第1話
超能力、魔法、魔術、これらが現実に存在すると言われて本気で信じる人は果たしてこの世界に何人居るだろうか・・・
そんなのは迷信だと言ってしまうのは途轍もなく簡単だ。
しかし絶対に100%無いと言い切り完全な証明をするのは可能なのだろうか。
答えは無理だ、当然あれば証明は出来ないし実際に無かった場合、無いものを証明することは出来ない。
と言うのが俺の考えだ・・・いや考えだったと言うのが正しい。
どうして過去形かというと俺は超能力に目覚めた。
つまり超能力者になったのだ。
~半年前~
その日は最高に快晴だった。
しかし気分は俺の親父によって最悪だ。
何もかも親父のこの一言が原因だ。
「勇樹、お前超能力者になってみないか?」
親父は変な事を言う事が多い。
前にもこう言うことが何回かあった。
今回も同じだろうと思った。
親父は何を思ったのか呪文を唱え始めた。
そして呪文が終わった時意識が暗転した。
「うっ、ここは?」
辺り一面真っ白しかし雪では無い、本当に白しかない空間だった。
そしてその空間に俺と俺を鏡に映したような姿をした存在が立っていた。
「ここは君の精神世界だ」
俺を鏡に映したような存在はそう答える。
しかし頭の良さが平凡中の平凡の俺は理解仕切れない。
思考が追い付かないが後回しにして次の質問をする。
「おま・・・君は誰?」
お前は、と言おうとしたが初対面でお前は無いだろうと思い訂正する。
「僕は君の中の神様」
これも理解出来ない。
「理解出来て無さそうだね、まあ僕は君の精神体だと思ってくれればいいよ」
それなら理解出来そうだ。
「さて本題に入ろうか」
本題?何か用事でもあるのだろうか。
そういえば俺は何でここに居るんだろうか。
「俺は『なんでここに居るのか?』・・・」
心を読まれた!?なんで?
「僕は君の精神体だからね君の考えていることは大体わかるよ」
そうなのか・・・
「ちなみになんでここに来たかは元の世界に戻ればわかる」
なるほど・・・
「もう質問は無いようだから本題に入るよ。
君、小塚勇樹くんには超能力者になってもらう」
えっ、超能力?
「ちなみに拒否権は無いから」
「どんな能力が貰えるの?」
「それは元の世界に戻ってからのお楽しみということで、
それじゃあ元の世界に戻すね。じゃあね」
それを聞くと俺の意識は完全に途絶えた。