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とうとうこの日が……。

今回は会話文ではありません。

その日、冷蔵庫は見事に空だったし、おまけに財布も空だった。

せっかく出張から戻ってきた明人さんは疲れからか外耳炎に。いつも無理を押すと外耳炎になってしまう。朝から明人さんは耳鼻科にお世話になってきたが、すぐ治る訳でもなく可哀そうなことに耳の穴が見事に腫れで塞がっていた。貴重な土曜日だったけど、とにかく銀行でお金を下して食糧確保しなければチビたちがうるさい。私はチビたちを預けて一人で買い物に出かけることにした。


「じゃあ、行ってくるから。」


明人さんにそう声をかけて車のキーを取った。私が出かけるのを察知したトモが玄関で大泣きする。


「ごめん!トモお願いね~!」


そう言い残してトモを置いてドアを閉めた。男4人占めている5人家族の食糧事情は結構大がかりなのだ、許せ、トモよ。君を連れて行くとややこしい。


初めに銀行に行ってお金を下す。それから広告が入っていたのはどこの店だったかとか思い出しながら食料品店舗へと車を走らせた。広告の品というスイカを一玉ゲットして、ジュースジュースとうるさい連中の為に炭酸系の大きなボトル、牛乳、野菜、肉類。スナック菓子をカートに乗せて行く。レジに着くころには相当重いカートが出来上がっていた。

何とか一人で荷物を車に乗せると次はドラックストアへ。トモのオムツにトイレットペーパー。なんでこうかさばる物ばかり消耗がはやいのか……。


とにかく買い物を終わらせると我が家に向かう。量が多いのにいつもヒロやミチに「お母さんは買い物が遅い」と文句を言われるのだ。でもさ、仕方ないじゃん。別に自分の趣向品買ってるわけでもなんでもないんだからさ!まあ、今日はこんなもんで勘弁してくれとマンションが見える角の交差点まで来た。


赤信号で車を止めるといつも使っているコンビニの前でお巡りさんが3人立っている。


なんかあったのかな?


そう思ってよく見るとトモそっくりな子が女の人に手を引かれてそのお巡りさんたちに囲まれていた。


そっくり?


……。


……。


服までいっしょのわけないじゃん!


ヒョ~~ッ!!(血の気が引くびっくり音)


そう思ったと同時に信号が青になる。後続車が居たので止まっているわけには行かず、とりあえず交差点を通り過ぎて車を駐車場に止めた。


この時、どうやって車を止めたのかも覚えていない。



後は……


ダッシュ!

ダッシュ!

ダッシュ!


息が止まるくらい走った。私の姿をとらえた警察官に


「うちの子です!!」


そう言ってトモに手を伸ばした。トモは泣きもせず、喜びもせず淡々と私のところへやってきて抱っこされた。


安心したカオの警察官にトモを抱きしめた私が説明をする。


「あ、あの、私、主人に頼んで買い物に行ってたんです!今、車から見えて……それで……。」


「お宅のお子さんなんですね?」


「ま、間違いないです!」


「ああ、よかった!もう少しで交番に保護する所だったんですよ。靴もこんなだし、抜け出してきたのかなぁとは言ってたんですが……。」


そう言われてトモの足元を見るとヒロの靴を履いている……。


「すいません!すいません!」


三人の警察官と女の人に頭を下げまくる。女の人はコンビニの定員さんでずっとトモの相手をしていてくれたらしい。


騒動に気づいたのか明人さんがヒロとミチを連れてやってきた。


「トモは連れて行ったのかと……。」


「ヒロもそう思ってた……てか、ゲームに夢中だったし。」


「ミチも~。」


君たちゃ確かに夢中でテレビゲームしてたもんね!


馬鹿!


連れて行くわけないじゃん!そうは思ったが私は言葉を呑みこんだ。


鍵、閉めてなかったのは私だ!


ああ。


「それじゃあ、お名前と、お歳と……。」


警察官に聞かれてトモの名前を明人さんが書いてくれた。一人を残して他の警官は帰っていく。


「いやあ、ご近所の方には訪ねたんですがね?まさか、マンションの方から道を渡ってこられないだろうって言って……。どこから来たの?って聞いたらあっちの(見当違いな)方指さすものだから……。」


「「すいません。すいません。」」


明人さんと合流すると二人で頭を下げまくった。


当の本人は一滴の涙も流さず「俺いつもみたいにここに来ただけだし?」みたいなふてぶてしいまでのその態度。


明人さんが私が連れて行ったと思ったってことは一時間はユウに超えてたよね?


厳つい大人に囲まれて平気だったんかい!?


初の警察沙汰……。


ああ。先が思いやられる。


しかし、母ちゃん寿命が10年縮まったよ……。


明人さんの耳が聞こえてなかった事が盲点だった……。


半分ホッとして笑っちゃったけど、一歩間違えたら事故に有っても可笑しくなかったと無事だったことにじわじわと涙が出てきた。


その後

書類に判子が必要だったとすぐに今度は家の方にやってきてくれた親切な警官に心の中で「すいません。ネグレクトでもないですから!」と心の中で叫んでしまったのは仕方がなかったと思う。


ほとんどノンフィクションでお送りいたしました。

トホホ。


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