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資産家独居老人の道楽〜次は誰?〜

資産家独居老人の道楽5

掲載日:2026/10/12

縁側でくつろぐ剛田甚左衛門の前にワンピースを着た少女が現れる。謎の組織八岐の大蛇とは?

秋晴れの爽やかな昼間に縁側で剛田甚左衛門はキューバ産の葉巻をふかしていた。


片手にはブランデーグラスを持っている。


ビターなチョコレートを少しかじり、ブランデーをほんの少し口に入れて香りを楽しむ。


その余韻が抜けない内に葉巻をふかすのだ。


考え事をするも良し。


何も考えないのも良し。


しかし、この数週間後は亡くなった翠のことを思い出すのだ。ハイゼンベルクの作った純度99.7%のブルーメス。


もうハイゼンベルクは死んだ。


やるせない想いが秋風が吹くかのように心を冷やす。


木枯しなのか。


そこへ、可愛らしいワンピースを着た少女がスキップして目の前に来た。


「どこから入ったのかのう」


「さて?どこからでしょう?剛田さん?」


「さては小娘よ、おぬし撒菱の小娘じゃな?」


「ピンポーン!剛田さん正解!」


そこへ八咫烏のブラボー1が駆け込んでくる。


「オーナー、大変失礼しました!排除しますか?」


「別に構わんよ。どうやらワシに話があるようだしのう」


「流石〜♪剛田さんは物分かりがいいね!」


「で?小娘よ。名は何と申す?」


「水波、みなみだよ」


「ほう。水波と言うのか。要件を言ってみろ」


「話が早いね〜。じゃあ言うけど却下は認められてませーん!わかった?剛田さん?」


「このワシが断れない話しとは!面白いのう!聞いてやろう」


「行くよ〜♪私たち八岐の大蛇を配下に加えて!」


「私たちじゃと?何人おるんかのう?」


「皆んな〜♪もう出てきていいよ〜♪」


気配もないのに数え切れない人数が庭に現れた!


「馬鹿な!」


ブラボー1は驚愕の表情を隠せない。


「すまん水波よ。数え切れんわ」


「正解は!ドゥルルルルル〜♪51人だよ!」


「それはひとつの軍勢と言える数じゃのう。何が出来るというのか?」


「私たちは戦闘も出来るけど〜♪メインは潜入、諜報、暗殺、拉致、尾行かなあ?」


「それは面白いのう」


剛田の後には八咫烏全員が集まり銃を構えている。


「ブラボー1よ、多勢に無勢じゃ。下ろせ。」


「はい…。」


八咫烏メンバーは諦めたように銃を下ろす。


「これだけの人数月にいくらで雇えというのだ?」


「剛田さ〜ん♪雇うんじゃなくて配下なのよ?」


「しかしのう、空気を食っても腹の足しにはならんわい」


剛田は電話をかけた。


「いま大丈夫かの?前に話があったあの会社を買いたいと言ってきた会社に売ると伝えてくれんかのう。条件はお前さんに任す」


「よかろう。水波よ、いや八岐の大蛇を配下にくわえよう」


「やったあ!流石!剛田さん!」


それから数ヶ月かけて邸宅の裏にある大きな森の一部が整備されて体育館規模の施設が建てられた。


それは地下から地上階にかけて演習施設が設けられ、八岐の大蛇メンバー全てが余裕を持って居住できる部屋、食堂、入浴施設、医務室など考えられる全てが集約された施設だった。


剛田甚左衛門の邸宅を護るのは八咫烏メンバーがメイン。


外部への必要な武力として八岐の大蛇メンバー。


そして充分な医療施設。


剛田甚左衛門は八岐の大蛇のリーダー水波を呼び出して、初めての指示を出した。


「とりあえず、都内の麻薬組織を壊滅してきてくれんかのう」


「剛田さ〜ん。それは藪を突くことになるだろうなあと思うけど〜。やっちゃっていいの?」


「うむ、ワシには少し遺恨があってのう。八つ当たりの意趣返しなのじゃよ」


「亡くなった奥さんのことはちゃんとしってるよ」


「どのくらいの期間で出来るのじゃ?」


「2ヶ月もらえればいけるはずだよ?」


「ひとつ!現場には天誅という書き置きを残してくれんかの?」


「余裕よ!」


それは午前7時に発布された攻撃命令だった。

八岐の大蛇はしっかりと朝食を取り全員霞のように消えて行った。


剛田甚左衛門がアキと昼食を食べながら、テレビを見ていると都内各地でヤクザの事務所、半グレのアジト、裏道で殺されている男、薬物を大量に所持している女が車内で殺されていると言うような様々なニュースが飛び交っていた。


そのニュースは連日連夜続き港に停泊しているタンカーに横付けされたクルーザーから5人の変死体と200kgの覚せい剤が発見されること数件。


1か月以上この状態が続き、各局で特番が組まれるほど事態は炎上していた。


その後テレビのバラエティー番組に出ていたタレントが生放送で奇妙な行動を取り倒れ病院に運ばれるも尿から覚せい剤の反応があり事件化した。


事態を重く見た警視庁や麻取も次々とアーティスト、俳優、タレント、企業の社長、警察官などを逮捕し多くの週刊誌も記事として取り上げた。


特に特質だった現象は麻薬の密売に関わる者たちの自首が相次いだことだ。


「ふう〜♪剛田さんただいまなのだ!」


「水波か?終わったのかのう?」


「剛田さん〜♪これはモグラ叩きだよ。一瞬市場からは薬が消えてもすぐに元通りになるわよ」


「であろうな」


そこへニュース速報が入った。


「警察からの発表がありました。一連の麻薬組織襲撃事件は同一の犯人及び組織の可能性があるとのことです」


「ここまで来るとこれもワシの独りよがりの道楽じゃの」


そう言うと剛田甚左衛門はイカの黒作りをちびりと食べて、辛口の日本酒で口を洗った。



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