始動!孤児院( `ー´)ノ
スラムのまとめ役の少年の名前が判明した。
リオンだって!今まで名前の把握をしてない私の方がウッカリさんだったので仕方ない。
「リオン、不要な家具は離れに持って行くようにな!」
虚弱でも剛腕になれる手袋を私含め22人で嵌めて屋敷の使えそうにな荷物を運び出す作業を繰り返した。
「このゴミはどうするんだ?」
リオンの問いに
「リサイクルして売るよ。」
「売れるのか?」
「布の張替えさえすれば使えるしね。貴族が使って居た物だし、それなりに丈夫だしね。デザインもちょっと変更するけど!」
私はゴミという名の宝の山を作ることに専念した。
「留美生様、この服の山はどうするんですか?」
貴族のドレス類を集めたシャンドラに
「それは私がリメイクして売るよ。シャンドラとかにも手伝って貰うからね!?」
「はい!」
商売だよ!と言いながら仕事手伝ってねって言うと嬉しそうに返事をした。21人の孤児達は、話が分かる子ばっかりだ。
悪辣な生活をしているからこそ、そこから抜け出せた解放感もあるのだろう。皆が皆、素直ってわけじゃないが、こっちが指示した事は守ってくれているし、問題も起こさないので別に文句はない。
こうして掃除をすること数時間、不用品は全部離れに置き、必要な物は本館に置けたようだ。
私は瓶を取り出し、手に瓶の中身を零す。ぬめぬめっとスライムのような物体を持ってニヤァっと笑うと子供達が距離を取った。解せぬぅ!!
「Cleaning!」
呪文と共にスライムのような物体が高速回転で掃除後の残りかす等を食らっていく。色も透明な青色からドドメ色と変色してきた。
あのスライム状の物体は私が薬師になろうとして出来た失敗作ルンパである。Cleaningと併用して使えば超綺麗になると解ったので愛用しているのだ。
除菌・消臭もしてくれる優れものだが、見た目がアレなので不人気なのだよね。
15分ぐらいしてルンバが真っ黒になったので瓶に戻し封印した。
ピッカピカの壁や床は見違えるようだわ。
「綺麗になりましたね!」
「そうだねー後は部屋割りをするかぁ!!?」
部屋は沢山あるので一人一室でも良いかと思うけど、最年少が1歳らしいので、幼児と年少はまとめて寝てもらうことにした。
監督として週一のペースでチビちゃんズの面倒を見る係を作ろうと思う。
「リオン、部屋割りだけどどこの部屋が希望とか、誰と一緒が良いとか希望を皆から聞いてきて。あ、幼児と年少組は一部屋で交代で皆に見て貰うからね。私はご飯の用意するわ。」
「解った、飯が終わったら提出させる。」
そこまで急がなくてもと思ったが、部屋が決まれば各自自由に過ごす時間も多くなるから良いかと考え、リオンを見送った。
私は簡単な食事を作り出す。21人分の内、年少が7人、幼児が4人と半分以上が年少以下になるのだ。
幼児用、年少用、通常のご飯を作るのは苦労した。年齢が高い順に食事を仕込まなければ!材料があっても作れないとなると問題である。
「う~ん、子供用の調理器具作成しようかな……おーい、ご飯出来たよ!!」
持って行きなーと声を掛けると子供達がワラワラと集まってきた。
リビングに皆でご飯を持って行き、年少・幼児とペアになるように適当に席順を決めて
「合掌!日頃の感謝を込めて頂きます!」
私に合わせて後から同じように真似する子供達。うん、良え子や!
ご飯を食べながら
「留美生様、頂きますってどうして言うの?」
シーナの言葉に他の子供達も知りたいようなので
「私が生きる為に貴方の命を頂きますって感謝の意味だよ。ご飯を食べ終わったらご馳走様って挨拶もあるからね。こちらは、ありがとうございましたって感謝の言葉になるなぁ。」
ちゃっちゃとご飯食べて各自の部屋を作るでぇ!と言えば、ご飯を一斉にガツガツ食べ始めた。素直やな。
やってきました子供達の仕事をする日が!!一番暇しているイザベラを引っ張って、餓鬼共のお守りを任せた。
家具も買うのも勿体ないので服はドレスを解体して服にしたり、使われてないゴミのキャビネットやチェアー各種を突貫で修理とリメイクしてやった。
これに関しては、リオンも色々とデザインに口出ししてきて良い物が作れたと思うわ。
私は年長組の一人ひとりに留美生印の制服を渡す。
「皆、この服に着替えてきてや!」
手渡された制服に袖を通して私の元に再集合した彼らに
「良えか!先ずは富裕層で不用品を回収する作業を行う。その際にCremaの社員という事を添えて不用品が無いか確認してな!Cremaの社員の証として今から渡すピンバッチを胸に着けるように!これを紛失したら首やからな。じゃあ、一人ずつ前に出てきて受け取ってな。」
首は言い過ぎでも、それぐらいの覚悟を持って仕事をして貰わないと割に合わへんしね。
一人ずつ私の作った太陽の紋章型留美生印のピンバッジを取って胸に着けた。
「コスメの事など聞かれるかもしれんから詳細はこのチラシでってティッシュを渡したり。」
バッチリコスメ情報を載せたCrema専用のチラシが入っている。
「回収に応じてスタンプを押していくんや。」
私の掌にスタンプを押して留美生印の柄がくっきりと映っている。
「スタンプを押した上で各個人のサインをしたら良え。それが自分のサインやと解るのにしいや!」
蛍光塗料の特性スタンプなため、偽造出来ないようにしてるけど万が一って事もあるからな!
「何か質問あるか?」
「このポイントが全部貯まったら何か貰えるのか?」
リオンの問いに
「全部ポイントが貯まったら上級コスメセットが貰える仕組みや。不正が出来へんようにしてあるから安心して商品回収に行くで!」
アッサリと姉の商品を売っぱらう事にした。残業手当出さないブラック姉への嫌がらせでもある。
私達は四苦八苦しながらも不用品回収をした。やがて王都の貴族の館からも不用品回収の依頼を受ける事になる。
流石人気コスメセットと笑う私の裏腹で姉は、宗教対立していたのであった。




