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第三十七回 風の精霊告ぐ異変 城防備と災害の狭間にして護りの構えを成すこと

竜王城の東方、山麓から吹き下ろす風がいつになく荒々しい日が続いていた。風の精霊アエルが深刻な表情で俺のもとに訪れた。


「ユースケ様、近隣の山間で風のうねりが激しくなっています。このままでは土砂崩れや豪雨による浸水の恐れがございます。また、異様な風の波は敵の隠密部隊の接近の兆しとも考えられます」


「なるほど……ただの自然現象じゃねえってことか」


俺は城壁と城下町の両方を守るため、防災と防衛の二重構えを検討した。


「山麓の風を和らげつつ、土砂の流出を防ぐ排水路と土留め壁を造る。そして風を遮る防風フェンスを城壁沿いに設ける。だが風を防ぎすぎれば視界が悪くなって、敵の動きを見逃す危険もある」


アエルは風の流れを読みつつ工事の最適なタイミングを教えてくれ、敵の接近を早期に察知する役割も担った。


しかし、風を神聖視する魔物たちからは工事に反発が上がった。


「風は神の息吹。壁で塞ぐなど畏れ多い」


俺は彼らと何度も話し合い、フェンスの高さを抑え視界を確保する工夫や、風を完全に遮らず巧みに流す構造を採用した。


工事は順調に進み、防風兼排水の複合構造物は城と街を覆う盾となった。


やがて激しい雨と風の夜が訪れたが、排水路は水を捌き、土留めは崩壊を防ぎ、防風フェンスは暴風を抑え、敵の隠密部隊は視界と風の乱れに阻まれて城下へ潜入できなかった。


アエルが風を感じ取りながら呟く。


「風を操り、守りを成す……自然と戦術の狭間にある、これぞ真の防衛なり」


俺は満足そうに頷いた。


「壊すだけが守りじゃねえ。風を読み、土を活かし、重ねて守る……これが、竜王の城を護る本当の姿だ」



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