「修学旅行、死にます」
どうも、作者です。
「修学旅行ってさ、人生で一番平和なイベントだよな~」とか思ってたら死にました。いやマジで。
ゆる〜く読んでってください。バカっぽいけど命は懸かってます。
あ、俺って死ぬんだ──。
いやね、急にすまん。でもマジでそういう流れだったのよ。
だって今、旅館のロビーに集められたクラスメイト三十人の目の前に、血のついたナタ持ったお面の男が出てきて、「今からデスゲーム始めまーす」って言ったんだもん。そりゃ死ぬじゃん?
ていうか、誰? お前。修学旅行の思い出、強制ホラー味にしてくんな。
俺の名前は立花ユウト。高校二年、いわゆるモブキャラ。出席番号24番、担任の五十嵐先生からは「…えーっと、タチハナくん?」ってたまに名前忘れられてる。そんな俺が、今、ナタ男の視線の中で震えてる。いや、マジ怖い。けどさ、どっかで笑えてる自分もいて。
「うそだろ、修学旅行で死ぬとか、出オチが強すぎるだろ……」
俺の前で、クラスのヒエラルキー上位連中が騒ぎ始めた。
「ふざけんなよ!おい、先生は!?なんで止めねーんだよ!」
「警察呼べよ警察!!スマホあるだろ!」
……うん、甘い。甘すぎる。ナタ男はおもむろにホワイトボードを取り出し、こう書いた。
「ルール① スマホ使用禁止。電波も切ってあるよ♡」
ハートが雑に描かれてて、なんか逆に怖い。で、その横には──
「ルール② 毎晩一人、誰かが“消える”よ。全員生き残ればクリア。脱落したら、ねぇ……(笑)」
うわあ。ちゃんと地獄だ。
教室で読んだライトノベルの最悪テンプレが今、旅館で展開されている。誰がこんなイベント仕込んだんだよ。お前らクラスの出し物文化祭で雑だったくせに、こんなとこだけクオリティ高いのなんで!?
と、そこに救世主みたいに立ち上がったのが、例の“本来の主人公ポジ”こと──神城蓮。
見た目イケメン、成績トップ、運動神経バケモノ級、教師受けも女子受けも最強。完璧超人?いや、俺からしたら完璧にウザい人だ。
「皆、落ち着け!まずは情報を整理しよう。犯人の動機と手段、それに俺たちが取れる対策だ──!」
声、でかっ。なんでそんなに堂々とできんの。
「くそ……こんなのゲームじゃねえだろ!やる意味がねえ!」
蓮がナタ男に詰め寄る。すげぇ、主人公ムーブ全開。でもナタ男、言ったよ。
「これはね、ゲームじゃないんだよ。“罰”なんだよ。君たちが隠してきた、あの『投票』の結果を……もう一度、思い出してね?」
え? 投票?
ざわつくクラスメイトたち。マジで意味わかんない。何それ?え、俺なんかやった?知らんうちに?
俺、何かした?ねぇ?
「そ、それって、まさか……!」
急に顔色を変える女子、男子、それぞれ。蓮だけは眉をしかめて沈黙。なんか……知ってるの?みんな。俺だけ置いてけぼりなの?
そのとき、天井からカメラが降りてきた。
「はーい♪ 本日の“最初の投票”結果、発表しまーす!」
ナレーションは明らかに合成ボイス。こんなのに金かけてんのかよ。予算どうなってんの。
『投票:最も“不要”だと思う人物』
──っていう文字が、カメラ横のモニターにでかでかと表示された。
心臓、ドクンって鳴った。やばい。やばいぞ、これ。
『1位 立花ユウト』
──おい。
いや、ちょっと待て。なんで!?
「え、え? マジ?あのモブが?」
「え、いたっけ?あの人……」
「てか、ユウトくんって誰だっけ」
言いたい放題かよ!!俺、生きてるぞ!?今ここにいるぞ!!?
……え、待って、俺が最初に“消える”の?ほんとに?
ナタ男がにじり寄ってくる。
「さ、立花くん……“罰の部屋”に行こうか?」
え、まって、まって!?!?
そんな感じで、俺の修学旅行の一日目が終わった。いや、始まってないわ。
そして、まさかの――ここからが始まりだった。
逆転劇ってやつのな。
つづく
はい、そんなわけで第1話でした。
お分かりの通り、うちの主人公はめちゃくちゃモブです。死にかけます。でもギリギリで生きます。たぶん。
感想とかもらえると作者が歓喜で爆発します(モブじゃないほうの意味で)。
次回もぜひよろしくお願いします!