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【第弐話】過去と契り

黎慈「さて、明日投稿と言う嘘を吐いた中の人。これには言い訳があるんだな?」

学校生活と強烈な睡眠の襲来。レポートも重なってやるにもやれない状態です

関羽「気持ちはわかるが、嘘をついたことには変わりあるまい」

今度からは余裕あるときに展開を考えて作ります故、許してください

黎慈「という事で、どうなる第弐話」

 ある村の朝、雀の鳴く声がとても平和的な感じが出ており、とても良い気持ちになるだろう。

日差しがよく、眩しく輝く太陽は人に元気と言うエネルギーを与えるほどだろう。

さて、そんな平凡の村の内、一軒の料理店の厨房にて一日が始まる───

黒髪の少女は包丁を持ち、大根を上へと投げる。


関羽「───はあっ!」


目に見えぬ包丁捌きで大根を斬り、板の上に五等分で落ちてくる。


女将「はぁ~………たまげたものだねぇ……。でも、もう少し普通にできんかい?」


関羽「いやぁ………あまり料理をしたことがなくてな………」


黒髪の少女───関羽は苦笑しながらそう女将に言う。関羽は長旅をしているとは言え、必ずしも料理が上手うなると言うわけではない。

そしてこの料理店で、もう一人関羽と一緒に働いている者がいる。


黎慈「───女将さん。掃き掃除と窓拭き、終えました~」


そう言って箒と雑巾を持った俺───立神黎慈はそう女将に伝え、掃除道具を片付ける。


女将「お、念入りに掃除したかい?それが終わったら、薪割りと納屋の片付けも頼もうかねぇ?あ、ついでに山へ行って芝を刈って来てもらおうかねぇ……。急いでだよ…………!」


黎慈「わかりやした~」


そう言いながら店を開けるため出ていってしまう。


関羽「あ、あれ……?何か本当に人使いが荒くないか………?」


黎慈「まぁまぁ、暫く泊めてもらう為ですよ。我慢我慢」


関羽「はぁ………」


関羽は溜め息を付いているが、俺はこうして雑用としてしかあまり役立たない。え?戦闘スキルはどうしたって?………荒事はあまりしたくない主義なんだよ。

そんなこんなで昼時、俺は薪割りをノルマクリアして納屋の片付けをやっている。関羽は山で芝刈りをやっている。その間納屋の片付けをしてるだけなので、ある事について考えることとした。

───鈴々山賊団のことだ。

昨日は鶏への恨みで考えていなかったが、今考えてみると思う節がある。

鈴々という幼女は、小豚に乗っていてあの虎の髪飾り、更に特徴的な服装に加え、「なのだ」と言う口調。……俺の覚えてる限り、あの武将で間違いないと思うが………実際に聞いて確かめよう。

何事も確認だな。これで間違えてたら恥ずかしいし。

丁度納屋の片付けを終え、山へと行った関羽の所に行って手伝いでもしようかと向かっていたところ………。

丁度立派な建物の前に人集りが出来ており、その中の刈った芝を背負った関羽も見える。俺はその人集りを抜けて関羽の近くに寄り、何があったか聞き始める。

どうやら、この前の落書きでキレた庄屋の主が役人を使って捕らえようとしているみたいだな。

うっわ凄い大人気ねぇ…………。しかも役人もその気みたいだし…………この世界の役人、糞すぎひん?


おばさん「捕まったらどうなるんだろう……?」


老婆「殺されることはないじゃろうが、鞭で打たれたりするじゃろうな………酷いことじゃて……」


関羽は何か考えるように神妙な顔つきで少し顔を俯かせ、再びあげると意を決したような真剣な顔となっている。俺はどうしたのだろうかと思っていたら突然、関羽が前に出て庄屋の所へと行く。…………もしや、この場合って………


関羽「庄屋殿。お話の途中で申し訳ないが………」


庄屋「ん?何だ?お前は……」


関羽「私は長旅で武芸者をやっている者。名は関羽、字名は雲長。聞けば鈴々という子供は、何でも大人でも手がつけられないほどの暴れ者だとか……。万が一、役人の方々が怪我でもしたら面白くないでしょう?ここは一つ、私に任せてはくれぬでしょうか?」


丁度、青龍偃月刀の刃が鋭く輝く。……あれどうなってんだろ。庄屋も唸りながら「確かにな……」と呟いている。


庄屋「だけど、あんたが?………物騒なもんを持ってるけど、本当に強いんだろうな?」


関羽「これはちょっと、ね………。まぁしかし、多少腕に覚えはあります。それに所詮は子供。本物の山賊と比べれば………」


すると、庄屋と話していた側にいる男は目を見開いて声をあげる。あっ気付いたのかな?


