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三人とのデート(前編)

 今日は気持ちのよい朝だ。

 いや、朝が気持ちいいのではない、下半身が気持ちいい。


 え?

 いや、ちょっ!

 どういうこと!?


 寝ぼけながら下半身を見るとティアーヌが俺に乗って腰を振っていた。


「何やってるの! ティアーヌ!」

「ご主人様が元気だったから慰めてあげてるにゃー」


 フィーナの叫びに、ティアーヌはあっけらかんと答える。


 いやいやいや、そんなことをお願いした覚えはないぞ!

 確かに気持ちいいが……。

 意味不明な状況と、気持ちよさでどうしたらいいかわからん。


「ずるい、私はずっと我慢してたのに!」


 ええ?

 いま、フィーナが言ったの?

 今まで、そんな素振り見せなかったよね?

 まじで?

 だったら、毎朝してあげたのに……。


 俺が驚きの表情でフィーナを見ると、自分の言った事に気づいた彼女は真っ赤にした顔を両手で隠し頭を振った。


「ティアーヌ! ちょっとこっちに来なさい!」


 リゼットが激怒して、ティアーヌの耳を引っ張ると俺の上から引きずり下ろす。


 こわ!

 怒ったリゼット怖えー。


「痛いにゃー。わかったにゃー」

「ご主人様、ちょっとティアーヌに常識を教えてきます」


 リゼットはニッコリと微笑むと、ティアーヌを部屋の外に連れ出した。


 あの笑顔はヤバイな。

 リゼットも怒らせないほうが良さそうだ……。


 フィーナは真っ赤な顔で言いづらそうに話しかけてくる。


「ご主人様……。さっき言った事は忘れてください」


 いきなりの状況に頭が整理しきれずに固まる。


「わかった。忘れよう」


 なんとか言葉が出せた。

 少し冷静になる。


「あー。これは、独り言なんだが……」


 状況を整理してフィーナを慰める言葉を考える。


「俺は嬉しかったぞ。その……フィーナが俺の事を好きみたいだからな」


 言葉を選びながら苦心して、慰めの言葉を発する。

 さっきの言葉はびっくりしたが嬉しかったのは事実だ。

 フィーナもリゼットも自分から求めてくる事は無いからだ。


 なんとか俺の気持ちは伝わったようだ。

 フィーナは体を寄せてくると、更に顔を赤くして言ってきた。


「ご主人様、つらいでしょうから私が治してあげましょうか?」


 自分を見てみると、下半身だけ裸で息子は元気にそそり立っていた。

 傍から見たらさぞマヌケな格好だろう。

 冷静になってくると、中途半端な状態の体がうずき始めた。


「ありがとう。じゃあ、フィーナに治してもらおうかな」


……


 リゼットとティアーヌを寝室に呼ぶ。

 ティアーヌはリゼットに強く叱られたらしく、いつも立っている耳が伏せていた。

 

