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第二十六回 坑道に煤と炎こもり 換気の塔を築かせしこと

「ユースケ殿、さすがにこのままでは……我ら、窒息いたしますぞ」


咳き込みながらやってきたのは、地下鉱山を管理しているモグラ族の長老だった。最近になって坑道の奥からは濃い煙と熱気が漂い、作業に支障が出始めていたという。


「原因は火山性ガスと、精錬に使う炉の煙が抜け切っていないことだな」


俺は設計図を広げ、換気塔を建てることを決意する。高低差を利用して自然通風を促す昔ながらの“煙抜き”の理屈を応用し、竜王城の裏山に巨大な通風口を設けるのだ。


「問題は、坑道からここまでどうやって風を通すか……」


魔界の岩盤は硬く、自然の導管を掘るのも一苦労だった。


そんなとき、坑道の一角に古代魔術で封じられた結界の痕跡が発見された。奥へ進むと、赤く輝く魔晶石の祭壇があり、その中心に封じられていたのが、火と風を司る精霊“フゥラン”だった。


「この熱気……あれを解き放てば風は動き出す……」


俺は封印を慎重に解き、フゥランと対話を試みる。だが、フゥランは長き眠りのせいで不安定になっており、吹き荒れる熱風とともに周囲を焼き尽くそうとした。


「ユースケ殿、あれはもう暴走寸前っス!」


俺は落ち着いて自分の計画と目的を説明した。精霊が望むのは、自由と、風が流れる場所。そこに煙が詰まり苦しむ坑道があることを説くと、フゥランはようやく鎮まり、協力を約束してくれた。


フゥランの熱風魔法を使って空気の流れを生み、さらに地熱を逆手に取り煙を吸い上げる構造を実現した。


作業の間、モグラ族たちは黙々と掘削と設置を進め、ゴーレムたちが巨大な煙突を組み立てた。


数日後――


「通ったっス! 空気、流れてきたっス!」


坑道の奥に新鮮な風が通り、こもった熱気が外へと押し出された。


こうして換気塔は完成し、鉱山の労働環境は劇的に改善された。


「おかげで目が開けられるようになったっス……ユースケ殿、感謝っス!」


俺は首に巻いたタオルで汗を拭きながら笑った。


「よし、次は厨房のほうを見てこようか。最近、魔物たちの間で食堂の床が滑りやすいって苦情が出てるんだ――」

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