姉がサイエスに帰還した。
久しぶりに姉と合流した。姉の感覚では結構な日数が経過してたらしいが、私達では1週間も経ってない。
すっかり時間差を忘れている姉よ、お馬鹿さんだね!
地球でコフレ出したと騒ぎまくる姉。
「Cremaでクリスマスコフレを1000セット売るように指示出しておいたよ。後、はじまりの町で基礎化粧品セットの特許取ってきた」
「何割でですか?」
「3割」
まぁ妥当やな、と思ったらアンナが鬼の形相になった!
「何で3割なんですか!! そこは7割でしょう!!!!」
怒髪天と言った感じで怒る怒る。フジコーと怒り狂うアンナに姉が
「基礎化粧品セットの作り方が分かったところで、私の基礎化粧品セットには負けると思うで。それに、色んなところから基礎化粧品セットが売れれば市場が回るやろう。7割にしたら特許申請した意味ないやん。競争相手が居て、初めてブランドや実績が出来るんやし安くないと思うけどなぁ。後、裏技で上級ポーションのスクロールと打ち身の薬のスクロール貰ったから、良いんちゃう?」
特許申請したから、これから粗悪品の化粧品セットが出回るだろうが、花令作の化粧品セットの名が売れると思えば安い宣伝費だ。
「私も花令の3割は妥当やと思うで。高すぎると意味ないしな。定期的に特許料が振込まれるんやろう?」
「うん。Cremaに入るようにしといた。会社が潰れん限り永久に入るで」
姉の言葉にアンナも渋々納得を見せた。私は
「花令もちゃんと考えてるやん」
親指を立ててグッジョブと言ってやったよ。久々に姉を褒めたわぁw
「そっちの成果はどうやったん?」
「クラムチャウダー・カレー味を提供したわ。スラム街はゴミと交換して炊き出したで。自力で来れへん人の為に、屋台を引きながら回ったで」
「庶民では、銅貨3枚で販売しました。留美生印のスプーンを持ち帰れるようにしております」
留美生とアンナからの報告を聞く。
留美生は、完全に慈善事業をしている。
アンナの方は全部売り切ればトントンになるぐらいの計算である。
「アンナの方は、スプーンが付くんやろう? 赤字にならんかった?」
「大丈夫です。スプーンのおかげで完売しましたので、赤字にはなりませんが黒字にもなりませんので±0ですね」
「2人とも絡まれたり、いちゃもん付けられたりせんかったか?」
「私んところは、ゴロツキがいちゃもん付けてきたから適当にボコって転がしたわ」
「私のところでは、スプーン目当ての方が何回も並ぼうとしてましたね。お断りしましたが」
うちもアンナも多少のトラブルはあったが、順調に炊き出しは終了したのだ。
「レン様、クリスマスコフレはこちらでも販売するんですよね?」
うぁ……アンナの目が¥になっている!お銭々(おぜぜ)狂信者やわ。
「いや……予定はない、で?」
「はぁ? 何言っているんですか!! こちらも売り出しましょう。年始に向けてお祭りがあるんですよ!! 丁度、財布の紐も緩んでくる時期ですので売り出すべきです」
はぁ?って滅茶滅茶低っい声で言われたら私もビビるで!姉なんか半泣きやわ。
「留美生にコフレ用のバッグ作って貰わんとあかんし……」
「複製スキル持っているから時間は掛かりませんよね? やりましょう。取敢えず1000セットでお願いします」
何で私を巻き込むねん!冗談やないでぇ!!
「「そんなん無理やー」」
半泣きになりながら姉と一緒にとシンクロ拒否したが、
「何言っているんですか! かき入れ時ですよ!! 今、販売しなくて何時販売するんです。売れる時に売るが商人たる心構えですよ」
と力説された。
こうなると梃でもアンナは動かない。
「「はい……」」
暫く姉と一緒に馬車馬のように働くのか。
誰だよ!
私副社長だよ!待遇悪いよ!劣悪だよ!このブラック企業!!
アンナのゴリ押しで姉と私ははクリスマスコフレの制作のため缶詰になったのだった。




