あなたと一つになりたい
第四話「あなたと一つになりたい」です。
最近プロットというものを知りこの回で実践してみました。
これからも皆様に楽しい作品を提供できる様、頑張ります。
何もない異空間で二人の人間が向かい合って座っている。
片方は一般的な男子高校生、もう一人は中学生くらいだろうか、色白に白い髪。赤い瞳がとてもよく似合っている。
俺のことを嫌いだとはっきりと公言した挙句、初めての交通事故に遭わした本人であることを除けばとても可愛い見た目をしている。
つまり、そう簡単に信用することはできない相手ということ。
「話を戻すけどあなたはあのシステムで間違いないんだよね」
「はい、間違いありません。私はマスターの願いを叶える為に存在しています」
予想外に少し驚いてしまう。
「そ、そうか。まあ今聞きたい事とかはいっぱいあるんだけど、とにかく今は早くここから出ないといけないんだ」
「赤坂陽葵の母を救いたいからですか」
全くその通りだった。まるで俺の考えを完全に見透かしているような感じ。
そして彼女は続ける。
「今のあなたがここから出ても何もできませんよ。あなたの持っている残りの時間をすべて与えて生かそうとお考えなのでしょう。それは確かにそれは可能です。ですが原因を無視して先延ばしにしようとしているに過ぎません」
「じゃあ、俺にできることはないってこと」
あっさりと否定されてしまい、少し落ち込んでしまう。
「話はまだ終わっていませんよ。救う方法はあります。私はどんな願いも叶える力がありますから。ですが厳密には少し違います。私はあなたの夢をカタチにして報酬として渡すことができます。でもその分何かしらの苦難が一緒に生まれてしまうのです。簡単に言うとプラスの力である「報酬」をゼロに戻すためのその分マイナスの力として「苦難」が生まれるという感じでしょうか。なので今のあなたの願望をカタチにすると、クリアする前にあなたが死にます」
わかったような、わからないような話だ。
でもそれじゃあ俺は、無意識に「危機感知」とかいう力を望んで赤坂を巻き込んだってことになるのか。
彼女を助けていい気になっていた俺が死ぬほど愚かじゃないか。なんて迷惑な存在なんだ。
「・・・・・・マスター、悩んでいる暇はあるのですか。第二の人生を歩むんですよね、まるで変わっていませんよ。要はマスターが強くなればいいのです。私ならそれすら叶えることができます。一緒に世界を楽しみましょ」
ああ、そうだった。
「決意をこんなすぐに忘れちゃダメだな。聞かせてくれ。俺が強くなる方法を」
「やっぱりそっちの顔の方が私はいいですよ。ではまず、残りの10年使いましょうか」
「そもそもその「10年」ってなんなんだ」
そういうと少し考え込んで
「5億年のボタンの10年バージョンでしょうか。ですか記憶もなくなりませんし、時間が進むこの空間にいるよりはいいと思います。そしてそこで10年間を過ごしてもらいます。そうすれば1日ずつステータスが+1されていきますので、3600は+されるでしょう」
かなり地道だけどそれなら確実に強くなることができる。
「なるほど、やりたいことはわかったけど、時間が進まない限り、ここから出られないんじゃないの」
「いえ、ここから出る条件はあなたが5年間分の時間を体験することで解放されます。なので10年分を体験し終わった瞬間にこの世界からも出られるというわけです」
「なるほど。じゃあすぐに始めた方がいいよね」
するとシステムは手を前に掲げた。空中に画面が現れ、画面がいくつも切り替わり。人が通れるほどの四角い闇が現れた。
「では、こちらにお入りください」
促されるまま、足をすすめる。
その闇に触れると生暖かく、誰かに見守れているような感じがして緊張した。
俺が想像していたのは何もないさっきと同じような空間だ。
でもこの空間は違った。うん、違い過ぎた。そこは寝室なんだろう。ベットがあり、間接用命もある。
そんな中で俺は彼女に押し倒されて、見つめあってる。どうしてこうなったのか。
