令和の所得倍増政策、進行
読んで頂いてありがとうございます。
遅くなり申し訳ありません。
2024年GDPは700兆円にへんこうしました。
以前のものも変更しました。
日本政府は2020年をRIDP(令和の所得倍増計画)の元年として、2024年を第一次5カ年計画の達成年としており、2034年をRIDPの達成年、すなわち所得倍増に到達する年としている。2019年末の日本のGDPは米中の貿易摩擦が大きく響き553兆円であり税収は65兆円であった。
それが、2024年末にはGDPは先述のように700兆円で税収等は87兆円、政府予算は112兆円となり、この時点の国債総額は1070兆円となっているが、そのうち日銀が620兆円を持っている。つまり予算の不足は25兆円であるが、国債費(国債の金利償還など)も25兆円であり、この時点でプライマリーバランスは達成されたことになる。
名目GDPの伸びは平均5%であったが、インフレ率が半分の2.5%であったので、実質の伸びは2.5%でなった。ただ、税収は名目値に対して徴収され、さらに赤字企業は課税されないが黒字化することで課税されるのでGDPの伸び以上に税収は増える傾向にある。
2020年当初は、政府予算の増加にともなって企業の設備投資が大きく増加した結果、GDPの伸びは大きかった。しかし、翌年、翌々年と政府予算の増加による効果は落ちていったが、それを補ったのがICT技術の産業への活用である。
その活用技術は、毎年1兆円以上の国費を投じた結果大きく進んだ。その成果は製造業、建設業、農業、水産業へと適用されていったが、現状のところでは主として建設業と製造業への適用が大きく進展しているところである。
加えて、政府は特殊法人などに対して、ICTの技術を活用して利益を上げることを強力に進めた結果、政府資産の部分の配当が増えて来たことも税収等の増加に貢献している。
それらを総合した結果が、プライマリーバランスの達成であり、この状態を続ければ国債は増えることはないということになる。しかし、“返済する”という目標には届いていないものの、名目年率5%の成長を続けて15年で553兆円のGDPを1106兆円に倍増させるという目標が達成できれば、間違いなくその目標も達成できるという計算になっている。
しかしながら、当初政府は5年でプライマリーバランスが達成できるとは想定していなかったし、5%のGDPの成長にも実は自信はなかった。この中で、政府資産から収入を増やすことが出来ないかという点は高橋も考えていた。これは、460兆円を超える政府資産は、日本国の海外資産による毎年の10兆円を上回る配当等による利益に見られるように利益を生んでしかるべきであるからである。
しかし、これらの政府資産は元来利益を求めての投資ではないことから、利益を生むのはなかなか難しいという見方が強かった。しかし、高橋大臣の後輩に当る財務省出身のエコノミスト狭山義彦が、これらの有効活用の話を高橋に持ち込んだものだ。その結果、狭山が高橋の後押しで内閣参事官の地位について辣腕を振るった結果、2024年には年間5兆円の収入を生むようになったのだ。
さらに、GDP5% 増についても、最初の2020年には10兆円の財政拡大が32兆円以上のGDP増につながったが、この増加は一時的なものであり、さらに同じ成長を続けるためには民間経済から生まれる成長の種が必要であることは政府は承知していた。その種として有力視されていたのが、ICT技術の活用であった。
ICT技術については、すでに要素技術そのものは開発されており、応用技術の開発と実務への適用が課題であったのだ。これは、民間の生産ももちろん、軍事にも大いに期待される分野の技術である。このことで思い出させるのは20世紀の中盤において、軍事向けの技術が民事に使われ、民事で汎用化された技術が軍事にも使われて相乗効果を出した例である。
だから、政府のICT技術への投資は防衛研究所との協力関係も前提としていた。これは、公にはしていなかったが特段秘密にもしていなかったので、問題にする政治家・科学者もいたが近年の北朝鮮、さらに中国の顕在化している脅威の前には世論としては力を持たなかった。
この協力関係は、相互に利益のあるものであったが、どちらかというと防衛省の方に利益が大きかった。これは、先にも述べたように防衛のシステムとしてミサイルに特化する決断をしたわけであるが、その精密な制御のためには自分及び対象(敵)の位置の正確な把握、さらに精密かつ即時の制御の技術が重要である。
その点では、屋外で行う建設作業を工場内のごとく制御するという、建設業におけるICT技術の開発と適用が非常に参考になっている。また、建設部門におけるICT化には自衛隊の兵士のロボット化の研究が有用であった。製造業における工場の無人化は、センサーと機器制御の高度化によって、2019年時点ではすでに民間主導でどんどん進んでいた。