「ティアーヌ、リゼットから言われたと思うが朝は勝手なことはしない事。

 それから朝起きたらまずキスすること」

「わかったなにゃー」

「キスの順番も決める。フィーナ、リゼット、ティアーヌの順番だ。わかったな?」

「ごめんなさいにゃ」

「わかってくれればいい。あと、みんなに言っておくが、我慢している事があったら遠慮なく言ってくれ」

「わかりました」

「わかったわ」

「わかったにゃー」

「じゃあ、改めて朝のキスだ」


 フィーナが顔を寄せて軽くキスしてくる。


「おはようございます。ご主人様」

「ああ、おはよう」


 続いて、リゼットが強めにキスするとおずおずと舌を入れてきた。

 それを受け入れると舌を絡ませる。

 今度はこっちから舌を入れて口の中を堪能して口を離す。


「ご主人様おはよう」

「おはよう」


 最後にティアーヌがキスをしてくるとすぐに舌を入れてきた。

 ざらざらしている舌が俺の口の中を縦横無尽に動き回る。

 濃厚なキスに満足して口を離そうとするが、ティアーヌは体ごとすがりついて来ると首に手を回し逃がすまいとしてきた。

 あまりにも長すぎるので、無理やり手をはがし顔を離す。


「もっとしたいにゃ……」


 残念そうな顔でつぶやいた。


「ティアーヌが甘えてくれるのはうれしいが、ちょっとは押さえろ。

 あと、外では抱き着いてくるなよ」

「わかったなにゃ」


 ティアーヌはシュンとして小さくなってしまった。


「ご主人様は昨日、人前で抱きついてきだけどね」


 リゼットが珍しく意地悪な顔を俺に向けた。


「俺はいいんだ」


 昨日は嬉しさのあまりリゼットに抱きついてしまった。

 恥ずかしさから語気が強くなってしまう。


「はい、ご主人様ならいつでも大丈夫です」

「その通りだけどね」

「ずるいにゃー」


 フィーナはいつもの調子でフォローしてくれる。

 咳払いをして話を変える。


「さて、ティアーヌの今後について話し合おう。

 まず、ティアーヌは冒険者として俺のパーティーに入るのは問題ないな?」

「問題ないにゃ。回復なら任せてにゃ」


 ティアーヌが胸を張ってたたくと、大きい胸がぽよんと弾んだ。


「なら、パーティーに入れよう」


 冒険者カードを持って「パーティー追加、ティアーヌ」と唱える。

 ティアーヌが「入るにゃ」と答えると ティアーヌのステータスが追加された。



ティアーヌ 18歳 女 LV 27

ジョブ プリースト

HP 139

MP 219

スキル ヒール サークルヒール ターンアンデット ディスペル・マジック ライト カウンターマジック キュア・ポイズン キュア・パラライズ

装備 教団の法衣 鋼の腕輪



「27レベルとはずいぶん高いな」

「にゃ? にゃーは17レベルのはずだにゃ」


 よく見るとフィーナのレベルも21になっていた。

 もともと、19レベルのはずだったから一気に2レベルも上がったことになる。


「フィーナもレベルが上ってるようだ。デーモンロードに支配されるとレベルが上がるのか?」

「かもしれないわね」

「まあ、強くて困ることは無いがな」

「そうにゃ、レベルが上ったならお得にゃ」


 本人もあまり気にしてなさそうだし、考えても答えは出ないだろう。


「よし、今度は俺達のステータスだ」


 そう言って、ティアーヌに冒険者カードを渡す。


「50レベル!?」


 相変わらずの反応だな。


「23歳で50レベルなんてすごいにゃー。

ご主人様もデーモンロードに支配されたことが有るにゃ?」

「いや、俺は気がついたらこのレベルだった。

俺は昔の記憶が無い。が、前世の様な記憶がある」

「気がついた時に、英雄になる人だって天啓が下ったそうですよ」


 相変わらずそれを言うが、フィーナは俺が英雄になるのが嬉しいのか?


「にゃー。ジョブもヒーローだしすごい運命を持ってるのかにゃ?

