炊き出し企画完
色々と苦労している留美生です。セーブとロードは神の命と思います。
スラム街で炊き出しをしつつ、怪我人、病人に薬と花令印ポーションとヒールで治して飯食わしたら拝まれた。拝むなら太陽の女神である天照様でも拝んでくれと言ったら喜んで太陽を拝んでいた。
炊き出しの横では治療が平行されている。治った者は病気や怪我人を連れてくる。
魔法を使える者にはお湯を出させ、綺麗な布はアイテムボックスから取り出し、手当をさせていった。
手伝ってくれる奴等から教会は頼りにならんのか?と問うたらスラムの民は慈悲を受け取る資格がない云々と言われたそうだ。馬鹿じゃないのか?
私が把握したスラム街でも此処は一番大きいとのこと。あまりにも悲惨なスラム街に国が傾いているのかと判断した。これは早急に姉に報告しなければならないなぁ。あと、教会は腐敗しているようだ。だからあんな出来損ないの僧侶が出来上がったのか、納得したわ。
「嬢ちゃん、こっちは終わりましたぜぇ!」
スラムのおっさんに
「おーご苦労さん。これでも飲んで休憩してちょうだいな。」
ほいっと手渡した温かい牛乳を手渡した。勿論、蜂蜜入りだ。
「ウメー!!」
美味い美味いと言いながら蜂蜜入り牛乳を飲むおっさん。
「仕事は色々とあるから、もし手が空いてたら私の家に訪ねておいでや。仕事斡旋したるわ。肉体労働なw」
割とマジで人手が足りへんから三食分で雇ったるで!と皆に言えば笑顔が増えた。うむ、安くて良えねんけどな、スラムの住民の不満がいつ爆発するか心配である。こっちに害が出ないように媚び売っとこう。
そう思っていたら
「なぁ、あんた等が病気や怪我人を治して飯食わせてる連中か?」
賢そうな少年が目の前に居た。私を探っているようだ。
「まぁ、そうなるんかな?別に無料ってわけやないで!怪我や病気が治って飯食ったら、ちょっとした仕事をして貰ってるしな。それにもし困った人がおったら手助けしたってや、ってお願いしてるだけやで?」
「それでアンタに何のメリットがあるんだ?」
単刀直入な物言いに
「メリットねぇ、色々とあるけど。例えば、スラムの住人しか知らない情報を貰ったり、今見たいに労働力を借りたりかな。まぁ、炊き出しは純粋に慈善事業だわ。下心が無いわけじゃないけどね、君はどうしたいの?」
私も直球に物を言う。
遠回しなんてまどろっこしい事をしても意味はないと思うしね。
「病人と怪我人がいるんだ。此処に連れてくるのが難しい。あんた達は来てくれるのか?」
人を試す目をする少年に
「良えよ。」
即決で返事をした。少年は眼をパチクリさせた。こんな顔も出来るんやねぇ。
「此処は一旦キャロルに一任するわ。護衛としてイスハパン置いていくさかい安心してや。布と薬移動させるな。」
布と薬を移動させつつ
「ヒール使える奴がいるさかい、そいつにMP回復薬飲ませて、こき使って良えで!」
おっさん引っ捕まえてイスハパンに渡す。
「私はこの子のとこで出前してくるわ!」
じゃ、宜しく!と伝え少年を促した。少年は胡散臭い目で私を見て溜息を吐いた。酷いな!!
「あんた、お嬢さまじゃねーだろ。何考えてんだ?」
道中で少年にお嬢さまじゃねー発言をされたので
「失礼だな!貴族の令嬢かもしれないじゃん」
って言えば
「絶対ない。品がない。嫋やかさがない。華やかさも気品もない。」
何故か絶対にないと言い切られた。ムカつく!!
私だって化粧すればそれなりなんだからな!!と心の中で毒づく。口に出したらマシンガンで返されそうなので口には出さない。
「何考えてるって労働力の確保かな?これでも大手の会社を姉が立ち上げたからね。私も色々と忙しいし、後継者も欲しいしで人手が欲しい。炊き出しは慈善事業だから別に探っても何も出んよw」
そう言えば少年は黙って道案内に戻った。
スラムの外れの教会の廃墟に入った時、一斉に子供達に襲われた。
善良な人間ならフルボッコ間違いなしで追剥されていただろうが、此処にいるのは私である。残念、無念、また来年ってことで手加減に手加減を重ね反撃した。
「私を襲って荷物を漁るつもりだったんだろうけど残念だねぇ。あの中で一番強いのは私なんだよ。しかもノコノコ出向く善人だと思ったわけ?ノン!私ほど性格の悪い人間はいないと思うよ?あ、居たわ…姉が!少年、この落とし前はどう付けてくれるのかな?」
ニ~~ッコリと笑顔で脅せば
「悪かった。俺の命をやるから他の奴等は手出ししないでくれ。」
アッサリと降参した。まぁ、実力差が有り過ぎると理解したのだろう。
「そっ、じゃあ病人と怪我人は何処?」
私の質問に
「は?」
一同がポカーンとした。
「だから病人と怪我人の治療するから何処にいるか教えて貰わないと困るんだけど?」
早く案内しなと少年を小突くと
「こっちだ。」
急ぎ足で私を病人と怪我人の元に案内した。
私は転がっている少年少女を一人ずつ診て治療し、元気な子供には生活魔法が出来る者がいるか確認した。案内した少年が使えるとのことで、温かいお湯を出すように指示し、綺麗な布で体を拭くように指示を出した。
サクラのヒールが大活躍した。
一段落して少年が疑問を投げかけてきた。
「ありがとう。でも、危ないと分かって何で来たんだ?本当に弱かったら俺達に物を盗られていたんだぜ。それを承知で来た理由を知りたい。」
「理由ねぇ…君が欲しい答えは私は持ってないよ。先ず一つ、炊き出しは慈善事業だ。二つ目、不意打ちでも勝てる自身があった。三つ目、労働力か情報が欲しかった。以上だね。さて、君の命は私の物になった事だし、君を連れて帰る事にするけど、君はこの子達のまとめ役だと思うがどうなの?」
「そうだ。後任を決めてくる。」
「別に決めなくても良いよ。君たち丸ごと私が面倒を見よう。その代わり、君たちが知る情報・人脈を貸して欲しいんだ。衣食住礼は確保するよ。どう?まぁ、2~3日待って欲しいけどね。」
「破格な待遇だな。何を企んでる?」
疑心暗鬼な少年に
「本当に頭が固いよね。別に何か企んでるわけじゃないけど、まぁ人材発掘かな。此処の子は結構レアなスキルを持っているからね。だから青田買いだよ。他の所へ行きたいって時は申し出してくれて構わないよ。一生束縛するとかはないからね。何なら後で書面で契約しても良いしね。」
キッパリ言い捨てればポカンとした顔をした。
君、その顔を私に晒すの多いよね。まぁ良いけど。
こうして私は子供21名をゲットしたのであった。姉に内緒で即決で館を買い(いわく付き物件格安)掃除をし、21名を迎えたのであった。
炊き出し企画が後々新興宗教発展になるとは思ってもなかったのであった。




