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伝説の始まり

よろしくお願いします!

 ショウに他に何か質問はないかと聞かれたハトは、話を聞いてもうまく理解しきれなかったことの確認をいくつかお願いした。



「あ、霊術のことで確認なんだけど。霊術と魔術っていうのは名前が違うだけで本質的には一緒。そして、どっちも霊力を消費するっていうことであってる?」


「大体あっているのだ。強いて言うのなら使い手によって名前が変わる、くらいなのだ」



 ハトが確認したことのほとんどはショウの言った通りに理解できており、精々ひと言ふた言補足するだけで済んだ。確認したいことはひとしきり確認し終わり、ハトは、



「よかったぁ。後は……他に覚えておいたほうがいいことはある?」



と、むしろ何を質問したらいいかがわからなくなっていた。何も知らない状態で覚えなきゃいけないことしかないとすれば仕方のないことかもしれない。のほほんとした表情でそうたずねたハトに対し、ショウは少し考え込むと真剣な表情になって話を切り出し始めた。



「……ハトよ」


「ん?なに?ショウ」


「お主、我と別れた後、行く宛はあるのだ?」



 そう。それはハトの今後についてだ。ショウは力はあっても知識がないハトのことが心配になったのだ。



「……ないけど、ひとまずこの森で過ごすつもり」



 ハトは特に何も考えていなかったため、ひとまず現状維持を口にした。しかし、その希望はショウの発言により潰えることとなる。



「実は、この森は神獣の一体、木を司る龍の領域なのだ」


「えっ」


「そして、火を司る鳥、つまり不死鳥はこの森の民にとことん嫌われてるのだ」


「なんで!?」



 それは現在地の森において、不死鳥は歓迎されていないという理由からだった。そもそも、他の神獣の縄張りであり、長居することは叶いそうもない。しかし、突然にそんなことを言われてもハトに納得も理解もできるはずもなく、思わず疑問を叫んでしまう。



「それは過去に起きたある事件が関わるのだが……一言でいうと森が燃えたのだ。ハトはそんなアウェイな森でこのままずっと過ごすつもりなのだ?」



 その疑問にショウは端的に解答をする。しかし、それだけで十分に納得できるものだった。



「それを聞いたら怖くなってきたよ!?ど、ど、ど、どうしよう!?」



 ハトは自分の置かれている現状に気付かされ、慌てふためき始めた。頼りになる相手などおらず、ましてやこの姿であるために人に助けを求めることもできない。それどころか、先程、襲われたばかりである。


 これに対してショウは真剣な表情を崩さず、話を続けた。



「むぅ……それと、お主は記憶を取り戻すためのきっかけが必要なのだ。それには一ヶ所にとどまっていては駄目だと思うのだ。あとは……」



 しかし、その内容はどこか理由を絞り出しているようで、他に何か言いたいことがあるようだった。



「まぁ、たしかにそうだけど……ねぇ、ショウは結局なにが言いたいの?」



 さすがのハトもショウが言いたい本当のことは別のことであることを察するが、何を言いたいのかは見当がつかない。しかし、わからないことで悩んでも仕方ないので、ハトはその内容を正面から正々堂々と問いただした。


 これに対して、ショウは意を決したような表情をして閉じていた口を開いた。



「……我と一緒に来ないか?」


「へっ」



 そのショウの発言はハトの意表を突いたものだった。全く予想していなかったために、ハトは思わず間抜けな声を出してしまう。しかし、そんなハトを意に介さず、ショウは言葉を続ける。



「もちろん、ハトの記憶を取り戻すための協力は惜しまないのだ。この世界についても知る限り教えるのだ。その代わり、我の目的にも少し協力してもらうのだが……どうなのだ?悪い取引ではないはずなのだ」



 ただひたすらに自分との行動に利があることを説明し続けるショウに、未だ衝撃が抜けきらないハトは、



「えっと……」



と、勢いにおされて言葉が出てこないでいた。これを悩んでいるのだと勘違いしたショウは、もう言えることがなくなったのだろうか、もう一押しだと言わんばかりに暴論を放ち始めた。



「……はっきり言って、ハトは未知の塊なのだ。わかることによっては世界の問題を解決する鍵になるかもしれないのだ。この機会を逃すのはバカのすることなのだ!」



 最早、暴論ではなく暴言である。暴言を言われたことでハトは咄嗟に反応してしまう。



「バカって!そこまで言わなくてもいいじゃんか!あぁ、いや、違うの……ぜひ、一緒にいてほしい。僕も僕のことを知りたい。忘れちゃいけなかった記憶が、あるんだ。今は思い出せないけど……絶対に思い出さなくちゃいけないことなんだ。お願いするよ」



 しかし、暴言に文句を言っている途中でショウの言っていたことを理解しきったハトは、言葉を翻して、自分のしなければいけないことを思い出して、色々な思いをのせてショウに同行のお願いをする。



「任せるのだ。よろしくなのだ、ハト」


「うん。よろしく、ショウ」



 こうしてハト、記憶喪失で元人間の不死鳥は喋る小動物に拾われて世界各地への旅に出ることになったのだった。その旅が世界を救うに至り、伝説として語られるようになることを、この時はまだ誰も知らなかった。

ここまで長々とお付き合いいただき、本当にありがとうございました!これにてこの物語の序章が終了となります。これからは一章、二章と続く予定ですが、更新のペースは落ちてしまいます。大変申し訳ございません。ですが、それでも読んでいただければ幸いです。これからも不死鳥転生救世伝をどうかよろしくお願いいたします!

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