次男ミチの宝物
その日は午後からミチが不機嫌だった。
母 「ミチ、いい加減にしなよ?どうしたって言うの?」
ミチ 「……チッチがいない。」
母 「チッチ?何それ?ヒロ分かる?」
ヒロ 「わかんな~い。」
母 「それって何色?どんな形なの?」
ミチ 「ピンクいろで……はねがついてる。」
母 「?ちょうちょか鳥?う~ん。」
ミチ 「チッチなの!うえ~ん。」
母 「え~っと、ミチ?もうちょっと説明してくれないとお母さん一緒に探せないよ。」
ミチ 「チッチは鳥さんなの!」
母 「え、ピンクの鳥?んなの、あったかなぁ……。マッ〇かなんかのおまけ??」
ミチ 「ち~が~う!おかあさん、かってくれたもん。」
母 「……覚えてない。」
そこへ貫録のある三男坊が向こうから唸りながらやってきた。
トモ 「ガオ~。」
ミチ 「あっ!!!チッチ!」
トモ 「ガオ~。」
母 「……あれ、チッチなの?」
ヒロ 「そうなんじゃない?」
トモが何度も声を上げて持っているのはどう見ても色しかかわいくないウルト〇マンの怪獣。しかも過去の劇場版のオオボスだ。……なにか?くちばしついてるから鳥か?鳥なのか!?
……なんにしてもあんな厳つい怪獣にかわいらしい愛称をつけるミチの我が家での立ち位置は「自由人」である。
そんなミチが将来ジゴロにならないか母さんは不安です。