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二人だけの空間

「え、体がユメになるって一体」

「そのままの意味です」


そう言われてすぐに目の前に画面が現れた。


『種族:半神半魔に進化しました』

「うそ・・・」

「嘘ではありません、本当です。その証拠に目が私と同じ様に赤くなっています」


寝室にある姿見を指差しながら俺に見るよう促してくる。

するとそこには日本人の一般的な顔に、見たこともない赤い瞳が輝いていた。


「ほんとだ。まじか・・・」

「本当です。ですが心配する必要はありません。これも必要なことなのです。そもそもこれにはしっかり理由がありまして」


隣でユメが説明してくれているのは分かるが、今はそれどころではないほど心が昂っていた。


「めっちゃかっこいい。ユメと同じ綺麗な赤い目だ」

「え、あっ、はい。そうですね。私はてっきり嫌なのではと思っていましたが違っていましたね」


どこか照れ臭そうにじている様に思う(表情には出にくいので分からないが)。

そして後になって気づいた。「半神半魔」と表示された意味を


「そうだ。そしたらユメは神様で悪魔でもあるってことか」


聞いていいことだったのだろうか。言った後になって不安になってきた。

するとユメはいつもと変わらない様子で返してくれる。


「そうです。言っていませんでしたね。申し訳ありません。ですがマスター」


そう言うとユメは少し間を開けた後、覚悟を決めたように話を続けた。


「マスターは、私が半神半魔と知って・・・怖いですか」


何を言うのかと思ったけど、気にもしていなかった質問に逆に答えづらいな。


「いやーその、自分が初めに聞いておいてアレだけど、ユメがなんであろうと俺は気にならないかな。だって知ったからってユメが変わるわけじゃないし。そもそも俺だって自分が人間なんだって意識しながら生活してるわけじゃないし、特に気にするここじゃないというか」


んー自分で言ってて何を伝えたいのか分からなくなってきたぞ。

とにかく気にしてないって言いたいだけなんだけど。


「そうですか、答えてくださりありがとうございます。その、もうわかりましたので説明の続きを」


どこか照れ臭そうに説明の続きをしてくれている。


「まだ言っていないことなのですが、ステータスが一ずつ上がっていくこのスキルは「私の中にある力をマスターと私の間にある目に見えないパスを通じて私の力を送り込んでいるもの」なのです。その為力に耐えられる様に体も一緒に変化し、私に見た目が近づいていると言うわけです」


なるほどなんとなく分かった気がする。

要はユメが少しずつ力を分けてくれていて、その力に耐え切れる体にしてくれたと言うことか。

コレってそもそも俺の為にしてくれてることだし感謝しかないよね。

こんなぶっ飛んだ事も、ユメがいなかったら体験すらできなかったんだし。


「ユメ、ありがとう、僕を選んでくれて。今俺すっごいわくわくしてるよ」

「あっ、いえ、こちらこそありがとうございます」


こんな面白い日常をくれたユメに感謝を伝えたくなった。

これからの未来を思うと楽しみで仕方ない、、、、みらい、あっ。


「そういえばユメ、そうなると俺はこれからどうなるんだ」

「はい、体も以前のものより強靭になり、おそらく私達のパスも太くなっていますので、明日の朝にはさらにプラス値が上がっているはずですよ。そして見た目に関してもこれからさらに変化起きます」

