廃屋の幽霊病院
「やってきたな……廃屋病院。」
目の前に聳え立つ廃屋病院は、それなりの雰囲気が漂う場所だった。
「この病院を使えるようにするんや!」
イケーとばかりに病院を指さす姉に溜息吐いて
「報酬は弾んで貰うで!」
ただ働きは不可と宣言したら舌打ちしよった。
チビ共にも手伝いのお小遣いがあるんだから金出せ!
「イーリンとジャック、用意は良えか?」
二人ともマイクを用意して
「「大丈夫です!」」
マイクを掲げた。ティムカルテットが作ったマイクを模擬したレベル底辺でも扱える変形マイク!と適当な名前が付いたマイクである。
ネーミングセンス?私にそれを求めないで欲しい。武器などが完成したら勝手に名前が付いているんだ。私に文句を言わないでくれ。
私は肉球の斧を担いで
「ほな幽霊退治に行くで!!」
私を先頭に子供二人を連れて病院の廃屋の中に入って探検することとなった。
子供たちよ、普通は怖がると思うのだが…マイクの方に興味が行ってないか?最近の子供は逞しすぎると思う。
一階から受付を通って私は早速御出でなさった幽霊に肉球の斧を突き付け
「とっとと昇天せいやーヒール!!うっりゃ!」
超手加減ヒールと幽霊の首を肉球の斧で切り飛ばした。流石幽霊、頭を求めて彷徨っている。
「チビちゃんズ、止めだ!」
「「クロスアロー」」
彼等はノリノリでマイク片手にハモって神聖魔法の初期魔法である光の矢クロスアローを唱えた。
光の矢は天辺でグルグルと旋回し四方八方と飛び散った。
おかしいな?確か一本の光の矢として敵を貫く技ではなかっただろうか?
姉に聖女候補だから神聖魔法を取らせて私の神主補佐をさせようと思ったのに!!
チビ二人から放たれたクロスアローは敵に掠りもしなかった。
「……、チビちゃんズは敵に矢を当てれるようになろうな!!イメージは大事やで、イメージで魔法の攻撃方法も変わるさかい!」
苦し紛れの言葉で励ます。此処に姉とアンナさんが居ったらお前が言うな!と言われるだろう。
こっちだって大変なんだ!!私の神聖魔法wは小回復と敵に大ダメージなんだからっ!チビちゃんズが私に似るなんて思わなかったんだ。
チビちゃんを狙おうとした幽霊の横っ面を肉球の斧で張り倒す。力が強すぎたのか、ビターンと幽霊が壁に激突して目を回していた。
「イメージしてもう一回クロスアローや!」
「「クロスアロー」」
今度は光が凝縮して24本の光の矢が目を回した敵を貫いた。
一人12本も捻り出したチビ二人に私は唖然とした。それでも敵はまだ消滅してないので
「今度は止めを刺すイメージでクロスアローや!」
「「クロスアロー」」
三回目のクロスアローは暴力的な光の矢というか釘?みたいになって幽霊に止めを刺した。
「ギィヤアアアアアアア」
断末魔に呼応するかのように光の矢?釘?がギチギチと減り込んでいく。
チビちゃんズよ、一体どんなイメージをしたんだろう?この容赦のない戦い方は姉の影響なのだろうか?
