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0.彩鳥
繊指が持つ杯の中、注がれたものは濁り一つなく澄み切っていて、杯底までくっきりと映している。
水面に浮かぶそれを見つめていると、聞こえてきた美しい音色に顔を上げる。
そばの籠の中で愛鳥が鮮やかな羽をはためかせ、その美しさにうっとりと赤紅の唇が綻んだ。
部屋には丸窓からあたたかな陽の光が差し込み、愛鳥のさえずりが響いて、なんとも趣のある情景か。
あまりにも穏やかで、いつもと変わらない昼下がり、女は微笑みを浮かべ、そっと杯に口付けた。
夜も暮れた頃、部屋で女が口から血を吐いて倒れているのが見つかった。
話を知らされ慌てて愛する人の元へとやってきた男は、目の前の光景に崩れ落ちた。
誰もが言葉を失う中で、籠の中の彩羽の鳥だけはずっと鳴いていた。
落ち着きなくはたはたと羽を動かし、抜けた落ちた羽根が女の長く垂れた髪に被さり、まるで着飾っているようだ。
それは何とも美しく、どこか虚しく、そして怖ろしさを感じさせた。
ある日、女が病に伏せた。
使われたのは毒。
水に混ぜられた猛毒が原因とされるが、犯人は見つかっていない。
果たして毒を飲ませたのは誰か?




