小話を一つ
私が結成したTHE Beauty部隊の完成度は日に日に高まっている。Your Tube様々である。
一番意外やったんはイザベラやな。とんちきなメイクをするかと思ったら○○風メイクって指示を出せば、きちんとメイクしてくれるようになったしな。
コスメ部隊に新しい制服と腰ポーチを用意していたら、馬鹿姉が服飾部門の人材確保の採用権をぶら下げて強奪した。
死ね!
何でも間でも欲しいと強奪していく癖を治せよと言えば、採用権あげへんでぇとアホ抜かしやがってぇ!ババアのお前が着る為の服とちゃうわっ!
姉に市場調査から戻ってきた際のお土産として白蛇を見せたらウザくなった。
赤白や紅白よりも小さい蛇ちゃんなのだ大事に扱えと思ったら
「ギャァァアアッ! 何この可愛い子ちゃん!」
「市場調査してた時に拾った」
「マジか! 紅白が家に来た時くらいの大きさやん。スベスベしてテラ可愛ゆす」
本能のままにスハスハしてた。周囲はドン引きである。
「あんまり構ったら嫌がるから止めとけ」
と釘を刺し姉の奇行をけん制した。
「名前とか付けたん?」
「うん、白に朱色と書いて白朱ちゃん」
「良い名前やね! うちの蛇ちゃんズと同じ赤と白かぁ~。留美生にしては、マシなネーミングだと思う」
グッと親指を立てたのでハリセンで頬を手加減なしに打った。
ハリセンの軌道と同じ方向にゴロゴロと回転して壁に激突した姉は涙目で起き上がり
「何すんねん!! 褒めたったのに!」
「どこがじゃ! 全然褒めとらんわっ。てか、寧ろ貶してるやん。私のネーミングセンスが悪いって言うんか!」
「え? だって、縁起でもない名前を付けようとしたりするやん。野良猫に納豆とか付けたりする奴に言われたくない」
「納豆が好きな猫やったんやから納豆って呼んだだけやもん! 私はネーミングセンス悪くない!!」
私のネーミングセンスよりお前のネーミングセンスの方が破壊的にヤバイやろ!と吠えると
「ハイハイ、ワロスワロス。で、白朱ちゃんもティムするからな」
勝手に自分の所有物にしようと行動し始めた。おいコラ待たんか!!
「私が拾ったのにぃ! 赤白ちゃんも紅白ちゃんも私のなのに! 何でも間でもティムすんな」
「じゃかあしい。山田家のルールは私! お前に権限はないんじゃ。それに、ティムせんかったら念話も使えないやろう」
「くっ……確かに」
念話となればティムしなければ意思疎通が出来ないので渋々承諾した。
「んじゃ、ティムすんで~。ステータスオープン」
白朱ちゃんのステータスを見ると速度と幸運以外は屑だった。まぁ、レベル1だからしゃーない。
---------STATUS---------
名前:白朱
種族:蛇/アオダイショウ(幼体)
レベル:1
年齢:0歳
体力:1
魔力:1
筋力:10
知能:15
速度:281
幸運:3872
■スキル:丸飲みⅠ・絞め殺しⅠ・念話Ⅰ
■ギフト:なし[メディションホール共有化]
■称号:レンの従魔・癒しのマスコット
■加護:須佐之男命・櫛稲田姫命・阿迦留姫命
■pt統合
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姉は白朱ちゃんに向かって
「白朱ちゃん、分かるかな? これから宜しくね~」
挨拶しているが、白朱ちゃんは、チロチロと舌を出しみょーんと体を延ばし頭を上下に振るだけだった。
赤ちゃんだから言葉が分からないんだと思うが、こちらのニュアンスは伝わっていると良えな…
「白朱ちゃんの面倒は、誰かに見て貰おう……」
姉の言葉に現実を突き付けられた。私も姉も忙しい。拾ってきたは良いが、誰が面倒を見るか忘れていた。そこで
<わいらが面倒みたるで~>
<サクラも面倒みるですの~>
いつの間に現れたのかティムカルテットが、白朱に絡みだしている。
ティムカルテットに面倒みさせたら、それこそ性格が吹っ飛ぶ感じになりそうで怖いんだが、最適な相手がいない……仕方ない腹を括ろう!
「留美生、どう思う?」
「ちょっと……いや、大分心配なんやけど面倒見る人がおらんからな。任せてみたらどうや? 何かあれば報告してくるやろう。面倒見る事で愛着も出ると思うし良いんちゃう」
ティムカルテットのような性格にはならないで欲しいが、人でも居ないので任せするしかない!
「じゃあ、ちゃんと面倒見てな」
<おう、任せとき>
<ちゃんと一人前の蛇にしたるわ>
<サクラもお世話するですの~>
各々自信満々にお世話を安請け合いしている。キシャーキシャーと鳴きながら変な踊りを披露している楽白を見て、新しい仲間が増えて嬉しいんやろうなと心中思った。
白朱ちゃんをティムカルテットに預けて、仕事だと思考を切り替える。
暴走集団ティムカルテットからクインテットに変わるのは、そう時間は掛からなかったと後に私が悔し泣きをしながら語った。