「「どうでした!?留美生さん!?」」
二人揃ってキラキラした目で私を見るチビちゃんズ。私は顔を引き攣らせて
「とっても良かったよ!」
褒めておいた。
「あ、何かあるかもしれないし確認しますね!」
消え去った幽霊の跡地にイーリンが追剥宣言をし
「何も無いですね。使えない…」
ジャックが幽霊を使えない宣言をした。
姉の教育此処に極まり。
「どんどんと奥に行くよー」
私はイーリンとジャックを引き連れて幽霊退治を進めていった。
最後はお風呂場らしい大浴場にて私達は
「「「臭い(せぇ)っ!!!」」」
と声を大にして喚いた。
「臭っさ!マジ有り得ないんですけどぉ!!」
ファブリーズがねぇ!!と喚く私に続き
「臭いです。鼻がひん曲がる。」
もう涙目になっているジャックに
「この臭いが染みついたらどうしてくれようか…絶対に殲滅するわっ!」
乙女の気になる身嗜みが崩れる事を恐れて怒り狂ってた。
三人でギャースカ騒いでいるとラスボスらしき幽霊が出てきたようだ。温度もみるみる下がっていき寒い。
「二人共、来るよ!」
私は肉球の斧を構え、二人はマイクをマイクスタンドへ変形させ臨戦態勢を取った。
「…………殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺すコロス殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺すコロス殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す……………………」
私達に手を伸ばしたので遠慮無くバッサリと両腕を切った。
チビちゃんズは
「「臭い(のよ!・んだよ!!)クロスアロー」」」
無数の光の釘が幽霊の頭部にグサグサと刺さって行く。レベル底辺でも扱える変形マイク!のスタンド型でこんにちは、死ねとばかりに幽霊を滅多打ちにしている。
何この子達超怖いんですけど!!
幽霊でもボコボコになるのは嫌なのか必死にチビちゃんズから逃れようとするも
「「クロスアロー、クロスアロー、クロスアロー、クロスアロー、クロスアロー、クロスアロー、クロスアロー、クロスアロー、クロスアロー、クロスアロー、クロスアロー、クロスアロー、クロスアロー、クロスアロー、クロスアロー、クロスアロー、クロスアロー、クロスアロー、クロスアロー、クロスアロー、クロスアロー、クロスアロー、クロスアロー、クロスアロー、クロスアロー、クロスアロー、クロスアロー、クロスアロー、クロスアロー、クロスアロー、クロスアロー、クロスアロー、クロスアロー、クロスアロー」」
連続クロスアローをポーション飲みながら唱えていた。
二人共、怒髪天を突いているのか連続のクロスアローとスタンドマイクで幽霊をボッコボコに殴っている。
そして幽霊が
「う……うぅ………ゆ、る…じ……て……ぇ……」
と命乞い?をするも
「うっせぇーさっさとお宝置いて消えろハゲっ!クロスアロー!!」
ジャックは臭いだよぉおおお!と雄叫びしながらボコボコに打ん殴っている。
ジャックに呼応するかのうように
「臭いのよ!臭いが付いたらどうしてくれるの?臭い!臭い!貴女それでも女?ふっ無様ね。死になさい!」
イーリンが鬼の形相で幽霊を殲滅しようとしていた。
何この子達、怖いとばかりに私の方が涙目になりそうだった。敵より身内が怖いわ。
二人でボッコボコにして消滅させたボス幽霊、最後の方は神聖魔法の練習として使われていた。この世は地獄です。南無…
幾分綺麗になった空気でお風呂場の湯を出すと最初は臙脂色から、しばらくして透明なお湯が出てきた。独特な匂いなので、ひょうっとして温泉?と思いお風呂場の入り口に戻り説明書きを見たら湯治と書かれていた。効能も説明文としてあったので私は温泉にヒャッハーした!
「温泉ゲットだぜっ!」
「「温泉って何ですか?」」
チビちゃんズ二人に聞かれたので、私はベラベラと温泉の素晴らしさを伝えたら目をキラキラさせていた。
「改装されたら一番に温泉に入ろうな!!」
と言えばやったーっとばかりに喜ぶ二人。こういう面は子供らしくて良えなぁ。和むわぁ。
私は最後の仕上げとばかりに最近取得した
「オーロラヒール」
広範囲のヒールを此処一体の土地ごと浄化した。途中、ギャーとかワァー、まだ逝きたくないと声が聞こえたような気がするが、温泉を目の前に私は気にしないことにした。
姉に電話で戦利品(温泉)が風呂場で使える伝えたら、姉は狂喜乱舞して改装の手配をするわーと電話を切られた。
きっとアンナをを巻き込んで取引先に突撃してるんやろうなぁと思った。
私達は帰りに高級寿司を食って帰るのであった。