「マスター」
吐息がかかる距離、どうしても彼女から目が離せない。
「いや、その、早く退いてくれないか」
「だめ、、なんです。私はあなたに・・・」
顔がどんどん近づいてくる。名前も知らない少女に俺は今、何ができるのだろうか。
「私と今度こそ一つに」
彼女は額をくっつけてきた。そしてすぐに離してくれました。
さっきのは何だったんだよ。
『手Lv1:少し離れたものに触ることができる』
見慣れた画面が映し出された。
「スキル渡すくらいならもっと別の方法とかなかったの」
「ありません、一番効率の良い方法です。5年間寝るだけではもったいないので私からのささやかな贈り物もです。うまく使えるように一緒に練習しましょうね」
「はい、頑張ります」
なんだかとても疲れる。
それ以外にも彼女に対してどうにも照れくささを感じてしまって彼女と目を合わせることができない。
女性経験の少ない俺にとって、ああいうこと自体が体にわるい。
それでもせっかくもらったものならばと改めて画面を開いてみる
名前:黒井 瑠叶
性別:男
年齢:17歳
STR(筋力):7
CON(体力):9
スキル:全ステータス上昇+1、危機感値Lv1、手Lv1、10年「使用中」
「おお、かなり見やすくなってる」
「はい、新規登録して正式に契しましたので当然です」
表情には出していないがとても自慢げなのを感じる。
「名前までしっかり書かれてるんだ。あ、そういえば君にも名前とかってあるの」
そういえばと思い聞いてみた
「名前ですか、人から呼ばれる名前はありましたが、マスターが私に名付けてみてください」
えっ、名づけなんて飼っていた犬にしかしたことないけど、んーそうだな。
「ユメなんてどうかな。俺にとっての夢の形みたいなものだから」
「安直ですね」
そうですよねー
「ですが良い名前です。ユメ、いいですね」
そういうと彼女は嬉しそうに笑ってくれた。きっとそのの笑顔は一生忘れられないだろう。
ここにきてどれだけの時間が経っただろうか「ここにきて丁度一ヶ月が経ちました、マスター」「うん、ありがとユメ、でも今語り部してるからあっちの方行っててくれないかな」「そうですか、承知しました」
うん、ここにきて丁度一ヶ月が経ちました。
寝室から始まった世界ですがこの空間は相乗以上に広いところのようです。
部屋を出てみると普通のファミリー向けのマンションの一室のようなところで、外には普通の街並みと変わらない景色が広がっていました。
スキルの練習をひたすら続ける毎日で、疲れたら寝る。そんな生活です。
一ヶ月も経てばかなり力が付いてきたことを実感しました。もう車と同じ速度で走るのは余裕です。
そして、それとは別にある事件が起きました。
それは今日の朝、起きる直前の寝室でのことです。
(なんだか、ものすごい視線を感じる。少しだけ目を開けてみるか)
ユメがいた。
(なんでいるんだ。どうして一緒に添い寝してることになってるの。えーと確か昨日は別れて寝ていたはずなんだけどな。こういう時、どうすればいいんだ)
俺は灰色の脳みそをフル回転して打開策を考える。
そうだ!離れるまで狸寝入りを
「おはようございます。マスター、朝ですよ」
「はい、おはようございます」
先に声をかけられては仕方ない。起きるしかないよね。
「あのさユメ、一つ聞いていいかな」
「なんでしょう」
「いや、その、今日なんで添い寝してたわけ」
「今日、でございますか。この生活を始めてから毎日マスターが寝た後には側におりましたが、マスターの体になんらかの変化がないかを確認するためです」
いま、聞き捨てならないことを聞いた気がする。けどそれよりも
「体に変化ってどういうこと」
「はい、要するにですね。『マスターは私と似た様な見た目になるかもしれない』ということです」
「え」
そんなことある
第四話「あなたと一つになりたい」最後まで読んでくださりありがとうございます。
今読んでくれているあなたに感謝です。