役人「あ、あんた……!もしかして噂の【黒髪の山賊狩り】か!?」


庄屋「えっ……?あんたが……!?」


関羽「い、いや………自分から名乗ってる訳ではないのですが……」


関羽は僅かに頬を赤く染め、頬を指で掻く。恥ずかしいんだろうなぁ………。でもあの反応から察するに………。

すると役人達は落胆したように声をあげ、雰囲気もどんよりと下がる。庄屋も微妙な顔になっちまってらぁ…………。


役人「黒髪が綺麗な、絶世の美女と聞いていたが………」


庄屋「噂っちゅうもんは……宛にならんなぁ………」


関羽「あ、あの………それはどういう………」


目元と口をヒクヒクさせながら殺気を押し殺している。…………一瞬笑いかけてしまったが、今笑ったら殺されるかもしれんしな。庄屋達はぶつくさ何か言っているが、一応関羽に依頼する形へと話がついた。


関羽「はぁ…………」


黎慈「一応女将には伝えておきますよ。あ、念のため俺も行っても良いですかね?その芝持っていきますし」


関羽「え?で、ですが………」


黎慈「ただの野次だと思ってくれれば良いですよ。それに、何かあっても自分で何とかしますんで」


関羽は渋々引き受け、俺は芝を背負って店へと向かった。



◆◇◆◇◆◇


あれから急いで芝を置いて女将に連絡して確認し、剃を使いながら一本杉へと向かう。

待っててくれたのかなと思いながら、キキイッ!とブレーキを掛けながら関羽の近くで止まる。


関羽「大丈夫ですか……?」


黎慈「なぁに。この程度の走りは慣らされました」


俺はヘラヘラと笑いながら道を聞く。どうやらこの一本杉の左側を行けば、道なり沿ってに行けるらしい。それを確認して歩き始める。

道なりというので、恐らく時間はかからないだろう。……………邪魔さえ、なければね。

さてと、いつでもやれるように準備を───

そう思った直後、ゴスッ!と俺の脳天に石ころが直撃した。しかも結構大きめの。


黎慈「いだぁあぁっ!?」


関羽「立神ど………っ!?誰だ!」


俺はズキズキ痛む頭を抑え、関羽は再び降りかかった石を偃月刀で弾いて声をあげる。

木の枝の上にはやんちゃそうな子が、石の入った笊を抱えて此方を睨み付けている。


子供「おやびんをつれてはいかせねぇ!」


子供は必死に石を投げつけていき、関羽はそれを弾いていく。俺はその場から離れて後ろに回り込み、拳を握って木を殴り付ける。

木は抉れるほどの衝撃を受け、子供が落ちかけてしまう。そこを関羽がフォローし、器用に偃月刀の端で子供の服に引っ掛けて助ける。


子供「た、たすかった………」


関羽「それは、どうかな?」


子供の顔は青くなっていき、後ろを振り向く。そこにはとても悪どい顔をしていた。俺もこれを見て顔面蒼白。怖いわぁ………。

その後、村は山から子供の断末魔が聞こえたらしい………。

そんな感じで俺は関羽に付いていく形で後ろに回っている。理由は俺に被害が来ないようにと、という事で。………まぁ、否定できないのが悲しい。

そこで後ろからこそこそついてきてる子供も加えて彼奴も悲しい。………さっきのは自業自得という事で。

と、そんなことを考えていると、草むらの中から四人の子供が出てきた。いきなり「やーいブース!とーしまー!」と関羽を罵ってきたのだ。関羽も流石にキレて声を荒げてしまう。

……実際いくつなのかは知らん。でも聞いたら不味いだろう。そんなことしたらあの子供の二の舞だからな。……あ、落とし穴ある。


黎慈「関羽さん、目の前に落とし穴ありますよ。それも───」


関羽「ん?……あ、ホントだ。………子供にしては知恵を絞ったが………とうっ!」


無駄にかっこよく飛び、子供達の前に降り立つ。あっだからそこは………

ズボッ!と時間差で落とし穴にはまり、地面の中へと行ってしまった。………二つほどあったのだが、言うの遅かったかな?


お団子髪の少女「やーいひっかかったひっかかったー!」


太っちょの子供「ばっかでーい!」


茶髪少女「ねぇ、どうする?埋めちゃう?」


お団子髪の少女「そのまえにおしっこかけてやろー!」


幼女「かけりゅー!」


幼女がスカートを捲ろうとした瞬間、関羽が鬼の如く飛び出して地面に着地し、その後の地獄が始まった。…………再び、山で子供の断末魔が聞こえたのは言うまでもない。


あの後、子供達には鈴々を捕まえないと約束し、帰らせた。因みに去り際に「ぶーすでーぶとーしまー!お前なんか親びんにやられちゃえー!」と言って逃げてしまった。……やんちゃすぎない?これ、鈴々でなくても手がつけられないんじゃない?