 にゃーはご主人様と結ばれて幸せだにゃ」


 そう言って抱きついてこようとするが手で抑える。

 ティアーヌは残念そうに座り直す。


「そういうわけで、自分が何者なのか探しながら、冒険者を続けている」

「にゃるほどにゃ。ご主人様に協力するにゃ」

「ティアーヌは今までどうやって暮らしてたんだ?」

「にゃーは教団で治療とかしながら暮らしてたにゃ。追い出されちゃったから今は何も持ってないにゃ」

「そうか、パーティーに入るなら色々と買わなきゃいけないな」

「にゃー、買い物にゃ」


 ティアーヌは嬉しそうにバンザイをする。


「じゃあ、早速出かける準備をしよう」


 そう言うとティアーヌは嬉しそうにフィーナから借りた寝間着をババっと脱ぎ捨てる。

 リゼットが呆れた顔で言う。


「あなた、恥じらいとかないの? まさか、人前でも脱いだりしないわよね?」

「ひどいにゃ。にゃーは痴女じゃないにゃ。ご主人様にはすべてを見て欲しいだけだにゃ」


 そう言って、裸のまま抱きついてくる。

 豪快な脱ぎっぷりに制止することを忘れ素直に抱きしめられると、ふくよかな胸が押し付けられて心地いい。

 裸の美少女に抱きしめられて自然と顔がにやけてしまう。

 フィーナが少し不機嫌な表情からいきなり服を脱ぎ捨てた。

 今まで着替えを見られることを恥ずかしがっていたからは、考えられない行動にあっけにとられる。


「フィーナ?」


 そう声をかけるとフィーナも裸のまま俺に抱きついてきた。

 それを見ていたリゼットも、いそいそと服を脱ぐと俺を抱きしめる。


「リゼット?」


 今までの二人から考えられない行動にびっくりながらも、三人の裸の美少女に抱きしめられるというまさにハーレムな状態に頭がとろけそうだ。

 俺は頭を振って気持ちを持ち直す。

 今日は色々と買い物をしないといけないし、風呂屋にも行くつもりだ。

 ここで、無駄に体力を消費するのはもったいない。


「俺を着替えさせてくれ。あと、フィーナとリゼットは前着たのとは別の服を着ると良い」


 何もしてこない俺に三人とも残念そうな顔を向けてきた。

 自分もしたいだけに、かなりきついものが有る。


「今日は風呂に入るから早めに出かけたいんだ」


 言い訳のように説明すると三人とも表情がほころんだ。


「お風呂ですか? 早く入りたいです」

「ゆっくりと浸かりたいわね。早く出かけましょう」

「お風呂は久しぶりだなにゃー。ご主人様と入りたいにゃ」

「ああ、個室を取ってみんなで一緒に入るぞ」

「やったー。嬉しいにゃ。ご主人様を洗ってあげるにゃ」


 ティアーヌは喜んで俺から離れると急いで法衣を着だした。


「待ちなさい。ご主人様が先よ」


 リゼットの鋭い声にティアーヌはビクッと震えるとすぐに戻ってきた。

 さっきまでピンと立っていた耳がしなっと倒れている。

 リゼットによほど強く怒られたようだ。


 服を着せてもらうと、居間で待っている。

 ティアーヌは積極的だから他の二人も釣られて積極的になるのは良いが、恥じらいが薄れるというのも少しさびしい物が有る。

 だから、着替えを見ようと言う気は起きなかった。


 着替えが終わってみんな寝室から出てくる。

 フィーナはベージュのシャツに黒のズボンだ。

 引き締まった腰つきと大きな胸がモデルのようなかっこよさを感じさせる。

 リゼットは半袖の白いシャツとピンクのスカート。

 幼い顔がより際立ってかわいさが増す。

 以前買ったリボンを付けてあげようとしたが、人前では恥ずかしいと拒否されてしまった。

 でも、照れている顔が逆に普段のリゼットらしく顔がほころんでしまう。

 ティアーヌは服が無いので冒険用の法衣を着ている。

 白いローブに細かい刺繍がしてある豪華そうな法衣だ。

 これも可愛くはあるが、ショッピングをするには少し不自然だろう。


「法衣のまま街を歩くのは可哀想だから、まずは服屋に行くか」

「服を買ってもらえるのかにゃ? うれしいにゃ」


 みんなウキウキしながら外出する。

 ティアーヌはワクワクが抑えきれないらしく、服屋に行く途中で俺の前を歩こうとしてリゼットに叱られていた。

 服屋につくと買うものを説明する。

 

