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英雄(ヒーロー)は異世界に現れる  作者: 月猫 りんご
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1-6 初めての冒険者

扉を開けると、既に3人の冒険者とボスモンスターの戦闘が繰り広げられていた。


その中でも最初に目を引かれたのはボスモンスター。

クマだ。

見た目真っ黒な大きなクマ。

ただし、4mぐらいある。

元の世界だと北に行けば行くほど同じ動物でも体格が大きくなるらしいが、さすがに大きすぎるだろう。

黒クマの巨体から繰り出される爪の攻撃は凄まじいもので、攻撃が外れる度に床が抉れている。

そんな攻撃をお互いに声を出しながら連携してかわしているのが3人の冒険者たちだ。


「くっそ!固すぎるだろこいつ!」


冒険者のうち一人はトンファーを両手に持った男性で、外見からすると虎とかチーターの獣人のようだ。猫のような耳と尻尾が生えている以外は普通の人間のように見える。

彼は獣人らしくスピードを活かして黒クマを翻弄しながら攻撃をしていた。

よく見るとトンファーの打撃面には霊力を纏っている。

霊力って武器に付与できるのか。

打撃力が上がるのかな?

彼は位置取りが上手く、他の二人に黒クマの攻撃がいかないようにしている。


「あの体毛のせいかしら‥クーリの『霊打』でも駄目みたいだし、私の『ウインドエッジ』でも傷付かないとかどうなってるのよ!」


二人目は槍を持った女性で、背中からは白い翼が生えている。

時々その翼で空中に浮かび上がって時折くる攻撃を交わしながら、

クーリと呼ばれた男性の攻撃の合間を縫って槍を突いている。

こちらの槍の先端には魔力の塊が見えるので、先程彼女が言っていた『ウインドエッジ』の魔術が施されているのだろう。

だが、彼女の言う通り二人の攻撃が届いているようには見えない。


「二人とも、一旦距離を置こう!『ファイアーボール』いくよ!3、2、1、Go!」


最後に魔術の『ファイヤーボール』を放った杖を女性は一見人族のようにも見えたが、『ファイヤーボール』の爆風で髪が浮かんだときに耳が尖っているのが確認できた。

こちらはファンタジー系でお馴染みのエルフなのかもしれないな。

黒クマに攻撃は当たったものの、こちらも効果はあまり無かったようだ。

彼らは俺とイアの居る扉の方まで後退してきた。


「くそ‥俺の『霊打』も、エリアの『ウィンドエッジ』も、ソフィアの『ファイヤーボール』も効かないって、どうすんだよあんなの!」

「ちょっと、クーリ!愚痴ってる暇があったら少しでも考えなさいよ!」

「なんだよ、エリア!元はと言えばお前がこのクエスト受けてきたせいだろう!」

「なんですって!」

「ふ、二人とも、喧嘩してる場合じゃないよ!あのクマさん倒さなきゃここから出られないし、クエスト失敗も失敗になっちゃうんだから!」


そう言いながらソフィアと呼ばれた女性は扉の方、つまり俺とイアが居る方に視線を向ける。

そこでようやく俺たちが居ることに気がついたようだ。


「えっ!あ、貴方どうやってここに入ってきたんですか!?」

「おいおい、ダンジョンでボス部屋は戦闘が終わるまで誰も入れないはずだろ?」

「いや、普通に入れたけど‥」


そう、俺は普通に入ってきた。

特に何の抵抗もなく入ってきたのだが、普通では無かったらしい。


「ちょっと!入ってきたってことは、こいつなら扉を開けてここから出られるんじゃない?」

「そうか!おい、あんた!あいつには俺たちの攻撃がまったくと言っていいほど効かねぇ。一旦退却するからその扉を開けてくれ!」


黒クマへの警戒をしつつ俺に声をかけるクーリとエリアの二人。

確かに今のままでは全滅もありえるだろう。というか、その未来しかない。

俺は扉を開けようと手を添えてみると‥


バチッ!


扉に弾かれた。


「あー‥無理みたいだな」

「「「えーー!!」」」


どうやら俺たちも閉じ込められたようだ。


「てことは、あのクマさんを倒さないと出られないことが確定したね」

「腹括らなきゃいけねぇか‥」

「そうみたいね。ねぇ、貴方!ここまで来たってことは戦えるのよね?悪いけどあいつを倒すの手伝ってくれないかしら?というか、協力して倒さないと貴方も出られないからね?」


まぁ、そうなるよな。

どちらにしても、俺たちの用事はこの部屋の奥にある。

先に進むにしてもまずはあの黒クマを倒さなければいけないのだ。


「もちろん。俺は慧太郎。こっちはめが‥じゃなかった、精霊のイアだ」

「精霊持ちなら、精霊術師ですか?でもその割にはオーラが似すぎているような?」

「私はケータロと契約してない‥」


精霊と契約をすると精霊術師と呼ばれるのか。

それとソフィアはオーラと言うのを感じられるらしい。

似てるのはイアの力を使って俺の体が作られたからだろうけど、今は言わなくてもいいよな。


「俺は霊術で肉体強化が使えるから、クーリさんと一緒に前衛を務めたいと思う。イアはソフィアさんと一緒に後衛を頼む。エリアさんは槍で中衛をお願いします」

「ん‥了解‥」

「精霊さんが一緒になら心強いですね!」

「てか、なんでいきなりお前が仕切ってんだよ!?」

「そんなの今はどうでもいいわ。まずはもう一度攻撃方法を検証しましょう。ケータロさんだったわね。クーリに合わせるのは大変だろうけどよろしくね」

「あぁ、頑張るよ。それと呼び捨てでいいよ。」

「ならこちらも呼び捨てでいいわ。さぁ行くわよ、みんな!」


全員が構える。

さて、ボス攻略をしますか!

次回、ボス戦!


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