隣で関羽が子供達の悪口について愚痴を溢しているが、そんな気にすることじゃないと思う。

お、開けた場所に出たぜよ………。

そこは木ばかりではなく、岩や崖が多い荒々しい場所で、そこに立派な山小屋が建てられている。

何か、ああいう家って何かカッコよく見えない?……と、あの子が出てきた。


関羽「お前が鈴々、だな?」


鈴々「鈴々は真名なのだ!真名は親しい同士しか言っちゃいけないから、お前に言われる筋合いはないのだ!」


真名で喋っちゃダメだろ………。あ、右手の武器って………?

柄が長く刃がくねくねと蛇のように曲がった長刀───《丈八蛇矛》

かつて蜀の豪傑、張飛が使ったとされた武器だ。──これで確信できた。この子は───


張飛「我が名は張飛!字名は翼徳!寝た子も泣き出す鈴々山賊団の、親びんなのだ!」


黎慈「………泣かしちゃいけないと思うのだが」


関羽「お前の手下なら、私が片付けたぞ?」


そう関羽が挑発をかけた瞬間、鈴々───張飛は鬼の形相で岩を降りてきて、声を荒げて「鈴々のトモダチに何をしたのだ!!」と怒鳴り付ける。

………仲間思いだねぇ。根は良い子と言うのも頷けるな。関羽は「何、少しお仕置きをな……」と自慢げに言ってるが、さっきその子供達に煽られたり落とし穴に嵌まったりしてるから、その笑みが何かアホのように見えてくる。


張飛「おにょれ~………!!仲間の仇!十倍返し!ぬぁのだぁぁぁぁ!!」


関羽「どうやら口で言っても分からぬようだな………。立神殿、ここはお下がりください。私が相手をしましょう」


黎慈「元から邪魔する気はありませんよ」


そう言ってすぐに離れると、関羽と張飛の戦いが始まった。

…………これ、結構凄いことにならない?


◆◇◆◇◆◇


関羽と張飛という、三国志では有名な武将が戦う事はどれ程凄まじいのであろうか。黎慈はそう思いながら岩場で眺めている。

先に出たのは、張飛だった。


張飛「うぉうりゃぁーーーー!!!」


雄叫びを上げながら蛇矛を横薙ぎの構えで突撃し、関羽は迎撃するため偃月刀を上に翳し、勢いよく叩き付ける。

ガキィンッ!と火花が散り、長刀での剣戟が始まった。勢いよく攻めている張飛にそれを軽々と受け流しながら後ろに後退して衝撃を少しでも軽くしていく。


張飛「うりゃああぁあぁああ!!」


張飛は横薙ぎに一閃!関羽は柄で受けるがかなり後ろへと後退してしまう。関羽の両手にはかなりの衝撃と痛みで痺れて震え、顔を歪ませる。張飛は子供でありながらあの怪力。

(強い……力押しでは無理かっ……なれば!)

張飛が威力であれば、関羽(こちら)は無理に返さず回避を増やす!

例え戦いであれ、子供に怪我をさせてしまっては後味も悪い。それにあの岩場を降りる際に見せた猿のような身のこなし……流石に山で住んでいたわけではない。と、すればここは無理に戦いをせず回避と弾き返しをすればよい。

張飛はそのまま猪突猛進、という形で蛇矛を振り回し、刺突や横薙ぎ等の大振りの攻撃を繰り返す。

常人では太刀打ちできまいが、関羽は怪物並みの実力者。戦い慣れている動きで張飛の攻撃を弾いたり回避したりとダメージを受け付けない。

そんな攻防が繰り広げられ、時が進んで夕暮れ時。二人は多く飛び退いて武器を構える。あんな激しい攻防をしたと言うのに、息は切れておらず、それどころか汗をかいていない。


