┗外伝:乙女たちの休日
本編とは関連しない話のため飛ばしてしまっても問題ありません。
女性冒険者達がキャッキャするだけの内容です。
【登場人物紹介】
■冒険者チーム『風の射手』
・クラリーヌ(バランス型レンジャー)
年齢:19歳
髪型:水色の肩まである髪を後ろで束ねている
身長:150cm(Cカップ)
・ベルナンド(パワー型レンジャー)
年齢:21歳
髪型:赤髪ウルフヘア
身長:189cm(Jカップ)
その他:筋肉質で褐色の肌
・エロディット(遊撃型レンジャー)
年齢:18歳
髪型:金髪ロング
体格:162cm(Dカップ)
・ペレニック(回復魔法の使えるレンジャー)
年齢:20歳
髪型:青色のショート
体格:168cm(Fカップ)
・ジスレニス(付与魔法の使えるレンジャー)
年齢:16歳
髪型:銀髪で腰まである長髪
体格:162cm(Bカップ)
■冒険者チーム『ドラゴンファング』
・ジョゼット(遊撃型ファイター)
年齢:19歳
髪型:黒髪ショート
体格:169cm(Eカップ)
・エルミリー(プリースト)
年齢:16歳
髪型:ピンク色のセミロング
体格:165cm(Eカップ)
・ディアナ(メイジ)
年齢:18歳
髪型:黒髪おさげ
体格:156cm(Eカップ)
その他:メガネ着用
【本編】
街の中心部の外れ、紅茶とパンケーキが美味しい女性に人気のカフェがある。
アンデット退治から数日後、女性の冒険者達はそのカフェに集まっていた。
いつもの無骨な鎧ではなく、可愛らしい服装に身を包んだ彼女らは、冒険で鍛えたしなやかで引き締まった体をしているため、普通の貴族の女性より美しく、男から声をかけられることも度々だった。
その美しい見た目とは裏腹にカフェのテーブルに突っ伏している女性がいる。
クラリーヌである。
「あーどうしよう」
「今度はどうしたの?」
いつもの様に悩んでいるクラリーヌに、ため息をつきながらペレニックが声をかける。
「ユウキのこと本気で好きになっちゃったかも」
彼女たちは知る由もないが、ユウキは異世界からやってきた英雄になる資質を持つ男であった。
「あんた珍しく絡んでたもんね」
「そうそう、たいていの男には興味なんか無いって感じで、冷たい態度取るのにね」
ジスレニスが大げさに驚いた様に言うと、エロディットはこれも大げさに2度ほどうなずく。
「だって、高そうな鎧きてるから貴族の坊っちゃんで鼻持ちならないヤツかと思うじゃない?
でも話してみたら、すごく丁寧で誠実だしさ。
なんか久しぶりにときめいちゃってさー。一目惚れってやつ?」
クラリーヌがテーブルから顔を上げ、夢見がちな目でため息を付きながらまくし立てた。
「おやおや、乙女だねー」
「あんたに言われたくない。
バルパスとの関係はどうなってるのよ?」
ムッとしたクラリーヌはテーブルに倒れたまま人差し指をジョゼットに向ける。
バルパスはドラゴンファングのリーダーでありジョゼットが気になる男でもある。
「あいつは、エルミリーに気がいっているみたいなんだもん。私もユウキ狙おうかなー」
ジョゼットはエルミリーを横目で見ながら伸びをして疲れた息を吐いた。
「え~、そんなこと無いよ~。気のせいじゃないかな~」
「そういう、のほほんとしたところが守りたくなって好きみたいなんだよね。
それよりさ、ユウキの剣技を見たけどさ、すごかったよ。
バルパスも剣の腕はなかなかだけど、ユウキの技を見ちゃうと雲泥の差だよね」
ジョゼットは顔の前で手を組んで、目をキラキラさせながら夢想の世界に行く。
「やっぱり、あんたの方が乙女じゃない。
でも、ユウキの剣技がすごいっていうのはわかる」
「ユウキは強くてかっこいい」
普段、恋愛話には全く加わってこないベルナンドが発言したことで全員がびっくりする。
「ベルナンドが気に入るってことは相当だね」
「自分より強い男しか興味ないもんねー」
ジスレニスが驚きながらも納得したように言うと、エロディットがうんうんと同意して続けた。
「しかもさー、魔法使ったんでしょ? あたしは見てないけど」
「そうなの~。サークル・ヒーリングを使ってくれてね~。すごい回復しちゃった~」
「たぶん、HP100ぐらい回復したんじゃないかな、しかも回りにいるスケルトンたちも一撃だよ。
半径5メートルぐらいかな?
