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英雄(ヒーロー)は異世界に現れる  作者: 月猫 りんご
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0-2 犯人からの電話

まだまだ自分の投稿ペースを把握しきれておりません。

とりあえず、一週間ペースで更新できるように頑張ります。

紗奈が誘拐されたと連絡を受けてから約1時間。

俺は紗奈の通学路で座り込んでいた霞を連れて家へと帰宅した。

移動の最中も俺は警察や学校に連絡を入れて、何か情報があれば伝えてほしいとお願いしてある。

家に着くなり気を失った霞を一先ず寝室のベッドに寝かせ、自分も落ち着こうとコーヒーを入れようとした時だった。


-プルルルル‥プルルルル‥


固定電話が鳴り出した。


警察からか。学校からか。それとも‥

鼓動が早くなるのを感じながら俺は受話器をとる。


「はい、水無月ですが‥」

「あんたが紗奈ちゃんのパパさんかなぁ?」

「お前か、うちの娘を誘拐したやつは」

「ピンポンピンポン!正解!ギャハハハ!」

聞く者を不快にさせる声とはこういうものを言うのだろうか。

正直、目の前に居るのなら殴ってやりたい。

だが娘を人質に取られている以上、下手に刺激するのは良くはないのだろう。

「娘は無事なのか」

「まぁ、今のところは?まだ綺麗なままだが、あんたの対応次第じゃ‥」

「わかった。それで何が望みなんだ。」

「あんたの娘の身代金は100万。今から二時間後、港にある19番倉庫って場所に一人で来な」


既に時刻は午後六時を過ぎている。

ATMへ行ってもそれだけの金額を引き出すことは出来ないじゃないか。

「もちろん、間に合わなかったら娘は俺たちの好きにさせてもらいますからぁ!」

どっちに転んでもこいつらが得するってことか。

「わかった。何とかしよう。その代わり、引き渡しまでに娘の身に何かあったら俺はお前たちを許さない」

「あぁ、いいぜ‥それじゃあ今からきっかり二時間後だ。じゃあな」


そう言って犯人からの電話は切られた。

今から2時間。

それまでにお金を用意して奴らの指定した場所まで移動しなければならない。

俺は霞宛に書き置きを残し、家を出た。



犯人から電話が来て1時間45分。

俺は大きく「19」と書かれた倉庫の前に居た。

倉庫の前には霞が目撃したであろう車と、その他に数台車が停まっている。

俺の手には現金で100万円が入ったケースが握られている。

これは現在市内の銀行に勤めている高校の同級生に相談したところ、上司に掛け合って用意してくれたものだ。

もちろん、無事に紗奈が助けられればそのまま返却するし、犯人たちに持ち逃げされてもその分は俺が返済するつもりだ。


俺は意を決して倉庫の扉を開ける。


扉を開けると7人程の若い男たちがトランプゲームをしていた。

こいつらが犯人だろう。


「なんだよ、時間前に到着か。賭けは俺の一人負けか。」

一番大柄でリーダー格であろう男が俺に向かってそう言い放った。

どうやら俺が時間内にお金を用意できるのか仲間内で賭けをしていたらしい。

「お金は用意した。紗奈を返してくれ。」

床にケースを置き、中身が本物であることを奴らに確認させる。

「‥‥娘を連れてこい」

リーダー格の男が下っぱらしき男に指示を出す。

数分もしないうちに奥の部屋から下っぱの男が紗奈を連れて戻ってきた。

「紗奈!」

「お父さん!」

長時間拘束されて少し疲れているようだが、どうやら酷いことはされていないようだ。

そのことに安心しているとリーダー格の男が怒鳴るように声をかけてくる。

「ほら、娘は返すんだ!早く金を寄越しな!」


さて現在、俺の前方5mにリーダー格と取り巻きが合わせて5人。

左前方7mに紗奈と下っぱの合わせて2人。

後方10mの扉の所に1人待機している。

相手戦力の位置を確認した俺はと言うと‥

「そんなに欲しけりゃ‥くれてやる!」

その場でくるりと一回転した俺は手に持っていたケースをリーダー格の男に向かって投げると同時に紗奈へ向かって全力ダッシュ!

リーダー格の男はもちろんのこと、周りの連中もいきなりケースを投げつけられるとは思わなかっただろう。

紗奈を捕まえていた男がリーダー格の男のピンチに一瞬だけ視線をそちらに向けてしまった隙を突く!全速力ダッシュからの飛び蹴り!

蹴りは見事に下っぱの顔面にヒットして紗奈が解放される。

「お父さん!」

「遅くなって悪かった。もう大丈夫だ」

優しく頭を撫でてやると目を細めて安心しきった顔になる。

そりゃあ、こんな奴らに捕まってしまえば安心しろと言う方が無理だろう。


「こいつ!舐めた真似しやがって!」

向こうも落ち着きを取り戻したのか各々がバットやナイフを持って扇状に俺たちを囲む。

俺は紗奈を自分の背中の後ろに下がらせるが、ジリジリと壁際へと追い詰められる。

既に自分達の勝ちは確定だと思っているのだろう。

余裕を取り戻したリーダー格の男は金属バットの先端を俺たちに向けながらこう言った。

「最後に何か言うことはあるか?」

「まだ、最後じゃないさ」


俺がそう言うと同時に倉庫の扉が勢いよく開かれる。


「誘拐犯のアジトはここか!全員逮捕だ!」


その声は俺にとっては聞き慣れた幼馴染みの声だった。

次回でエピローグが終わる予定‥

お、終わらせます!

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