「フィーナも一着買おう。リゼットは合う服が少ないからオーダーメイドで服を作っていいぞ。

 ティアーヌは好きな服を二着買ってくれ」

「ご主人様、どんな服が良いでしょうか?」

「うーん、そうだな。二人で似合う服を探すか」


 フィーナは嬉しそうに俺に寄り添ってきた。


「オーダーメイドで作って良いの?」

「ああ、リゼットはあまり服が選べないからな、あまり高くなければ好きな服を作っていいぞ」

「ありがとう」


 頭を深く下げて店員の元に歩いて行った。

 ティアーヌは2着買って良いと言われた時点で、すぐに服を見て回っている。


……


 俺もファッションには疎いからどんな服が良いか悩んでいると、ティアーヌが服を何着か持ってきた。


「ご主人様はどんな服が好みかにゃ? こんなのとか好きかにゃ?」

「こんな服があるんですか。色んな所が見えちゃいそうです」


 フィーナが服を見て驚いている。

 見せてきたのは胸が半分隠れるかどうかの生地の少ない服だった。

 この世界では肌の露出の多い服は見たことがない。

 多分、娼婦とかが着る服なんだろう。


「嫌いじゃないが、外でも着られる服にしてくれ」

「ご主人様が着て欲しいなら大丈夫だにゃ」


 珍しく顔を赤らめている。


「俺は女性を見せびらかす趣味はない。と言うか、あまり人に見られるのは嫌だ」

「ご主人様は清楚な方が好みかにゃ?」

「そうだな」

「わかったにゃ」


 ティアーヌは再び服を見に行くと、入れ替わりにリゼットが戻ってきた。


「注文できたわ」

「どんな服にしたんだ?」


 リゼットは口に拳を当てて少し考えると答えた。


「今は言わないでおくわ。後のお楽しみにしといたほうが良いでしょ?」

「そうか、それなら期待してこう」


 三人でフィーナの服を見て回る。

 なかなか決まらないでいると、ティアーヌが服を抱えて戻って来た。

 ピンクの薄手のセーターと黒いズボン、白いシャツ、コルセットのようにお腹まで有る肩紐付きのスカート。


「これならどうかにゃ?」

「ああ、良いんじゃないか? 似合いそうだ」

「それならこれにするにゃ。あと、フィーナに合いそうな服持ってきたにゃ」


 健康的なフィーナに似合いそうな赤い薄手のセーターに、青いズボンだ。


「似合いそうだな。フィーナはどうだ?」

「赤がちょっと恥ずかしいですが、かわいいと思います」


 ズボンという点も気に入っているのだろう、嬉しそうだ。


「後は大丈夫か?」

「ご主人様に似合う服も持ってきたにゃ」


 見せてきたのは、体にフィットしそうな小さめのシャツとズボンだ。

 俺は日本にいた頃は体型に自信がないからゆったりとした服を好んで着ていた。

 それゆえ、ぴっちりとした服は少し恥ずかしい。


「俺の分はいい」

「ご主人様は一着しか持ってないじゃないですか。私達より少ないなんておかしいです」

「そうよ。少しは買っておいたほうが良いわ」


 女性たちに無理やり押されて更衣室で着替えるはめになった。


「ご主人様すごく似あってます」

「いいわね。ティアーヌお手柄よ」


 転生した俺は細身ながら筋肉質な体のため着てみると確かにかっこいい。

 三人はほんのりと頬を赤くしてうっとりと俺を眺めてみる。

 女性店員も熱い視線を送ってきている気がする。

 恥ずかしくて仕方がなかったが、変に隠すのもおかしいので仕方なく胸をはる。


 うう、恥ずかしい。


「俺は大きめの服のほうが良いのだが……」


 と言ったが、フィーナ達は似合うから買ったほうが良いと聞く耳を持ってくれなかった。

 結局、似たような服を2着追加で買う事になった。

 他には、ティアーヌ用の肌着や下着、メイド服、エプロンと大量に買い込んだ。

 魔法の袋のおかげでかさばることは無いが結構な出費だ。

 ティアーヌはピンクの薄手のセーター、黒いズボンに着替えると法衣はしまう。


「教団は法衣しか着させてくれなかったにゃ。こういう服を前から着たかったにゃー」


 嬉しそうに、自分の体を見回している。

 それに合わせて、ズボンから出たしっぽがゆらゆらと揺れる。


「次はアクセサリーショップだぞ」

「アクセサリーも買って良いのかなにゃ?」

「ああ、あまり高い奴は買えないけど、気に入ったのがあったら買ってやろう。二人も遠慮無く言ってくれ」

「嬉しいにゃー。ご主人様の所有物になれて幸せだにゃ」


 ティアーヌは本当に嬉しそうに抱きついてきた。

 頭をよしよしと撫でると胸に頬をこすりつけてくる。


 ティアーヌは、アクセサリーショップでは服屋以上にテンションが高かった。

 いろんな物を見ては、着けては悩んでいる。

 リゼットはティアーヌがどんなのを選ぶのか一緒について回って見ていた。

 フィーナも少しは興味を持ったのか、二人の後ろをついていっている。

 俺はメンバーの証である銀の指輪を購入すると入口近くで女性たちを眺めていた。


