新型コロナウィルス感染
210604
2021年6月4日18時過ぎにスマートフォンに未登録の見知らぬ番号が表示されました。
普段は未登録の番号や非通知は取らない主義です。半端な個人情報を紐付けされるのは癪ですし、着信がなったときはちょうど夕飯のうどんを一口食べたときでした。
絶妙なタイミングで鳴る電話。
普段なら、舌打ちでもして、見知らぬ番号に再度舌打ちを重ねたでしょう。
ただ、この番号は取らなければなりません。
それは、前日の朝にPCR検査をしたからです。
受話器の向こう側からした声の主は検査を担当した男性医師でした。
声色は柔らかく、けれどどこか機械的で、淡々と検査結果を伝えてきます。
「えー、昨日の検査の結果ですが、えー、うん。陽性です。後ほど折返しで担当から聞き取り調査を行いますので、協力お願いします」
ブツっと切られる電話。この時、声色と淡々とした口調から、てっきり陰性だと思っていましたが、期待は裏切られ、特に電話先の相手にリアクションを取ることなかったです。
こうして、社会的に認められた、強制引きこもり生活が幕を上げました。
日時は少し巻き戻り、事の発端は知人が新型コロナウイルス陽性の連絡が来たことによる、濃厚接触者としての自宅待機から始まりました。
この時は特に体調に問題はなく、気ままにのんびりと過ごしていました。
動画配信サイトを観たり、部屋の掃除をしたり、冷凍のストックが切れた餃子を大量に作ったり、無駄にスライムを作ってみたり。
日々に飽きないように工夫をしながら過ごしていました。
こういうときこそ、書き溜めがあれば困らないですが、人間そううまく備えきれません。
もともと遅筆なのもあり、また、スマホ画面で長々と文字を打つのも得意ではないので、早々にやめました。
頭で思い浮かべた場面や会話を、キーボードではなくタッチパネルで延々と入力することがかなり苦痛であり、リズムが悪いことが起因です。
まあただのワガママなのですが。
ですが、ここで一つ体調に変化が出てきました。
PCRをすることになる前日、急に喉に痛みが走りました。
こう、イガイガしたものを飲み込んだような痛み。その違和感は時間が経つにつれて強くなり、夜寝る前には咳が出て、全身の寒気と38.5度を超える高熱が出始めました。
この時、『あ、これインフルやん。だってごっつ熱高いもん』と気楽に考えていた自分をバットで殴ってベッドに沈めてやりたいです。もう寝込んでいたけど。
そして、翌日の朝イチで保健所から連絡があり、所定の病院にてドライブスルーでのPCR検査をすることになりました。
濃厚接触者として引きこもり生活7日が経過しております、初のお出かけとなりますが、このときには39.5度の熱があったので悪いことしようという気すら起きない状態です。
PCRを終え、頓服の解熱剤を貰って早々に帰宅、軽く食事を取って薬を飲んでゴーベッドです。
ちなみに食欲はあり、味覚嗅覚の異常は全体を通してありませんでした。
210605
引きこもり生活を始めました。が、この日はまだ高熱が出ていたため、基本的にはすることはなく、ずっと寝ていました。
この日は気づきませんでしたが、ここから少しずつ普段と違うなという症状が出始めました。
210606
ここから徐々に熱は下がり、37度台に落ち着いています。
そして気付く違和感。お腹はすくけど、食べれない。
食べたあとにすぐ気分が悪くなる。動けなくなる。けれどすぐにお腹が空く。
このループでした。
幸いにも、味覚嗅覚の異常はなく、食欲自体は減退もなく、わりかし楽な方なのかなと思っていました。
けれど、軽めの食事でも、数口しか喉を通らない。
その異常を明確に意識したのは次の日でした。
210607
新型コロナに感染して、もう一つ苦しめられた症状があります。
それは『睡眠障害』でした。
とにかく寝れない。昼寝でも夜の就寝でも関係なく、何をしても寝れないのです。
20歳の時にインフルエンザにかかったあと、数ヶ月似たような症状になりましたが、その時との違いは、単純に体力がないということでした。
20歳の時分なら、寝れなくても遊べます。夏のインフルエンザを寛解したあと、ちょうど大学の夏休み期間中だったこともあり、カラオケや麻雀、ネットゲームなどして過ごしていました。
まるでショートスリーパーになった感覚で、時間を無駄に楽しく過ごせたことを覚えています。それもこれも、若さ故の体力が有り余っていたからに他ありません。
そしていま、私は30も過ぎたいい年齢です。
それ故に体力がない。日々を仕事と日常活動の繰り返しで浪費し、ようやく見つけたネット小説の趣味を隙間時間で過ごしていました。
幸運にも、私の業種は新型コロナの影響はあっても収入には響いていない稀なものなので、金銭的にカツカツになり自転車に乗って街中を縦横無尽に走り回る副業までしなくても生活レベルが下がることはありません。
ですが、加齢により落ちた体力はそう簡単に戻らない。寝れないという症状がより肉体的にも精神的にも重くのしかかってきます。
あと、20数年ぶりに虫歯になりました。今は痛みにもなれましたが、歯ブラシするたびにしみて地味にきついです。
食べれない、寝れない、歯も痛いと謎の三重苦が、私の新型コロナの大きな影響と言えるでしょう。あ、歯痛は関係ありませんでしたね。
210608
寝れない症状について、このころになるとなんとなく整理がついてきました。
主な影響は寝付けないことと途中覚醒です。
