現実逃避部、異世界でまさかのカフェ開店!? 【完】
「これはこっち。あれはそっち」
どんどん家具が建物の中に運ばれ、どんどん日が西へ傾く。
あっと言う間に夜になった。
「完成!」
ふぅ、と汗を拭う。
「ありがとうございました。もう、本当の完成です。明日、またこちらに来てください。『おつかれ様会』を開くので」
疲れきった俺たちを見て、村人は言った。
翌日、俺たちは完成したカフェに向かった。
ドアを開けると、カランと木がぶつかる音がした。
少し暗めの店内。暖色の光が美しい。
自分が作ったと再び思うと、嬉しくなる。すると、「ういーっす」と店員のような服を着た俺たちと同じくらいの年齢の女の人がこちらに来た。
「あれー? 白月中じゃん」
「は⁉︎」
なぜ、俺たちの中学校を知っているのか。俺たちが通っている
白月中学校は、テレビに出るような学校では無く、そこら辺にある平凡な学校だ。
そう考えると、もしかしたらこの人も……。いや、違う。ここには俺たちしかいない。
「私は伊集院れい。好きなものは金。よろしくね、しおんくん」
「え……?」
なぜ、俺の名前を知っているのだろうか。
「なんで知ってるかって? 私も白月中生で、現実逃避部の部員だからね」
現実逃避部所属……? 「伊集院れい」は不登校だと周りから聞いたことがある。
「この世界に居すぎて……っていうか、居たくて学校に行ってない、不登校ってなってるんだよー。まあ、そんなことは気にせず、ゆっくりしてってよ。あ、コーヒー飲む?」
「飲みたい」
「金一本ね」
金一本──金の延べ棒一本ということか?
「うん。それだよ」
「って、払えるか!!」
俺たちが持ってると思っているのか。
すると、つぐみが「これでいい?」と怪しいケースを取り出した。
「何それ!?」
箱を開けると、中には金の延べ棒が三本入っていた。
「はぁ!?」
れいはそれを見て、目を輝かせながら「これこれ! マジでありがとう!」と言った。
「本当にありがとう。現実逃避部のみなさん」
村人がゆっくり、落ち着いた声で言った。
「いえいえ。ってかなぜ現実逃避部を知ってるんですか?」
「あの人に聞いたんです。あ、そうだ。あなたたちにお願いがあるんです」
お願い……?
「アズライールを倒してください」
アズライール……。前にゴルドさんが言っていた奴か。
俺は「わかりました」と言った。
倒せる自信がないのに、受けてしまった。
断ったら申し訳ない気がして。俺は頼まれごとは嫌でも受けてしまう──絶対に断ることができない人間なのだ。
俺はコーヒーを飲んだ。苦いけれどおいしい。……が。
「眠く、なってきた」
「わ、私も……」
「俺もだ。こんな俺が……。情けねぇ……」
俺たちは眠ってしまった。
目を開けるとそこは見慣れた部室だった。どうやらクリアしたらしい。机の上には『クリア』とピクセル文字で書かれた紙が置かれていた。
「やっほー。みんな」
後ろから声がした。振り返るとれいがいた。
「れいも来たんかよ!」
「だって、私もアズライール倒したいし。あと、あのコーヒー飲んでからさ」
彼女の話によると、あのコーヒーには、元の世界に戻れる薬が入っていたらしい。
「へぇ」
すると、また後ろから声がした。
「こんちわ」
再び振り返るとそこにはヤギがいた。
「はぁー!?」
現実逃避部、異世界でまさかのカフェ開店!? END
部活に入ったら異世界でした。はまだ続きます。
現実逃避部、異世界でまさかのカフェ開店!? という話が終わっただけです。