しかし、このような建設作業の無人化及び大幅な省力化も、2020年以降の日本政府の集中的な投資によって、2年ほどで目途がつくことになった。そして、実用化された技術は列島強靭化計画の実施に使われてその効率を大いに高めることになった。
軍事面においては、韓国・北朝鮮が全面的に中国の勢力圏に入ったという地政学的な変化に伴って、戦略及び兵器体系にも大きな変化が必要になっている。韓国が仮想敵国である中国の勢力圏に入ったという点は、防衛線が対馬海峡になるということであり、防衛上は極めて厳しい変化であった。
しかし、韓国軍はすでに例のレーダー照射の一件以来すでに信用できない“味方”であり、どちらかといえば無礼を我慢して付き合ってきた相手でもあって、大差はないという意見も現場に自衛官には多い。その意味で、『ICT化したミサイルでハリネズミのように防衛する』というドクトリンは彼らに受けた。
また、『敵の敵は味方』の論理で台湾、ベトナム、フィリピン、マレーシア、インドネシアやインドなど中国の横暴な態度に警戒感をあらわにしている国々と連帯して、かれらにはダウングレードしたミサイル技術を供与あるいは、ICT化建設技術などに協力している。
こうした、防衛網の情報化の高度化のために、衛星を数多く打ち上げ、レーダー装備無人航空機、ミサイル収納無人機、さらに海底センサー網などをどんどん増やしている。中国はステルス機を急速に増やしているが、ステルス機は特定の角度からのレーダー波をそらすものであるので、無人機によってレーダーを増やすことで検知できるようにしようというものである。
対中国への日本の防衛上の最大の問題は、相手が核を持っていて、自分は持てないということであるが、この点は2020年時点では、あまりあてにならないアメリカの核の傘によるしかない。その意味でも、ミサイル防衛体制を改善して軌道上から降ってくる核ミサイルを防衛するのが望ましい訳だ。
弾道ミサイル防衛については、2023年をめどに実戦配備するとして、アメリカから導入する陸上イージスの計画が進んでいたが、この改善は当然防衛省のICT研究の大きなテーマとして挙がっている。
この研究において、ミサイルの正確な検知とミサイルの精緻な制御においては、見るべきとものがあったが、問題はロケットモーターの加速性能であった。しかしこの点は、アメリカの研究において推進材のブレークスルーがあり、加速性能が1.5倍に上昇している。
こうした研究成果を結集した陸上イージスシステムは、ハワイでの実験で3発の模擬弾道弾に100%の撃墜率を挙げることができた。すでに着工されていた日本の2つの施設は、当然このシステムを導入して、予定通り秋田と山口に2023年暮れに完成した。
このシステムはアメリカに6基、ヨーロッパに3基設置され、この防御範囲である半径500kmの範囲では弾道ミサイルには安全になったと見做されている。日本における潜在敵国は、第1には中国であるが、ロシアも平然と民間機を撃墜するなど、行動が極端である点からも同様に古くからの敵である。
一方で、ロシアは広大な領地に人口は1.5億人と大国であるが、そのGDPは2024年時点ではすでに世界の15位で日本の1/5程度のものである。この国は、嘗てのソ連時代からの膨大な核ミサイルシステムを保持していることから、軍事強国とみなされてきた。
しかし、基本的には軍事力は経済力に比例するものであり、10倍以上の経済力を持つアメリカに比肩する軍事力を持てるはずはないのである。
結局、近年になって、ロシアからの亡命者によってこれらのミサイルシステムの老朽化と、それが放置されている実態が明らかになって来ており、実用できるミサイルシステムも実態は公称の1/3がいいところであると見られている。
基本的には、共産主義は会議ではその場の最上位の者しか基本的に発言しないという問題にみるように上位下達が著しく、人材の有効活用ができないという欠点がある。それが共産主義の本家本元のロシアにおいて、継続的に経済力が落ち続けている原因である。とりわけ、個人の発想が重要な近年のICT活用には、この共産主義というシステムの欠点は著しいと言われる。
その意味で、その実際の力が疑わしくなっているミサイルシステムにしかそのアドバンテージがないロシアは、今や機能するミサイル防衛システムを持った日本に対してはその牙を失ったに等しいのである。
その点では、中国は通常兵器において、少なくとも量としては日本に対して、大きく凌駕しており大きな脅威になっているところが状況は異なる。