上手に寝れていないので、眠気は常時あります。熱もまだあったたため、解熱剤として処方されたカロナールも飲んでいました。
が、寝付けない。
寝る環境を最大限に整えて、ベッドに入っても、時間だけが無情にも過ぎていく。
ようやく寝れたと思っても、それは寝たではなく、寝落ちです。ほぼ、気絶に近いです。なので、体も脳も全然休息が取れません。
そして、気絶に近い寝落ちだからか、1~2時間で急に目が覚めます。これが途中覚醒です。
覚醒ですので、再度眠ろうと思ってもまたはじめからやり直し。これが朝まで続きます。
日中は食事もうまく取れず、胸焼けのような症状が食事毎に小一時間続きます。
調べてみると、逆流性食道炎に近い症状があることがわかっているそうです。
感覚も逆流性食道炎に似ているので、これはほぼ間違いないでしょう。おかゆなど胃や腸に優しいものに切り替えて気長に対処しました。
こればっかりは食べ物を試行錯誤して対応するしかありません。食べれないが続くと今度は低血糖や栄養失調で余計に問題ですので。
210609
発症より1週間が経ち、ようやく平熱まで下がってきました。
食事量はまだ改善の兆しはなく、睡眠障害は余計にきつくなる一方です。
寝れてない人間は、些細なことでイライラします。
食事も睡眠も、大事なストレスケアの項目です。
寝れている『今日』を大事に生きよう。そう、心で思う日々でした。
翌日、この日は久しぶりに寝ることができました。
理由は睡眠導入剤の使用です。たまたま家にあった処方された睡眠導入剤を試しに使ってみたところ、途中覚醒はあっても、眠りにつくことができるようになりました。
寝れたことが影響したのか、この日から食事も順調になり、味の濃いもの(ラーメンとかラーメンとか)を食べれることの喜びに見を震わせております。
210611
保健所の指示で、発症から10日が経ち、熱も平熱であることから、一度CT検査をすることになりました。
結果としては、軽度の肺炎の所見があるとのことでしたが、血中酸素濃度も軽度の低下だったため、そのまま自宅療養に戻されました。
症状が軽い方なら、新型コロナ発症より10日経過かつ72時間以上37.5度以上が確認されなければ、法的な治療や自宅療養が解除される運びとなるはずでしたが、軽度の肺炎とのことで、要はアディクションタイムの突入です。することは基本寝るだけです。
睡眠導入剤があれば寝れるということがわかり、市販の眠剤を買ってきてもらい、それを服用して寝ることにしました。
市販のものでも十分に効果があり、寝れることで体力の回復が早まり、胃もたれの症状もなくなり、あとは保健所判断の解除を待つだけとなりました。
そこから2日後、この日の夕方に保健所から連絡があり、あと一日様子を見て、咳症状などが軽減されていれば翌日に解除との通達がありました。
長い長い自宅療養にもようやく終わりが見えてきて嬉しい限りです。
そして、この経験を文字に起こそうと考えるようになりました。
210614
昼前に保健所から連絡があり、今日を持って解除とする通達が来ました。
ようやく開放です。解除日のその日いっぱいまでは外出自粛とのことで、後日発症日から解除日までを記載した封書が届くとのことです。
これは医療保険や疾病手当などの申請にも必要な書類ですので、この手続きを終えた日が、私の新型コロナとの戦いの最終日になります。
ちなみに、歯痛は完全に慣れてしまいました。後日治療してきます。
濃厚接触判定より、1週間自宅待機をした後の発症だったため、約3週間の自粛生活でしたが、発症が早ければ職場の方でも濃厚接触判定が出て、なおかつ感染を広めていた可能性があることを考えると、個人的には全体を通して運が良かったと思います。
職場となれば様々な年齢の方もおり、なおかつ歳を重ねれば持病の1つや2つあるのが人間です。さらにそこから同居家族に広める危険性もあり、感染力が高まる時期をいかに判断できるかが大事になるなと実感しました。
自宅周辺のお店が自粛休業をしている中、普通に営業している店舗も多くあります。近所なため、週末になれば楽しそうな声もよく聞こえます。周りの店が閉まっている中、人が集まるからと値段を釣り上げている店舗もあります。
人の噂はすぐに広まります。経済活動のためとはいえ、その行いは正当であるか、よく考えて行動してもらいたい。そう思う半月でした。
必要最低限の外出に絞り、外食も控え、実家にも帰らない生活を1年余していてもどこからか感染してしまった事実、みなさまももう一度反芻してみてください。
新型コロナはあなたの隣にいます。それと上手に付き合い、対策を行ってください。
目に見えないものである故、対策に正解はありません。ですが、間違いは確かにあります。
だれも戦犯にはなりたくない。でも、感染してしまうことは悪ではありません。その後の行動ですべては変わります。
鼻出しマスクしてませんか?
コンビニで買った酒をそこらへんで飲んでませんか?
良い情報と悪い情報の整理できていますか?
都合のいいように解釈していませんか?
あなたの行動が誰かを救い、誰かを殺します。
インフルエンザ対策で、十分人は守れます。
当たり前のことを当たり前にするのは難しいです。
それを続けるのはなお難しい。それでも、最低限ワクチンが行き届くまではこの生活は続きます。
私達はまだスタートラインにすら立っていません。ワクチンの十分な摂取を終えてこそのスタートラインです。オリンピックがゴールではありません。
まだしばらく続くであろう世界だからこそ、今一度見つめ直していただければ幸いです。