「中々しぶいじゃないか」


「そっちこそ!………でも、鈴々の本気はまだまだこんなんじゃないのだぁぁぁぁっ!!」


二人同時に地面を蹴り、再びぶつかり合う。

柄を使って飛び膝蹴りや足払いなど、体術も合わせた独創的な動き。普通の武術家が直に見れば気づくであろうが、二人の動きは正当な武術ではない。我流だ。

どちらも似たような動きに見えたりはするが、全く違う。

関羽は幾度とない修羅場や実戦で培った“技量”の我流。

張飛は自然での荒々しさで身につけた身のこなしと、猛獣を相手にしてきた直感的かつ荒々しい獣のような“力”の我流。

双方違う我流だが、その他諸々補い合っていて決着がつかない。そのまま剣戟が続き、夜になってしまう。

ガキャアンッ!!と言う鉄がぶつかる音で剣戟が終わり、二人はそのままの姿となる。

張飛は関羽の背中を叩っ斬ろうと縦に振り、関羽は背を向きながら柄で蛇矛の刃を受け止めている。二人は肩で息を切っているが、汗一つ流れていない。


黎慈(……こりゃ流石に、圧巻の一言だな)


そう感嘆していると、関羽が目を閉じて口を開く。


「………惜しいな」


「はっ?何がなのだ?」


「……それほどの力を持っておりながら、やっていることは山賊ごっこ、とはな…………」


「っ……!余計なお世話なのだ!」


張飛は動揺で蛇矛を離し、関羽から離れる。

関羽はゆっくりと立ち上がり、背を向けたまま語り始めた。


「………張飛よ。お主、幼い頃に、両親を殺されたそうだな」


「そ、それがどうしたのだ!」


「…………私も幼い頃、家族を失った」


張飛は絶句してしまい、黎慈は無言のまま動かない。武器の握る力を強めて語り始めた。村が戦に巻き込まれ、父も母も、ましてや兄も……。

瞳を閉ざしたまま語り続ける。閉ざした瞳をゆっくりと開け、

───だから誓った。こんな悲しみはもう繰り返したくないと。二度とこんなような事が起きぬ世を創ろう、と。


「そ、それが鈴々と何が関係しているのだ!」


関羽は凛とした表情で振り向き、問い掛ける。


「お主は変えたいとは思わぬのか?戦に巻き込まれ、賊に教われ、罪もない人々が傷付き、悲しむこの世の中を!」


張飛は歯軋りをし、震える。その反応は自分でも理解できている。そういう反応なのだ。


「っ………ぐぅうぅ…………うりゃぁああぁあっ!!」


自棄になって蛇矛を振りかぶり、振り下ろして関羽は柄で防御する。だがさっきよりも威力も力も強く、弾き返すことはできない。


「そんなの!そんなの分からないのだ!ただただ!鈴々はずっとずっとさみしくてぇ!でもでも、どうして良いか分からなくてぇ!それで、……それでぇっ!!」


張飛は力任せに蛇矛を叩き付けながら、己の内に秘めていた思いを一気に吐き出す。

募りに募ったその想いは今激流のごとく言葉として流れていく。止まることはない。いや出来るはずもない。どうして良いのか分からなかった孤独感。今となって出てきた心の悲鳴。

関羽は力任せによる叩き付けに耐えられなくなり、偃月刀が手元から弾かれてしまう。

やられると思った関羽は両腕を交差して咄嗟に体勢をとるが、何秒待ってもこないので片目を開けると、いつの間にかいた黎慈が張飛の後ろで蛇矛を取り上げており、張飛は震えている。その目に大量の水滴を留めていた。


「っ…………うっ……………うあぁあああぁあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


張飛はそのまま崩れ落ち、涙腺が崩壊して泣き出してしまう。今まで堪えていた衝動、耐えていた寂しさをぶちまけたら普通こうなってしまう。

一般の子ならもうとっくに泣き出しているだろう。だが張飛は何年も耐えてる辺り精神の忍耐力も凄まじいのであろうが、人は溜めていた想いをぶちまけてしまうと、後の力が抜けてしまい、脱力するか泣き出してしまうのだ。

心の悲鳴の反動も加われば、更に激しくなるだろう。関羽は何が起きたのか、何故泣いたのか分からずおろおろしながら「ど、どうした!?何で泣くんだ!?」と困惑をしてしまう。

ただ、黎慈は何処か懐かしむような、共感できるような酷く優しい笑みで張飛に近付き、頭を撫でて囁く。


「…………もう、我慢しなくて良い。枯れるまで泣こう。全部、受け入れるからさ」


「うぅ……ぇうっ…………わあぁぁあああぁあぁああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


黎慈に抱き付き、その涙を服に擦り付けて泣き続けた。今まで溜まっていた悲しみを吐き出すために。

黎慈は無言のまま頭を撫で続け、夜空を見てこう思った。



────俺、今回何もしてなくね?



