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1.天岳の城

 青く澄んだ天空を鳥たちが飛び回る。

 その天を望むように高くそびえ立つ東部の峰々一帯を、天上の山──天岳(てんがく)と呼んだ。

 何処ぞの頂には、空から舞い降りた天女が憩った場所があると噂されている。その山岳を手中に収めているのが千氏(せんし)と呼ばれる一族だ。

 千氏は恐ろしいまでに胴欲な一族で、祖先は天女の一人を欲し、羽衣を奪い取り強引に伴侶としたと云われている。

 血筋に天人の血が混ざっている故か、どこか異質な気を持っているのも一族の特徴だ。

 その胴欲さと異質な気で、今から十数年前、時の王族であった魏氏(ぎし)を容赦のない猛攻で玉座から蹴落として、王位を奪い取った。

 そして、山岳の一つ、羽山(うざん)と呼ばれる山を大きく切り開き、王城となる碧霄城(へきしょうじょう)を築いた。

 こうして天岳羽山の千氏による千王朝が──


「──始まった、と。山の中にこんなにも広大な城を築くなんてなんとも豪快と言いますか、大胆不敵な千氏らしいですわね」


 碧霄城の後宮で李殊(りしゅ)はふぅ、と小さくため息をついた。

 李殊は碧霄城の奥にある後宮の下女だ。

 それも三日前に入ったばかりの新米。小柄な身体と少し幼気な顔立ち。しかし品を感じさせる言葉遣いと、冷静ながらも堂々とした性格から、既に長年宮仕えをする侍女のような貫禄がある。

 そんな彼女は一人ふらふらと後宮内を歩き回っていた。


「まさかあの蘭釆(らんはん)にこんな風に働かさせれる日が来るなんて」


 こんなにも足で歩くのはこれが初めてて、「ふぅ……」とまた態とらしく息を吐くと、事の経緯を振り返る。

 あれはまだ天岳への来る前の事だった──。

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