なんだかんだ、自分が教わることも多かった。
ゆーりゆーり様にはちょっと偉そうなアドバイスをしてしまったけれど、学ぶことがあったのは自分も同じだった。何の気なしに書いていた自分の物語、読む人が読めば「問題アリ」なのだそうだ。
『百合タグがついている作品には、最初から最後まで百合展開を期待してしまいますね……
そもそも男が作中に登場するだけで嫌悪感を持つ人だっていますし('_')
男との恋愛なんて、本当は以ての外なんです』
ゆーりゆーり様との交流のきっかけとなった、自分の作品。その男性オチ。どうやら百合ファンを絶望の底へと突き落とす禁じ手だったらしい。
正直に言って、いまいち腑には落ちていない。
タグとは作品にどのような『要素』があるかを示すものだ。要素とは作品の一部であって、全部ではない。女性キャラ同士の強い感情の繋がりが描かれれば、それがどのような結末を迎えようと『百合要素』のある作品であり、タグは付けてもいいと思うのだけれど、どうやら読む人が読めばそうでもないらしい。
いや、自分がどう思うかは一先ず括弧に入れてしまおう。
それよりも大事なこと。それは、楽しみのために書いている素人の物語が、他人を不快にすることもあるのだということ。それほど真面目に読んでくれる人がいるのだということ。
他のユーザーとの交流から何かを学び、それが物語に影響を及ぼしていくこと。時にはイラッとすることもあるけれど、それは小説投稿サイトならではのことであり、ゆーりゆーり様がいなければ気が付かないことでもあった。
とても楽しいことだと思うと同時に、最初に感想を書きこんでくれたゆーりゆーり様を小ばかにした過去の自分を恥ずかしく思った。
そうして自分は、『タグ』や『作品説明』に関しては今後気を付けようと、ゆーりゆーり様に誓ったのだった。
◇◇◇◇
『先輩、ちょっと明日、会えませんか』
悠里君からのメッセージが届いたのは、そんな事を考えながら次回作のアイデアを練っていた時だった。
『夕方でいい?』
『はい('◇')ゞ』
彼に会うのは、えっと、一週間ぶりか。なんか見覚えあるな。その('◇')ゞ。
次回最終話「先輩、僕の話が好きなんですね」