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鏡の迷宮  作者: 憂月
第2部 クリスタル・オブ・シャドー
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第4話 初代の意志

1.

潮見町の地下、永遠の迷宮の中心にそびえる青い光の柱。葵、拓海、凛は、柱から響くささやきに耳を傾ける。


「あおい…たくみ…りん…私の楽園…世界を包む…」


葵は傷だらけの肩を押さえ、ナイフを握る。

「この光…宗一郎の魂だよね? 終わらせる!」


拓海が懐中電灯で柱を照らし、言う。

「翔を封じたけど、宗一郎が本当の黒幕だ。こいつを倒さないと、町は救えない」


凛が祈祷の札を手に、目を閉じる。

「光の柱…教団の意志そのもの。世界を迷宮にする力を持ってる」


地上では、住民たちが広場に集まり、結晶の破片を捨てたものの、霧が再び濃くなる。子供が震え、老人が呟く。


「楽園…まだ…聞こえる…」


町の建物が揺れ、道がさらに歪む。潮見町は、宗一郎の意志に引きずられていた。


葵が叫ぶ。「みんな…まだ苦しんでる! 早く止めなきゃ!」


光の柱が脈打ち、青い結晶の破片が浮かぶ。宗一郎の幻影が現れる。白いローブ、冷たい目。

「私の楽園…世界を覆う…お前たちの魂…私のもの…」


凛が札を掲げ、叫ぶ。

「宗一郎! あなたの野望、ここで終わる!」


3人は光の柱へ突進する。


2.

光の柱に触れると、3人は青い光に飲み込まれる。目の前は、無限の鏡の空間。結晶が浮遊し、壁に無数の顔が映る。ささやきが響く。

「新たな宿主…見つけた…」


葵が叫ぶ。「また…迷宮!? どこまで続くの!?」


拓海が拳を握る。

「宗一郎の心の中だ。こいつの意志が、迷宮を創ってる」


凛が祈祷を始める。

「この空間…世界中の心と繋がってる。宗一郎の目的は、潮見町だけじゃない」


宗一郎の幻影が現れ、笑う。

「愚かな者たち…私の楽園は…世界を迷宮に変える。人々の心を…永遠に閉じ込める…」


葵がナイフを振り上げる。

「世界を!? そんなこと、許さない!」


結晶の破片が嵐のように襲い、凛の札が切り裂かれる。

「くっ…!」


宗一郎が嘲笑う。

「お前たちの心…私の迷宮に…飲み込まれる…」


3.

迷宮の壁に、拓海が教団の紋章を見つける。

「記録…まただ」

彼は結晶に触れ、過去のビジョンを見る。


1945年、宗一郎は戦後の荒廃した日本で教団を設立。「現世は苦しみ…楽園を創る…」

彼は鏡と結晶を使い、人々の心を操る技術を完成させた。宗一郎の野望は、潮見町を起点に、世界中の心を迷宮に閉じ込めることだった。

「人類の魂…私の楽園に…」


1950年代、宗一郎は潮見町を実験場に選び、住民の無意識に結晶の呪いを植え付けた。1970年代、由紀子と翔がその遺志を継ぎ、永遠の迷宮を完成させようとしたが、宗一郎の魂は迷宮の中心で眠り続けていた。


「私の意志…永遠に…」


ビジョンが終わり、拓海が呟く。

「宗一郎の目的…世界を迷宮に? そんなこと…可能なのか?」


凛がビジョンを見る。

宗一郎の姿:白いローブ、手に結晶。「私の楽園…世界を覆う…」


彼女は言う。


「宗一郎の魂は、結晶を通じて世界中の心に繋がってる。潮見町は…その第一歩」


4.

迷宮の分岐で、葵の前に彩花の幻影が現れる。


「あおい…私を…楽園に…」


葵が叫ぶ

「姉貴! もう自由だよね!? 教団の呪い、終わらせたよ!」


宗一郎の声が響く。

「彩花…私の楽園の礎…お前も…永遠に…」


凛が葵の手を握り、ビジョンを見せる。

1975年、彩花の魂は結晶に封じられたが、彼女は葵を守るため、宗一郎の意志に抵抗し続けた。

「あおい…私の光…」


葵が涙を流す。

「姞貴…私、絶対に救う! 宗一郎、姞貴の魂を返せ!」


彩花の幻影が光に変わり、葵のナイフに宿る。

「あおい…強く…」

葵が叫ぶ。「姞貴の力、借りるよ!」


彼女はナイフで迷宮の壁を切り裂き、宗一郎に迫る。


5.