「じゃあもしかして、俺も女の子になっちゃったりして」

「いえ、流石にそこまでは変わることはありませんのでご安心ください」

「はい、了解です」


流石にないらしい。



その後、いくつか気づいたことがある。昨日に比べて各段に体が動く様になった。

例えは「スキル:手」の練習では使っていくうちにより大きいものを持てるようになるのだが、動かす数か増えると処理が難しくうまく動かせなかった。

同じく「危機感知」も頭では分かっていても、銃弾のように早いものには体が追いつけなくなってしまう。

しかし、その二つは体が変化した事で対応できるようになった。

体や脳までもが変わったらしい。




そして時間の流れは早いもので


「マスターここでは時間は止まっています」

「ユメ静かに」

「はい・・・」


異空間での訓練を始めて丁度10年が経とうとしていた。


「マスター準備はよろしいですか」


そう問いかけるユメに俺は決意を込めた返事をする


「ああ、始めてくれユメ」


そう言うとユメは指を軽く鳴らした。

すると目の前に画面が表示される



『クエスト』

魔力の塔を登り最上階のモンスターの撃破


報酬:神の雫・死魔法

失敗:マスターの死亡



「あなたへ送る最後の涙?クエスト名なんて付くんだ。なんかすごい雰囲気あるね」

「はい、マスターとの今までの十年、そしてこれから一緒に歩む未来への門出を表して付けてみました。恥ずかしいのであまり突っ込まないでください」


照れ臭そうにしながらユメはクエストの詳細をしてくれた。


「このクエストは階層ごとになっている塔を一つ一つ攻略していくものになります。今回私はクエストの性質上一緒に行くことが出来ませんのでここで待機しておきます。次にその世界はこの異空間と同じ様に現実世界の時間は進みませんが、我々の「スキル10年」のカウントは進みます。この「スキル10年」の終了時間が後一日ですのでタイムリミットはあと二十四時間になります。他のクエストと比べるとそこまで高い難易度ではありませんので、今の力を存分にお使いください。説明は以上になります」

「うん、説明してくれてありがと。そしたら始めてくれ」

「承知いたしました」


ユメは腕を空中にかざした。

すると紫色のオーラのようなものを纏った入り口が出現した。


「それでは帰りをお待ちしております。マスター」

「うん、行ってきます」


ゲートから香ってくる甘く香ばしい匂いに違和感を感じたもののこの足を止めることなんてできない。

こうして赤坂の母親を救うクエストが始まった。




ゲートを潜るとそこには大きな塔がそびえ立っていた、訳ではなく塔を上から見下ろせるほどの空の上にいた。


「落ちてるーって、まあ高層ビルから落ちた時と似た様な感覚かな」


ユメに修行だと言われてビルの上から突き落とされた時の記憶が蘇る。

落ちても大丈夫な体になったけど一応、地面が安全か気になったので地面に目を凝らしてみる。


「なんかトゲトゲしたヤツがあるけど。もしかして地面に剣山生えてるとか?流石に死ぬよね」


こんな序盤で死ぬわけにはいかない。

この十年全てが無駄になってしまう。

それだけはだめだ。

そう思い落下しながら届かない壁に手を伸ばす。


(スキル手)


腕を動かすのと同じ感覚でスキルを発動させる。

すると塔の壁に爪の様な後が刻まれていく。

次第に体が落下する速度は落ちていった。


「これ、間に合うよね」


速度は落ちていくものの剣山に衝突しないかはかなり怪しい。


「とまれーーーーっっ」


怖いのでスキルに少し力を込めておく。

みるみるうちに塔の壁の傷が大きくなっていった。

と言うか大きくなり過ぎてしまったかもしれない。

五つの柱の様に続いた傷はいつしか一つになり大きな穴へと変わっていった。

そしてそれとほぼ同時に体も静止した。


「危なかった。もうすぐで串刺しになるところだ」


剣山との距離が丁度りんご一個分くらいだろうか。

なんとか止まってくれたらしい。

頬には汗が滴っているのがわかる。


「とりあえこの自作した穴から入ればいいかな」


周りを見回しても入り口はなく。

元々人を入れる気がないかの様だ。


「と、その前に武器が何もないって言うのは怖いな」


今度は少し大きめにスキルを使った。

すると地面に突き刺さっていた人間が使うのに丁度いい大きさの剣山が次々とへし折れ始めた。

広さで言うと東京ドーム二個分くらいだろうか。

そしてスキルで浮かしたまま、剣たちと一緒に塔へ入っていく。

自分を先頭に剣が長く続く様はどこかのRPGを彷彿ほうふつとさせる。


「初めての実践だ。気を引き締めて望まないと」


そんな独り言が響きわたるほどの広い空間。

一人だととても寂しく感じる。ユメの存在に深く感謝した。

10年で強くなったとしても、人間はそうそう変わらないらしい。




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