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英雄(ヒーロー)は異世界に現れる  作者: 月猫 りんご
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1-11 契約

「さて、お互いここでの用事も終わったし皆とはここでお別れかな?」


俺はとりあえず謎の箱を袋に入れ、三人に話しかける。

名残惜しいが三人もここの調査で来ているので探索が終わった以上はここに長居もしないだろう。


「そのことなんだけど、実は‥」

「おっ、ようやっと出てきおったな。待ちくたびれたわ」


エリアが話しかけてきた瞬間、どこからともなく声が聞こえてきた。しかし、辺りを見回しても誰もいない。というか関西弁かよ!


「ここや、ここ。あんさんらの足元や」


全員で足元を見ると、そこには黒いクマのぬいぐるみらしき物体がこちらを見上げている。

黒いクマ?


「せや!さっきまであんさんらと戦ってたのはワイなんや。あんさんらがぶちのめしてくれたお陰で正気に戻れたんやで」

「どうゆうこと?」


話を聞くと、黒クマは元々この塔の管理者が生み出した生物で先程手に入れた謎の箱の守護を任されていたらしい。

基本的に空気中に漂う魔素を吸収することで生命維持できるのだが、長い年月の間に魔素を過剰摂取してしまい肉体が変化。意識も曖昧となってしまっていたとか。


「あんさんらと戦ったお陰で余剰分も消費して元に戻れたっちゅうわけやな。というか‥」

「は~‥可愛い♪」

「この姉ちゃんどうにかしてくれへん?」


途中から黒クマはソフィアに抱き締められていた。

必死に逃げようとしているが、ソフィアの拘束が強く抜け出せないでいる。


「ソフィア、いい加減離してあげなさい!」

「いーやーでーすー!この子は私が連れていくんです!」


この状況、どうしたらいいんだか‥


「契約しちまえばいいんじゃねぇのか?」

「契約って?」

「モンスターは生命力が尽きかけているときに契約を持ち掛けることが出来るんだ。もちろん断られることもあるけど、モンスターが受け入れれば仲間に出来るんだよ」


なんか某ゲームみたいだな。


「それでお前さんはどうしたいんだ?」

「ワイは箱の守護が任務やったからなぁ。あんさんが箱に選ばれたのならお役御免やし、外の世界も見てみたいから連れてってくれるなら嬉しい‥」

「じゃあ、私と契約しましょう!」


ソフィアが黒クマの両手(両前足?)を握り締めている。

ソフィアさんや、勢いが強すぎて黒クマが引いてますよ。


「いいんじゃねぇか?そいつの毛皮は対物、対霊、対魔で防御力はピカ一。後衛と一緒に居てくれれば、前衛としてもやり易いしな」

「期待してくれるんはありがたいんやけど、それが出来るかは姉ちゃん次第やけどな」

「というと?」

「契約すると召喚時に術者の魔力使うんは知っとるやろ?今のワイの大きさなら大して魔力消費せんでもええけど、あんさんらと戦ってた時と同じになると下手すりゃ召喚した時点でバタンキューや。」

「今の大きさで戦闘は出来ないの?」

「出来ひんこともないけど、この状態やと力は1/10って所やな。霊力吸収なんかも使えへんねん」


今の形態だと何かと制約があるらしいな。


「それでも構いません!私は貴方と契約したいんです!」

「しゃあないな。そこまで言われたら断れへんわ。ならソフィアはん!ワイに名前を付けてくれへんか?それが契約の証になるんや」

「そうですね‥みんなは何かいい案ありますか?」


そう言われて全員が頭を捻る。

そうしてあぁでもないこうでもないと言いながら数分。

イアがボソッと一言


「ネロ‥とか‥?」


ネロ。確かイタリア語で「黒」って意味だっけ。

うん。俺はいいと思う。

本人も含め全員が同意するような笑みを浮かべる。


「じゃあ、貴方はこれから『ネロ』です。宜しくおねがいしますね、ネロ!」

「おう、任せとき!マスター!」


これでネロの名付けが終了し、正式にソフィアの獣魔となった。

するとエリアが思い出したかのように俺に話しかけてくる。


「ネロのことで忘れるところだった。さっき言おうと思ったんだけどケータロは悪いけど私たちと一緒に冒険者ギルドまで行ってほしいの」


え?なんで?


「これはケータロの為でもあるのよ。私たちの依頼がこの塔の調査でしょ?そこには生息してるモンスターの報告の他に見つけた物品に対するものもあるの」

「一般解放されてるダンジョンならいいんだけど、未解放ダンジョンの探索依頼は見聞きしたことや手に入れたものは全てを報告するように契約書を書かされてて、破ると冒険者資格破棄とか重たい罰が待ってるんすよ」

「特にボスモンスターを倒して手に入ったものは現物をギルドに登録する義務があるんです。それを依頼とは関係ない人が持っていったとなるとギルドの情報網で捜索されて、最悪処刑なんてことにも‥」


何それ怖い。


「最初から何も無かったのならいいんだけどな。霊術で直接干渉されて洗いざらい喋らされるから嘘もつけないんだよ」


霊術って自白もさせられるのか。異世界怖い。


「そんなわけで、もう少し私たちと一緒に行動してね。箱の登録が終われば物はちゃんと返ってくるから安心して。」

「わかった。じゃあ、もうしばらく宜しくな」

「よろしく‥」


こうして塔での探索を終えた俺達はギルドを目指して塔を後にした。

次回、ちょっとしたまとめ回

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