拓海の前に、悠斗の幻影。

「たくみ…お前が…俺を…」


拓海が叫ぶ

「悠斗! 俺はもう逃げない! お前の分まで戦う!」


3年前、悠斗は教団の呪いに飲み込まれたが、最後まで真相を追い続けた。

「たくみ…真実を…暴け…」


拓海が拳を握る。

「悠斗…俺、約束守る! 宗一郎の野望、止める!」


悠斗の幻影が消え、拓海が結晶の破片を蹴散らす。

「宗一郎! 俺の魂は渡さない!」


彼は葵と凛を守り、迷宮の中心へ突進。


6.

凛の前に、美津子の幻影。「りん…私の力…信じて…」


凛が叫ぶ「おばあちゃん! 私、やってみる!」


1975年、美津子は宗一郎の意志に抵抗し、結晶の炉を封じた。彼女の祈祷は潮見町を守ったが、宗一郎の魂を完全には滅せなかった。

「りん…お前なら…」


凛が祈祷の札を握り、言う。

「おばあちゃん…私、宗一郎を止める!」


宗一郎が嘲笑う。「霊能者…お前の力も…私の楽園に…」


凛が叫ぶ。「おばあちゃんの遺志、受け継ぐ!」


彼女は新たな祈祷を唱え、迷宮の光を揺らす。


7.

地上の広場では、住民たちが集まり、霧に立ち向かう。


子供が叫ぶ。「怖いけど…帰りたい!」


老人が祈る。「町を…取り戻す…」


葵の声が迷宮から響く。

「みんな、信じて! 私たち、戦ってる!」


拓海が拡声器で叫ぶ。

「潮見町は俺たちの家だ! 宗一郎に負けるな!」


凛が祈祷を広場に伝える。

「心を一つに! 呪いを断ち切る!」


住民が手を繋ぎ、声を上げる。

「自由だ! 自由だ!」


市場の商人、学校の生徒、神社の参拝者が団結し、霧が薄れる。


宗一郎の魂が咆哮する。「私の楽園…お前たちの心…!」


だが、住民の意志が迷宮を揺らし、光の柱が揺らぐ。


8.

迷宮の中心で、宗一郎の魂が巨大な結晶の姿となる。


「私の楽園…世界を覆う…!」


葵がナイフを振り上げる。「姞貴の魂、解放する!」


拓海が叫ぶ「悠斗の意志、貫く!」


凛が祈祷の札を掲げる。「美津子の力で、封じる!」


結晶の破片が竜巻のように襲う。葵が腹をかすめられ、拓海が胸を切り裂かれ、凛が祈祷の札を燃やされる。

「うっ…!」


宗一郎が笑う「無駄だ…世界は…私の迷宮に…」


葵が叫ぶ

「私たち…負けない! みんなの声、聞こえる!」


住民の声が迷宮に響く

「潮見町は自由だ!」


凛が最後の祈祷を唱える

「光の集団よ、永遠に闇へ!」


葵と拓海が同時に光の柱にナイフを突き刺す

「宗一郎! 終わりだ!」


宗一郎の魂が悲鳴を上げ、結晶が砕ける。迷宮が光に包まれ、崩れ始める。


9.

光が収まり、3人は迷宮の中心に倒れていた。結晶は灰と化し、ささやきは消える。葵が息を切らし、言う。


「終わった…?」


凛が首を振る。「宗一郎の魂…まだ完全に消えてない」


拓海が立ち上がり、言う。「なら、追い詰める!」


だが、光の柱の残骸から、青い霧が立ち昇る。宗一郎の声が響く。


「私の楽園…新たな宿主…見つけた…」


地上の広場で、少女が青い結晶の破片を拾う。彼女の目が青く光り、ささやく。

「楽園…私のもの…」


葵が震える。「新たな宿主…誰!?」


凛が祈祷の札を握り、言う。


「宗一郎の意志…まだ生きてる」


拓海が拳を握る。「次は…その宿主を見つける!」


霧が町を包み、ささやきが響く。


「新たな宿主…見つけた…」

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