげたいですが、時間がありません。

 力がたまるには少し時間がいるでしょう。

 その時には貴方の夢に再び現れます」


 女神の声が終わるか終わらないかの瞬間に光は消え闇に飲まれてしまう。

 そして、次第に俺の意識も闇に溶け込んで眠りについた。


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