話が軍事に偏ったが、ICTへの国の集中投資は大きな応用と広がりを見せ、生産性の大幅な向上とそれに先立っての莫大な設備投資を生んだ。これは、すなわちGDPの向上に繋がって年率5%の成長を保つことに貢献した。さらに、政府資産が利益を生むようになった原因も主なところはやはりICT技術の活用であった。
ちなみにこの間の政治状況であるが、野党の低調な状況についてはむしろ自民党支持が進む状況にあり、自民党が衆参両院の過半数を安定的に占める状況であった。その中で、自民党は長く組んできた公新党との連立を解消し、刷新党との連立を組むことになった。
これは、固い宗教票は自民党としても非常に都合の良いものであったが、自民支持者の増加と共にその協力の必要性が薄れたということであろう。このことは、左かかったマスコミに踊らされる傾向にあった老人世代が減り、インターネットによって情報を得ている層が主流になったことによる。
阿山首相は、2021年に首相の在職日数を大きく更新して退いた。彼の最後の仕事が改憲であり、反対の立場を崩していない公新党を切り、刷新党や野党の改憲に賛成の者を入れての2/3の壁を越えたものである。
この改正は、自衛隊の存在を憲法に含めるのみならず、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して」などというナンセンスな前文を改正して、防衛のための戦力の保持、さらには侵略の禁止を謳ったものである。もちろん、再度の改正に当たっては、衆参両院の2/3の賛成を要するという壁はなくし、衆参両院と国民投票による過半数の賛成とした。
当初、阿山の意向は反対を抑えるために極力変更を少なくして、自衛隊を合憲化するのみであったが、中国の脅威が増す中でそれでは不十分という意見が強くなって、先述の変更になったものである。この改憲をもって、2度と戦争ができず、アメリカの従属的な立場に留まるように押し付けられた憲法の改正がなったわけである。
阿山はしかし、北方領土返還はできなかった。これはロシア大統領プチャーキンが自国の経済状態を改善するために、日本の援助と技術を取り込むため、お荷物の北方領土を渡そうと動き始めたものであった。
しかし、彼は自国民の領土に対する貧欲さと、自分の立場を理解できない愚かさを見誤っていた。とは言え、人材を生かせないロシアの経済の沈下は、プチャーキンの去った後も続き、2024年の現在、後任のロスペル大統領から北方領土返還と日ロ平和条約の申し入れが来ている。ロシアにとっては、インフラ投資とICT導入を軸に経済を大きく改善しつつある日本は、2019年時点よりさらに魅力的に映っているわけだ。
9年の間首相を務めた阿山は、引退を表明した時点では支持率は55%を超えていた。なにしろ日本においての最大の問題であった財政問題に果敢に取り組んで、2年近くたった時点では望外の結果を得ていたのだ。
強固な反対派はいたが、多くの専門家がRIDPはこのまま順調に進むという意見に傾いていた。彼の悲願であった憲法改正もその人気の賜物でもあったのだ。
しかし、実のところ阿山自身は無論、経済政策の指揮をとる高橋経済再生担当相、三島財務大臣は、公共投資の効果の出やすい初期は無事に推移したが、実際はこれからが問題だと気を引き締めていたのだ。結果的に言えば、先述のようにICTへの注力が非常に上手く回って予定通りの成長を遂げることができた。
2021年、阿山に代わって首相の座についたのは三嶋直人44歳であった。当選わずか3回にて高齢の麻山に代わって財務大臣の席につき、高橋大臣と財政再建に当たっていた彼は、東大を経てMITで経済学の学者の道を選んでいたものが、阿山の熱心な勧めで政治の道に入ったものであった。
しかし、その祖父は自民党の国会議員であり、国会議員としても祖父の地盤を受け継いでいた議員からその地盤を禅譲されて当選したものである。つまり政治家一族のものが学者になろうとして、コースを変えてまた政治の道に入ってきたという訳だ。
彼自身は、日本という国の経済・政治情勢については極めて大きな興味を持ってマークしていた。その中で基本的には高橋の説が正しいと見込んでおり、高橋とはそれなりに連絡を取り合っていたのだ。また、日本においての論争に、恩師のアブラス・デリーマンを介入させたのは三嶋であった。
三嶋はその爽やかな風貌と弁舌からご婦人に大変人気があり、それがその若さと政治経験の浅さを十分補っており、2024年にRIDPの第1期5カ年計画を終える寸前の党大会において、圧倒的多数で自民党総裁に再任されている。
前回は阿山の強力な押しによってであったが、今回は、RIDPの最初の5年を100%達成できたこと、さらに数々の対外問題をうまくハンドリングしたことを評価され、さらにはますます高まる国民的人気と、自分の実力によるものであった。