♥ 警察署 4 / 取調室 1
──*──*──*── 取調室
取り調べ室の中へ入ると、如何にも優等生らしい若者が椅子に座っていた。
マオ
「{ えと……この人が刑事が逮捕したって言う噂の連続強姦魔なのか?
オレには悪事とは無縁そうな良民に見えるんだけど…… }」
セロフィート
「{ 何事も見た目で判断しない事です。
取り調べをすれば、彼の本性も分かります }」
マオ
「{ そだな…。
見た目の情報を真に受けたら駄目だよな }」
オレはセロを横目でチラッと見てから頷いた。
見た目で判断したら絶対に後悔する相手が、オレの直ぐ傍に居るって事を忘れていた。
勿論、セロの事だ。
セロは空いている椅子の上に静かに腰を下ろして座る。
椅子に座るだけの動作なのに優雅で気品が溢れ出ていて上品だ。
連続強姦魔はセロの美貌を目の前にして、言葉を失っているみたいだ。
ポカンと開けた口から涎が垂れてるんだけどぉ〜〜〜。
セロフィート
「 初めまして、連続強姦魔さん。
ワタシは【 オカルト謎探偵 】と呼ばれるセロッタ・ホームス・シンミンと言います。
多忙な刑事さんと交代して君の取り調べを任されました。
ワタシの事は “ ホームス ” と呼んでください。
彼はワタシの助手をしているマオ・ワトスン・シンミンです。
“ ワトスン ” と呼んでください。
呉々も馴れ馴れしく “ マオ ” とは呼ばないようにしてください。
早速、取り調べを始めましょう 」
マオ
「 …………あのさ、涎…垂れてるから拭いたらどうかな? 」
オレが連続強姦魔に声を掛けると、連続強姦魔は慌てて涎を袖で拭った。
恥ずかしいのか、顔が真っ赤っ赤だ。
セロフィート
「 ワタシは手品を使えます。
取り調べは初めてです。
ですから、手品を織り混ぜたワタシなりの取り調べをします。
ワタシの前では君に拒否権,黙秘権,人権は無い事を心得てください。
ワタシの質問には正直に答えてください。
嘘の場合、指の爪を1枚ずつ剥ぎます。
痛い思いをしたくなければ、正直に答えてください。
手足で20枚の爪がありますから、20回は嘘を吐けますね。
では──、始めましょう 」
セロは向かいに座るっている連続強姦魔に対して、笑顔を絶やさずに言った。
「 爪を剥ぐ 」って言ったよな?
セロが剥ぐのか?
いや、セロは取り調べをする役だから、もしかして──、助手のオレが連続強姦魔の爪を1枚ずつ剥ぐの??
嫌なんだが……。
マオ
「 セロ、爪を剥ぐってのは本気なのかよ?!
取り調べじゃなくて、拷問なんじゃ…… 」
セロフィート
「 本当と嘘を見分ける為には必要な処置です。
マオは何もしなくて良いです。
椅子に座って見ていてください 」
マオ
「 オレが爪を剥ぐ役じゃないんだ?
良かったぁ〜〜〜(////)」
オレはホッと胸を撫で下ろしたら、空いてる椅子に腰を下ろして座った。
何もしないで見てるだけならラッキーだな。
オレは大人しくセロの取り調べを観察している。
見てるだけってのも暇だな。
セロの声は惚れ惚れするから、ついつい聞き入ってしまっていたけど、これが極々一般的な取り調べではなかった事をまたもやオレはスッカリ忘れていたんだ。
セロの質問に対して、「 ノーコメント 」をした連続強姦魔が突如、けたたましい悲鳴を上げた。
セロフィート
「 言い忘れてましたね。
“ ノーコメント ” も嘘とみなしますから、爪を剥ぎます 」
マオ
「 セロ… 」
本当に “ 言い忘れていた ” のか怪しいな。
オレは嘘だと思う…。
連続強姦魔は怨めしそうな表情をしてセロを睨んでいるけど、当のセロは穏やかな笑顔で連続強姦魔を見ている。
セロフィート
「 そんな顔でワタシを睨んでも無駄です。
続けましょう 」