転生者を二人やったところですが、ついでに全く無関係の勇者をのしてきます。
「あ、帰ってきた」
「…………」
天界へ帰るとモブAとモブBが待っていた。モブBはさっきオークにやられた男だ。
「どうしたの?」
笑いながらモブBに話しかけてやった。
「……女神様が、けしかけたのか?」
「あー、さっきのオーク? ぶっ、そうだけど?」
「何でなんだよおお!」
「暇だったから」
「ひ、暇!?」
Bも相変わらずAと同じ反応だ。
「さーて、次々〜……ってちょっと待てえええ!」
「「!?」」
私の叫びにAとBが肩をびくつかせた。
次のチーターを決めようと水晶を覗くと、魔王と勇者の決戦が映し出されているではないか。
それに、何やら魔王が押されており今にもやられてしまいそうなんだけど!?
それではいけない。このまま魔王がやられると、その世界は平和になってしまうというクソしょーもないテンプレ展開になってしまう!
「それはダメええ! く、急いで魔王を助けなくては!」
ゲートを辿って、魔王城へとやってきた。
「このまま私が勇者をぶっ飛ばしてもいいんだけど、魔王に良い気分を味わってもらいたいわね……」
しばし思考に浸る。
よし決めた。方法は至ってシンプルかつ、チート。
「私が力を授かればいいんだわ!」
そう決めるや否や、即座に魔王城の天辺まで一っ飛びする。
天窓から見えるのは、今まさにこの瞬間、勇者の男ががトドメの一撃を魔王の女に見舞う寸前だ。
「ふっざけんなよこのカス勇者如きがああ!」
魔王にパワーを送る。すると──、
「覚悟しろまおぶぇ!?」
「力が溢れてくる。神は我を見離さなかったようだ」
魔王が勇者の首を手刀で切り落とした。
「「「ひ、ひいいいい!」」」
三人の勇者の仲間達は怯え、逃げ出そうとする。
しかし、魔王がそれを見逃すはずも無く。
「そい! そい! そい!」
心地よいテンポと掛け声をだして、魔王は勇者の仲間達の首を跳ねた。
「何故かは分からぬが、良い! 実に良い気分だぞ!」
魔王は歓喜に溺れ、天井を貫き、私へと近づいてくる。
「む、貴様。その気配女神だな!」
「そうよ。私が貴方に力を与えてあげたのよ」
「はーはっはっは。そいつはご苦労。……死ね!」
「は?」
ボキャ!
力を与えてやったというのに魔王が攻撃してきたので、カウンターを食らわせてやったわ。
「ぐ、ぐわあああ!」
ぶっ飛ばされた魔王は地面を貫き、そのまま反対側へとすっぽ抜けた。
ゴゴゴゴゴ。
「あら、いけないわね。この星の核を壊してしまったみたい」
このままだとこの星はビッグバンを起こす。
でも、私はビッグバンに耐えられるほどの防御力を誇るので、別に大丈夫。
「さーて、帰るとするかな──」
「君何してるの?」
「あ」
ゲートを開こうとしたら、後ろから声が聞こえたので振り向くと、そこには天界転生協会会長のジジイが居た──。