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鏡の迷宮  作者: 憂月
第1部 始まりの影
13/28

第13話 光の終幕

1.

霧月寺での戦いから4か月。悠真は東京のアパートで、日常を取り戻そうとしていたが、夜ごとの悪夢は消えない。迷宮の無数の鏡、白石瑠璃の瞳のない白い目、創設者アキラの赤く光る目、副指導者カズヤの冷たい笑み。


「ゆうま…みさき…恭司…私たち…まだ…ここに…」


アパートの洗面所の鏡に映る自分の顔が、時折歪む。姉・彩花の声が、頭の奥で響く。「ゆうま…なぜ助けなかった…?」 悠真は目を閉じ、拳を握る。

「もう終わった…カズヤも消えた…」


スマートフォンに、美咲からの着信。

「悠真、助けて! 霧谷町で変なことが…住民が鏡を見て、集団で動いてる!」 彼女の声は恐怖で震えている。


佐藤からもメッセージ。

「町の古い時計塔に、教団の最終計画の記録がある。すぐ来てくれ」


悠真は胸のざわめきを抑え、返信する。「今行く」。だが、心の奥で恐怖が膨らむ。洋館、神社の蔵、博物館、霧月寺で7つの鏡を全て壊したはずだった。なのに、なぜ? 呪いは町全体に広がっている。


その夜、悠真の部屋の鏡が波打つ。そこに映るのは、彩花でも瑠璃でもカズヤでもない。光の粒子が集まり、異形の姿。


「ゆうま…新たな宿主…町が…私のもの…」


2.

翌日、悠真、美咲、佐藤は霧谷町の中心にある古い時計塔に集まった。霧に包まれた町は、住民が無言で鏡を見つめ、ささやきを口にする。時計塔は朽ちかけ、針は止まったまま。佐藤が教団の記録を手に言う。


「ここは教団の『聖域』。町全体を『楽園の器』にする最終の儀式場だ」


美咲が震える。

「町全体? 7つの鏡は壊したのに…まだ続くの?」


悠真が銀のナイフを握り、言う。

「終わらせる。今度こそ、完全に」


3人は時計塔の地下へ続く階段を降りる。冷たい空気、湿った石壁。地下に、巨大な井戸。「魂の井戸」と記された碑文。井戸の水面が鏡のように光り、ささやきが響く。

「ゆうま…みさき…恭司…町は…私のもの…」


佐藤が呟く。

「教団の最終計画だ。7つの鏡は魂を縛る道具だったが、町全体を迷宮に変えるのが真の目的だった」



3.


井戸の水面に、光の粒子が集まり、巨大な姿を形成。「光の使者」と名乗る存在。教団の全魂が融合した、呪いの最終形態。

「私は…光の集団…町は私の楽園…お前たちの魂…私のもの…」


悠真が叫ぶ。


「光の使者? お前が呪いの最後だな! 終わらせる!」


使者の笑い声が響く。


「終わる? 愚かな…町は私の器…お前たちの意志…私のもの…」


美咲が泣きながら叫ぶ。


「住民が…操られてる! どうすれば…!」


佐藤が記録を握り、言う。「教団の計画は、町の住民の心を一つにし、迷宮を完成させること。光の使者は、住民の意志を吸収してる」


井戸が光り、町全体が揺れる。住民たちが時計塔に集まり、鏡を手にささやく。「楽園…楽園…」


4.

突然、井戸から亮太の幻影が現れる。

白い目はなく、穏やかな表情。


「恭司…俺は…教団の真実を知ってる…」


佐藤が叫ぶ。「亮太! お前…まだそこに!?」


亮太が囁く。「教団は…町を支配したかった。アキラもカズヤも、道具だった。真の目的は…住民の心を迷宮に閉じ込めること…」


悠真が叫ぶ。「どうすれば止まる!?」


亮太が微笑む。


「住民の心を…目覚めさせるんだ。意志を…一つに…」


佐藤が記録をめくる。


「『魂の井戸は、住民の意志で浄化される』。町の人々を団結させ、使者を打ち消すんだ!」


5.

3人は時計塔の広場に住民を集める。悠真が叫ぶ。


「みんな! 目を覚ませ! 教団の呪いに負けるな!」


美咲が涙ながらに訴える。


「私も怖かった…でも、進むんだ! みんなで!」


佐藤が記録を掲げ、叫ぶ。


「霧谷町は自由だ! 呪いを断ち切る!」


住民が鏡を捨て、声を上げる。


「楽園はいらない! 自由が欲しい!」


井戸が光り、光の使者が咆哮する。


「私の楽園…!」


悠真がナイフを井戸に投げ、美咲が住民の手を取り、佐藤が教団の呪文を破壊する言葉を叫ぶ。


「光の集団よ、闇に還れ!」


井戸が光を放ち、使者が崩れる。

住民の声が響き、町が光に包まれる。


6.

光が収まり、3人は時計塔の広場に立つ。井戸は静かになり、霧が消える。ささやきは聞こえない。


「終わった…?」 美咲が呟く。


佐藤が頷く。

「光の使者を倒した。7つの鏡も、町の呪いも終わった」


悠真が拳を握る。「やった…俺たちは…町を救った」


住民が3人を囲み、感謝の声を上げる。子供が笑い、老人が涙を流す。


佐藤が記録を閉じ、言う。

「教団の罪は終わった。俺たちは…前に進める」


美咲が微笑む。「瑠璃も…亮太も…自由だね」


悠真が空を見上げる。「姉貴…見ててくれ」


7.

5年後。悠真は画家として、彩花の笑顔をキャンバスに描く。


美咲はカウンセラーとして、トラウマを癒す仕事をし、

佐藤は歴史家として、教団の記録を後世に残す。


霧谷町は穏やかな日常を取り戻した。


遠く、海沿いの港町「潮見町」。


大学生の葵は、古いアパートの鏡に奇妙な影を見る。


「何…これ…?」


記者の拓海が、町の怪奇事件を追う。


「鏡の噂…またか?」


霊能者の凛が、鏡の破片に触れ、震える。


「これは…呪いだ…」


鏡の破片が、青い光を放つ。影の結晶が、町に広がる。


「新たな宿主…見つけた…」

第1部 完

一応これで第1部は完結となりました

最後はうまく思いつかず蛇足となりましたが…

取り敢えず今後も宜しくお願いします(._.)

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