0-1 日常が壊れた日
初めまして、「月猫 りんご」と申します。
以前から「なろう小説」を読ませていただいていまして、いつか自分で書いてみたいと思っていました!
まだまだ拙い文章で読みづらいかとは思いますが、頑張って書いていきます!
お付き合いよろしくお願いします!
日曜日の夜8時。
家族と一緒に某テーマパークでの家族サービスを終えた俺「水無月 慧太郎」はリビングで今朝録画していた番組を再生していた。
「俺は!この力でお前を止めてみせる!変身!」
いわゆる特撮番組である。
先日で30歳を過ぎた俺だが、いくつになってもこの特撮ヒーローのファンはやめられない。
「本当にあなたって好きよね、特撮」
画面に集中する俺に向かって笑いながらそう言うのは、俺の妻である「霞」だ。
誰だ、オタクがリア充かよとか思ったのは。
霞は会社の同期で、偶々好きな漫画が一緒だった所から仲良くなってゴールインしたのだ。
最初は特撮が好きなことで嫌われるのではないかと思ったが、「趣味は人それぞれ」と受け入れてくれた。
まぁ、彼女の趣味を受け入れる方が大変だったのだかそれはそのうち話そう。
「お父さんっていくつになっても子供だよねー」
そう言って話しかけてきたのは俺と霞の一人娘である「紗奈」。
丁度風呂上がりらしく、今日買ってきたパジャマをさっそく着ている。
我が娘ながら何故こんな可愛い子が生まれたのか。
たぶん、いや間違いなく妻のお陰だなと納得している。
「男っていうのはいつだって誰だってヒーローに憧れるもんさ」
「なりきりセットやロボット買うのも?」
「それは憧れというより趣味だから‥」
む、娘からの視線が痛い‥
紗奈は呆れた視線を向けつつも、俺たち夫婦に「おやすみなさい」と告げて自分の部屋へと戻っていった。
「昔は一緒に見てたのにね」
そう言いながら霞は俺の横に来て一緒に画面を眺め始める。
「紗奈も成長してるんだな」
「あなたはなーんにも変わらないけどね」
「ほっとけ」
こんな他愛のない会話をしながら過ぎていく平和な時間が俺はとてつもなく好きだ。
こんな時間がいつまでも続けばと思っていたが、世の中はそんなことすら許してはくれなかった。
3日後。
もうすぐ定時かと時計をチラ見しながら仕事をしていると携帯電話に着信が入った。
画面には「霞」と表示されており、晩御飯の材料でも頼まれるのかと何気なく電話に出た。
「大変なの慧太郎くん!紗奈が、紗奈が!」
慌てふためく霞の声に紗奈が事故にあったのか病気になったのかと不安が過る。
なんとか電話越しに落ち着かせ、詳細を聞くと紗奈が誘拐されたと涙ながらに語った。
「今週に入ってから小学生への声かけ事件が多いって学校から連絡が来てたの‥私も今日はパートが休みだから迎えに行ったんだけど‥紗奈が私を見つけて駆け寄ろうとしたときに近くに停まってたワゴン車から男の人が何人も出てきて‥目の前であっという間に紗奈が連れ去られて‥」
電話の向こうで泣き叫ぶ霞を宥め、俺は上司に事情を説明して帰宅することにした。
娘の安否を気にかけながらの帰り道は、いつも以上に長い道のりに感じた。