表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
英雄(ヒーロー)は異世界に現れる  作者: 月猫 りんご
7/88

1-4 塔の散策

ちょっと仕事が忙しくて短めです。

「近くで見ると大きいな‥」


俺たちは約一時間ほどかけて塔へと辿り着いた。

本当ならもう少しかかる予定だったが、霊術の訓練を兼ねて脚力強化をしながらだったので予定よりも早く到着できた。

まぁ、力加減を調整するのに手間取って、ここに来るまでに何本も大木を薙ぎ倒してきたけど‥


そんな話はさておき‥

俺たちの目の前にある塔だが、形の揃った石を積み上げて作られている。

どことなく、某ブロックを積み上げて建築物を建てるゲームのような雰囲気なのは気のせいだろう。

高さは目測で10階建てのビルと同じぐらいはありそうで、幅も100mはありそうだ。


「ケータロ‥これ‥」


塔の大きさに圧倒されていると、イアが手招きして俺を呼び寄せる。

そこには誰かが夜営したであろう、焚き火の後などが残されていた。


「炭の感じからして、今朝までここに人が居たみたいだな。」

「うん‥たぶん冒険者‥」


イアの話によると、この世界にはファンタジー小説のような冒険者と呼ばれる人たちが居るのだとか。

彼らはこういった遺跡や迷宮といった場所へ行き、依頼をこなしているらしい。


「もしかしたら、中で鉢合わせするかもしれないな。」


そうだとしたら、異世界に来てから初の人との遭遇だ。

それはそれでちょっと楽しみである。


「そうだ‥ケータロ‥霊力を‥魂に流してみて‥」

「魂に?」

「第六感の強化は‥霊力を魂に‥注ぐ‥」


あぁ、なるほど。

ここに来るきっかけとなった呼ばれる感覚は偶然とはいえ第六感で感じたものだった。

それを意図的に起こそうと言うことらしい。

俺は霊力を魂に流そうとしてふと気づく。


「魂ってどこにあるの?」


あ、イアが落ちた。



イアの指示で魂を知覚してみる。

体の中で最も霊素が集まっている場所。心臓の奥深くに霊素を作り出している輝きがあった。

そこに練り上げた霊力を注いでみる。

すると、あの呼ばれるような感覚を感じることができた。

どうやら上の階かららしい。

俺とイアは上への階段を探す為、辺りの散策を始めた。



「なんか部屋がたくさんあるけど、何に使ってたんだろうな」


俺とイアは二手に別れて階段を探していた。

塔の中は大小様々な部屋があり、中には様々な器具が置かれた部屋や床に魔方陣の様な模様も刻まれている部屋もあった。

きっと、ここがまだ使われていた時は魔術や霊術の研究が行われていたのだろう。

俺は何気なく入った部屋で机にあった本を開く。

文字はイアの力で読めるようになっていたが、劣化が激しく所々しか読めない。


「人の再構成‥無機物への意識の転写‥神力‥いったいここの研究者たちは何の研究をしていたんだ?」


なんだか禁忌の書物を見てる気がしてきたので本を置いてその場を後にする。

他には食堂や厨房、トイレなど生活感のある部屋を見つけた。

トイレが水洗ぽかったのがちょっと驚いた。


「ケータロ‥あった‥」


少し先の通路からイアが手招きをしている。

そこには二階へと通じる階段があった。


「足跡がある‥2~3人分ぐらい?」


イアの指差した先を見ると複数人が上に登っていった足跡が残されている。

きっと先に入った冒険者たちのだろう。

それにしても、彼らはこんな怪しげな塔に何しに来たのだろう。

考えられるのはこの塔の調査とかだろうか。

そんなことを思っていると肩に乗っていたイアが俺の耳を引っ張る。


「ケータロ‥上の階からモンスターの気配がする‥注意して‥」


一階では何も出なかったが、ここから先は戦闘の可能性があるらしい。

俺は腰の剣をいつでも抜けるように準備して、慎重に二階へと上がっていった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