 うん。

 かわいい女の子たちが仲良く買い物している姿は見ていて楽しいな。

 しかも、全員俺の物だ。


 そう考えただけで幸せな気分になってしまう。

 彼女たちは一通りの商品を見て回ると、ネックレスを一つずつ持ってきた。

 フィーナはしずく型のネックレス、リゼットは星形のネックレス、ティアーヌはハート型のネックレスだった。


「本当に買ってもらって良いんですか?」

「ああ、お前たちが綺麗になるなら安いものだ」


 フィーナは心配そうに言っているが、そこまで高いものではなかった。

 銀の指輪をティアーヌに渡す。


「この指輪はチームメンバーの証だから右手の薬指に付けてくれ」

「これで、正式にご主人様の恋人になれるにゃ?」

「まあ、そういうことだ」


 ほとんどそういう意味と変わらないが、はっきり言われると照れるな。


「嬉しいにゃ。今日は嬉しいことだらけで困っちゃうにゃ」


 いつも元気なティアーヌだが少し遠慮の心が出てきたらしい。


「気にするな、俺の恋人になるならなら当然のことだ」


 安心させるように頭をなでてあげる。


「さて、時間がかかってしまったからお昼を食べに行こう。

 ティアーヌはいい店を知ってないか?」


 女性の冒険者達と鉢合わせるのはゴメンなので前とは違う店にしたい。


「美味しい店なら任せるにゃ」


 そう言って、案内された店は石造りの古風なお店だった。

 店内も落ち着いており静かな雰囲気が安心出来る。


「ここのランチは量も多くて美味しいにゃ」


 席につくと20cm程のバスケットに沢山のパンが積まれていた。


「すでに量が多いな」

「パンも美味しいからいっぱい食べると良いにゃ」

「美味しそうです」

「食べ切れそうに無いわね」


 リゼットの心配を他所に、フィーナとティアーヌの食べっぷりは圧巻だった。

 フィーナは美味しい美味しいと言いながら口いっぱいに頬張って食べ、ティアーヌはマナーこそしっかりしているものの食べるのが早かった。

 俺とリゼットは顔を見合わせて呆れ、見ているだけでお腹いっぱいになってしまった。


「美味しくてお腹いっぱいになってすごくいい店です。また来たいですね」

「そうにゃ、この店はおすすめだにゃ」

「二人共すごい食べるのね」


 お腹が膨れた後は、ティアーヌの装備品を買いに行く。


「ティアーヌはどんな装備が良いのだ?」

「動きやすいものが良いにゃ」

「プリーストならリングメイルとか回復の魔法石のついたメイスとかが良いと思うわ」

「魔法石?」

「ええ、魔法石は魔法の効果を高めたり、魔法を封じ込めたり色々な使い道ができる石よ。

 属性ごとに色があって、破壊なら赤、回復なら白、召喚なら黒、付与なら緑、変性なら青ね」

「リゼットの持っているワンドに付いている黒い石は、召喚の魔法石なのか」

「そうよ。ソウルワンドはかなりいい魔法石を使っているんだから」


 リゼットは胸をはる。

 この仕草はいつ見てもかわいい。

 ついつい胸に手が伸びそうになるが、察知されて両手で隠されてしまった。


「まずは、リングメイルかな? 上に羽織るものとかはあったほうが良いのか?」

「プリーストなら法衣をまとうことが普通にゃ。でも、教団の法衣は着たくないにゃ」

「まあ、追い出されたんだからあまり着ないほうが良いだろうな。適当に見繕って買ってくれ」


 銀のリングメイルとプリースト用のローブを買った。


 あ、残りのお金がほとんど無い。


 防具を買ったらお金がないことに気づいた。

 生活する分には大丈夫だが、メイスを買う余裕はなさそうだ。

 最近は、依頼もせずにデートばかりしていたから仕方がないが、そろそろまじめに依頼をこなしたり戦闘を訓練するルーチンワークを作らないとまずい。


「すまない。お金があまりないので、メイスを買う余裕が無い」

「前衛出て戦えにゃいけど大丈夫かにゃ?」

「戦闘は俺とリゼットがいれば大丈夫だろう」

「そうね。持ってなくて困ることは無いけど、お金の管理もしっかりしたほうが良さそうね」

「すまないな」


 リゼットの呆れた表情に、母親に叱られた気分になってしまう。


「私達が服とか贅沢ばかりしているせいでしょうか?」


 フィーナが暗い表情をした。

 俺のミスなのにフィーナに心配をかけてしまって申し訳ない気分になる。


「いや、装備品が買えないだけだし依頼をこなせば大丈夫だ。

 フィーナ達には可愛い服を着て欲しいしな」


 安心させようと頭を撫でる。


「はい、いっぱい依頼を頑張りたいと思います」

「にゃーが入ったからもっと稼げるようになるにゃ」

「よし! 気分を変えるためにお風呂に行くぞ」


 妙な空気になってしまっていたが、お風呂という言葉を聞くとみんな元気になった。



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