信じらんないよ」
ディアナが人差し指を顎に当てながら冷静に分析して答える。
「あー、私も見たかったなー。
剣も使える回復職って聖騎士様ってことだよねー」
ペレニックは白馬に乗った騎士を思い浮かべる。
「聖騎士どころじゃ無いよ。
召喚魔法まで使ったんだよ。
ファイアーリザードが5匹よ。
しかもこ~んなに大きいやつ」
ジスレニスが両腕を大きく広げて、過大に強調した大きさを表現する。
「召喚魔法に詳しくないけどさ、やっぱりすごいの?」
エロディットが知識が豊富なディアナに聞く。
「すごいなんてもんじゃ無いよ。
専門のサモナーでも3匹出せればすごいと思う。
それが5匹だよ」
「すごいのもそうだけど、ちょっと触っただけで赤くなるところもかわいいよね」
ペレニックがいたずらっ子の笑みを浮かべる。
「そうそう」とベルナンド以外がうなずく。
「そういうところがいいんだよね。
強いのに偉ぶらないし。
女性に弱いところとか、守ってあげたくなっちゃう」
クラリーヌがなぜか自慢気に言う。
「一緒にデキる仕事を頼めばいいんじゃない?
向こうは2人だし人数の多い仕事はできないでしょ?
それを口実にいっしょに仕事するの」
ペレニックが名案とばかりに人差し指を立てて、嬉しそうにクラリーヌに提案する。
「あー! 住んでる所、聞くの忘れた」
「宿屋に泊まっていると言ってた」
「ほんと? 何処に泊まってるって?」
「場所までは聞かなかった」
ベルナンドの中途半端な情報にクラリーヌががっくりとする。
「まあ、一緒に仕事したとしても、女が一緒だしね」
クラリーヌが諦めたような声を出した。
「やっぱ、フィーナって子とヤッてるのかな?」
「ヤッてるに決まってるよ。
ご主人様って呼んでるんだよ?
毎晩体を求められてるわね」
エロディットの質問にジスレニスが答えると、ベルナンドとクラリーヌ以外が「キャー」という黄色い声をあげた。
「ちょっと話しかけるだけで顔を赤らめるユウキに限ってそんなことしないよ」
クラリーヌが少し怒ったように言うと、心配そうにジョゼットが言った。
「あんたマジ? ユウキだってやる事やってるに決まってるじゃない」
「ユウキは特別なの!」
クラリーヌの言葉にジョゼットがため息をついてあきらめた表情をした。
「ねえ? あれってユウキじゃない?」
「ホントだ、ユウキだ」
ジスレニスが示した目線の先にある人物を見て、ディアナが小声になりながら同意する。
「ホント? これこそ運命ってやつじゃない?」
クラリーヌが勢い良く体を起こし、嬉しそうにユウキの方を見る。
「でも女性を二人も連れてるよ。やっぱ女好きなのかな」
ジョゼットが残念そうにため息を付いた。
「あたしなら~。ユウキみたいな強い男なら~。別に二番目でも三番目でも良いかな~」
「ユウキとならいい子が残せそうだ」
「エルミリーはともかくベルナンドまでどうしたのよ」
ジスレニスが心底驚いたような声を出す。
そんな中、クラリーヌがガタッと突然立ち上がった。
「決めた、これからデートに誘う」
そう言いながらユウキの席の方に歩き出した。
「クラリーヌがこれほどマジになるとはね……。
何あれ? なんかしおらしい態度しちゃってるし」
ジョゼットが呆れたような乾いた笑いをはいた。
「あっ。こっち見たよ」
ユウキがこちらを見たので手を降ったりとそれぞれの対応をする。
「けっこ~い~ふいんきじゃな~い?」
しばらくしてクラリーヌが戻ってくると、ユウキは席を立って店の外に出た。
それに合わせたようにみんなが一斉に身を乗り出す。
「「ねえ、どうだった?」」
クラリーヌは満面の笑みを見せる。
「デートの約束しちゃった」
「おー、すごいすごい」
ディアナがちょっと棒読み風に、しかしその内実は嫉妬を込めながら言った。
クラリーヌは嬉しさのあまりディアナの態度は全く気になっていない。
「家の場所も聞いたしこれからアタックし放題よ」
「ほんと? 私にも教えてよ」
「私も!私も!」
みんなが家の場所を知りたいと殺到する。
「やだ! ユウキはあたしのものだもん」
クラリーヌが子供のような態度で拒否した。
「ダメよ。教えてくれるまで帰さないから」
ジョゼットがわりと本気の表情で言い。
「そうよそうよ」とみんなが同意する。
そんな彼女たちの話は夜まで続いた。