コスメ部隊と市場調査
午前中はコスメの入れ物、午後はコスメ部隊の特訓を毎日繰り返していた。皆、メキメキとメイクの上達をした。
その中でもメイクを変幻自在に操るのが、あの!戦力外通知を早々に出した!イザベラである!!
ゲーオタでアニオタな彼女は、ついにコスプレにまで手を伸ばしていた。そうして開花したのがトレースコスメである。
アニメの○○風にと言えば、その通りに化粧が出来る様になったのだ!
これを姉に報告したら『棚から牡丹餅やな!正直、イザベラには1㍉も期待してへんかったわ!』と言われたのである。私も期待してへんかったけどな。
「今日は姉にそれぞれの特訓の成果を見せて実力を示す時やで!私が見た限りでは合格ラインやと思う。だけど姉とアンナに認めて貰わんとコスメ部隊には入れないからな!皆、お銭々(おぜぜ)を稼ぐでぇ!」
姉とアンナを前に二人一組で対話式に洗顔方法から基礎化粧品、メイク技術を使い美しい顔を作り上げていく。勿論、話術も鍛えたので及第点は貰えると自負している。
問題のイザベラも私が○○風で化粧と指示していたので危うげなく最後までできた。
「留美生ようやった!上出来や!まさかイザベラが此処まで成長するとは思わんかったわ!」
「本当に絶対に無理だと思ってました。」
姉の言葉にうんうんとアンナが頷いた。
おい、私も最初は接客とか含めて絶対無理だと思っていたが、コスプレ代や新作グッズを買うために、イザベラは頑張ったんや。金を稼ぐ事に目覚めたイザベラの接客態度は、このコスメ軍団のトップを輝いているんやで!
金にケチケチしている所は拾ってきた姉に似たのだなって思うけど。
私は姉に
「コスメ部隊のユニフォームとアクセサリーは作ってあるからな!あと専用タオルにお客さんに着せるポンチョとかも頑張ったで!専用のコスメセットは留美生印のロゴが入って格好可愛い感じに仕上げたで。あと通常のノベルティーポーチと限定版のノベルティーポーチの用意も出来てる。」
ズラっとユニフォーム、アクセサリー、専用タオル他ノベルティポーチ等を見せた。
「素敵ですね!」
「めっちゃ可愛いやん、サンプルくれ!」
「あ、私も欲しいです!」
二人共厚かましいな。
「サンプルはコスメ部隊に渡すからアンタ等の分はないで!」
ビシっと一刀両断したら
「ズルイわ!姉ちゃんがこんなに頑張っているのに!!」
「私も頑張ってるのにご褒美が欲しいです!こんなのを見せられて貰えないなんて…」
およよよよ、と泣き真似をするアンナと姉に私は呆れた顔をして
「(これ以上面倒臭いのは嫌やし)どれか一つだけやったら良えよ。」
と答えて手打ちにした。
キャーキャー言いながら物色する二人に
「明日は市場調査しに行くさかい誰か数人よこしてな。」
と釘を刺して私はコスメ部隊に解散させ、自分もリビングでお茶を飲んでマッタリした。
翌朝、姉に市場調査するから人手を寄越せと言ったら
「何言ってんの!ノルマ終わってんの!?」
と文句を言われた。
「昨日、コスメ部隊の成果を見せた時にちゃんと今日は市場調査するから人手を貸すって約束したで!嫌ならサンプル返せ!」
サンプルの返却を求めたら
「嫌やわぁ~忘れるわけないやん♡」
ころっと掌返しをした。姉ぇ……
「イーリン、キャロル、マリーを交代で連れてって良えで。面接もあるし、それまでにはちゃんと終わらせ時や。」
「分かった。じゃあ、早速イーリンを連れてくわ。イーリン、出かける準備しておいで。あ、服はこれに着替えてな。」
手渡した服を持って着替えに行くイーリンを見送り、私も服を着替えた。
シンプルかつ美しいデザインを目指して試作中の留美生印の服である。
私の新作の服に良いなぁ、良いなぁと背後霊の如く付き纏う姉を無視して私とイーリンは市場調査に出かけたのであった。
後にこの新作の服も姉とアンナに強奪されるのである。




