♥ 警察署 7 / 取調室 4
セロフィート
「 両足の腱を切ってしまえば自由に動けなくなります。
両腕の腱を切れば、悪さが出来なくなります。
日々の生活は不便になりますけど、Gさんが犯罪を犯したり、犯罪に加担しなくて良くなります。
残りの人生を真っ当な人間として過ごせるようになります 」
マオ
「 うん、それが良いよ!
Gさんが、これ以上犯罪に手を染めないで真っ当に生きるには、悪い事をする手を使えなくするしかないよな?
連続強姦魔と手を組んで多くの被害者を絶望させて来たんだから、両腕と両足が使えなくなるぐらい、どうって事ないよな!
罪滅ぼしにはならないだろうけど、罰にはなるかな 」
連続強姦魔?
「 おい!!
何、勝手に決めてるんだ!!
オレから手と足を奪うなんて勝手に決め── 」
セロフィート
「 Gさん、『 君に人権はない 』と言いました。
それ以上ワタシのマオに近付かないでください 」
そうセロが言うと、Gさんは再び椅子から転げ落ちると、悲鳴を上げた。
何時の間にか剥がれてしまった爪は何事もなかったかのように綺麗に元に戻っているし、逆に折れ曲がってしまっていた指の関節も戻っている。
デスクの上や床に落ちていた爪が無くなっているから、間違いないだろう。
Gさんの身に何が起きたのかと言うと、Gさんの両足と両腕がピクリ──ともしなくなったんだ。
多分だけど、セロの仕業だろう。
Gさんは動きたくても動けない状態になっている。
本当に腱だけを切られただけなのか怪しい…。
セロフィート
「 マオ、出ましょう。
取り調べは済みました。
彼はティーバンさんに任せましょう 」
マオ
「 お、おぅ… 」
セロに促されたオレは、床に倒れているGさんを残したままセロと一緒に取り調べ室を出る事になった。
マオ
「 取り調べが終わったって事はだよ、【 連続強姦魔事件 】の真犯人が何処の誰なのか分かったんだ? 」
セロフィート
「 Gさんの彼女です 」
マオ
「 はい?
彼…女??
女が連続強姦魔なのか?? 」
セロフィート
「 男性だと思いました? 」
マオ
「 まぁな…。
だってさ、強姦事件だぞ。
普通は男が犯人じゃんか? 」
セロフィート
「 マオ、それは偏見です。
確かに強姦犯は男性が多いですけど、女性が強姦犯の事件もあります。
性欲が有ろうが無かろうが、女性も強姦します。
あまり世間で話題にならないので知られていないだけです 」
マオ
「 そういうもんか? 」
セロフィート
「 そういうものです。
女盗賊,女海賊,女山賊,女泥棒,女詐欺師,女怪盗,女殺人キラーが居るのですから、女強姦魔も居ます 」
マオ
「 た…確かに…。
言われてみればそうかも…。
だけどさ、強姦された被害者は女ばっかりなんだろ?
女が女を強姦するって……変じゃないか? 」
セロフィート
「 それも偏見です。
女性が男性を強姦するとは限りません。
男性の強姦魔の被害者が女性ばかりではない事と同じです。
男性が男性を強姦する事件があるのですから、女性が女性を強姦する事件もあります。
人の数だけ性癖もあるのです。
女性が女性を痴漢する事件もあれば、女性が幼女を誘拐して性奴隷にする事件もありますし、女性が保護した孤児を薬漬けにして人身売買する事件もあります。
女性だからと言って何時も被害者側とは限りません。
“ 女性だから被害者だ ” と頭から決め付けるのは差別ですし、男尊女卑です。
男女不平等な偏見です 」
マオ
「 そうなのかなぁ…。
じゃあ、【 連続強姦魔事件 】の真犯人でもあるGさんの彼女を緊急逮捕するわけだな? 」