◆◇◆◇◆◇



さて、俺はあの後張飛に涙を服で拭かれてびっちょびちょだ。まぁ直に乾くから良いけどさ。

因みに今は張飛の山小屋の風呂に浸かっている。

何故かと言うと、泣き終えた後「勝負の途中で泣いたから、好きにしろ」と言われたので庄屋達に謝ってもらうことに。結構勝負に関しての拘りが強いんだなぁと思うこの頃。

そんで、夜の山は結構危険なので泊まっていけという張飛の提案。関羽は断ろうとしたが俺が何とか説得し、泊まることになったのだよ。

ほら、やっぱ寂しいの苦手みたいだしさ、ね?

あ、さっきまで二人が風呂に入ってたが、胸の話で盛り上がっていたな。うん。関羽が大きな志を持てば胸は大きくなると誤魔化していたが、そんなんで大きくできたら誰も苦労せんわい。

風呂から出た俺は乾いた私服に着替え、寝室へと向かって歩く。

そのまま扉を開けると、丁度張飛を寝かしつけていた関羽がこちらに気づく。


黎慈「ふぅ、妙なことになってしまいましたな」


関羽「まぁ、泊まるよう言ったの立神殿ですが」


黎慈「気にしない気にしない………。んで、何を話していたので?」


関羽「まぁ、何と言うか………姉妹の契りをするはめになったのですが………明日、貴方との兄妹の契りを交わすと………」


黎慈「何故だよ………ま、良いや。取り合えず寝ますか」


関羽「ですな」


関羽は横になり、目を瞑って眠りにつき始める。俺も寝るために横になって寝ることとした。


関羽「……………立神殿。あの時、随分手慣れたような様子でしたが………」


黎慈「………………さぁ、何ででしょうな」


俺は敢えてその疑問を曖昧という形で終わらせ、眠りについた……────

次の日。詳しく話を聞くと張飛も旅についてくるみたいだ。俺もその仲間に含まれているのだが……まぁそれはそれで良い。てか驚いたのは張飛が妹になったことだよ。だって目をウルウルさせながら「ダメ………なのか…?」って聞いてきたんだぜ?断る方が難しいだろ?

………と、まぁ雑談は子のくらいにして、庄屋との件だが、張飛が素直に謝ったのもあって許すことに。何だかんだで大人だね。庄屋って

さて、今は一本杉の右に曲がって道を歩いているのだが………何やら張飛の顔がやけに元気がない。


黎「どした?そんな暗い顔をして……」


関「もう村が恋しくなったか?」


張「そんなんじゃないのだ………見送りのとき、彼奴等がいなくて………」


あぁ、手下達の事ね。


張「きっと、鈴々が良い親びんじゃなかったから………」


張飛は目を細め、俯いてしまう。それを見た関羽も悲しそうな顔をしている。………あれ?もしや普通の顔してるの俺だけ?って、あれ?何か山小屋の方………あっなるほど。


黎「関羽さん関羽さん。あれを」


関羽「ん?………どうやら、そうでもないみたいだぞ」


俺は関羽に小さく山小屋の方を指摘すると、自然な流れで繋げてくれた。まじありがたい。小屋の方には張飛の手下達が屋根に登り、旗を掲げて見送っていた。泣いてたり笑ってたり様々だが、張飛は涙を溜めて嬉しそうだ。


張「皆………」


関「泣くな。旅立ちに涙は不吉だぞ?」


そう微笑を浮かべながら張飛に言うと、張飛は乱暴に涙を腕で拭うが、結局涙が溢れていたよ。

………あれ待って?髪飾りまで泣いてる?それどうなってるの?てかどういう原理なの?


張「泣いてなんか……ないのだ!」


関「人は次に会うまで、別れ際の顔を覚えているものだ、……立派な良い親びんなら、そんな情けない顔を覚えていられたくはないだろう?」


そう言うと張飛はゴシゴシと涙を拭い、こちらに元気溢れる笑顔を見せて「うん!」と言い、山小屋の方を向く。


張飛「皆ーーーー!!行ってくるのだーーーーー!!!」


声はよく響いたので伝わっただろう。…さて、行きますか。

俺達は再び歩み始め、旅を続ける。

さて、次はどんな出会いが待っているのであろうか、少し楽しみという気持ちがある。


次は、どんなのだろうかね


鈴々こと張飛が仲間に加わった!

鈴々「鈴々なのだ!関羽と立神の妹なのだ!」

黎慈「詳しくは契りを交わした義兄妹だがね」

関羽「それはさておき、次は何処に行きましょうか?」

黎慈「なるべく近い場所が良いっすね。……あっ次回予告!」

関羽「次回【蝶と死地】……何だか不吉ですね」

鈴々「次回まで生きていると良いのだ!」

黎慈「そういうこと言わない!」

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