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琴陵姉妹の異世界日記if  作者: ガンバル。
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帰って来たぜ!!


 姉が自宅(社用ビル)の扉をメディションホームから出して、やっとこさ帰還した。

 今回はリビングで雑魚寝やろうな。部屋割りとかも決めへんとあかんし、おっさん達と一緒なんは今日だけ勘弁して欲しい。

 古参以外は、全員目が丸くなって無言だった。まぁ、それが普通なんやけど…アンナだけは平然としていたが、あれは特殊なんやろうなぁ。

「まあ、色々聞きたい事とかあると思うけど中に入って。絨毯のところは土足厳禁やから、靴は横に設置された下駄箱に収納しいや」

 そう言って一人ずつ順番に扉を潜らせる姉であった。

「パンジーも試しに潜ってみい」

「あ、はい」

 姉の命令に精霊?になったパンジーが、恐る恐るといった感じではあったが、あっさりと扉を潜ることが出来た。

 マジか!?

 姉の所有物の家なら行き来は可能ということか??邪心wwの詰めの甘さに爆笑しちゃうじゃないか!

 エレベーターの付近は土足OKなようにコンクリートむき出しになっているが、段をつけて朱色の絨毯が敷かれている。

 3畳くらいの広さがある玄関を抜けるとドアが1つある。

 扉を開ければ30畳くらいのリビングダイニングが見え、その奥に仕切られた部屋がある。

 60インチの大きなTVとそれを囲むように配置されたローテブルとソファ。

 呆然と立ち尽くしている元奴隷諸君に入るように促し、中へと詰め込んだ。

「これだけ人が居ても狭く感じへんな」

 数にしたら結構な人数が部屋に入っているが、全く狭く感じへんのはフロアぶち抜きしたからだろう。

 私の感想に、そらそうだと姉が思いっきり溜息を漏らした。

 言いたい事があるんなら言えば良えやんけ!!

 小規模の大手デパートくらいの広さかな??

 どうせ姉のことや、後から部屋数を増やせるように設計てるやろう。

留美生るみな、その通りやけど部屋数足りんの気付いてるか? ここまで増やす予定が無かったからな」

「今あるんは6部屋だけやしな。いつもの業者に突貫で頼むか?」

「せやね。4階と3階も業者に頼んで部屋作ったらどうや? これから増えるかもしれんし」

 人数は多い方が何かと便利やしな!!

 製造の手伝いや販売とかのスペースは確実に確保せなあかんし、花令かれんも嫌とは言えんやろう。ただ、花令かれんは突拍子もない阿保やから心配である。

「取り合えず、古参以外は全員リビングダイニングで雑魚寝してな。早急に部屋作るし、それまでの我慢や。私物は、メディションホームにそれぞれのフォルダがあるからそこに収納すること。じゃあ、まずは状況の説明するから聞いてな~」

 姉は元奴隷諸君に、ここが別世界であることと、目的と今後の方針・現状をざっくり説明した。

「--と言うわけで、これから皆には地球とサイエスの二束わらじで働いてもらうことになる。必需品は、留美生るみなが買い物に引率するから好きなん買って良いで。パンジーは家から移動できんから、パンジーの分は留美生るみなが好み聞いて選んどいて。アンナは、うちと同行して業者と打ち合わせな」

 また雑用係を押し付けられた。ネットで買えば良えのに!準備金だって沢山とは言わんが確保してるやろうし、これだけ大人数なら送料無料になるやん!っと思ってもやっぱり実物とサイエスではないという実感を持って貰うために仕方ない事だと割り切った。

 あらかたの説明を終えて、食事や布団はどうするかと言う事になったが、ぶっちゃけ夜だし、店も閉まってるから今日は、布団は無しで暖房付けて寝ることで決まった。




 翌日、私指導の下パンジーが食事の支度する。

 このパンジーちゃん、超有能だった。レシピを一発で覚えるんだ。手際も良いし、体力無限なので料理や掃除はパンジーにお任せしようと思う。

 姉達が起きてきたのでThe 和食といった定番メニューを出したら

「ご飯に味噌汁、漬物と卵焼き……。せめて後1品出してくれても良いやん」

「そんな材料ないわ。一気に人が増えて冷蔵庫の中身もないねんから」

 姉の寝言が聞こえたのでバッサリと切り捨てた。

「1人当たり5万な。スマホとパソコンは会社名義で購入して。全部持ち帰りな。留美生るみな、ほれ名刺。トイレに入ってメディションホームに突っ込めば嵩張らんやろう。ベッドなどの手配はこっちでやるわ。アンナ、業者との打ち合わせに付いてきてくれ」

「分かりました」

「OK。てか、何で副社長なん?」

「肩書があった方がええやろう。脱ニートやで」

「……面倒臭い」

 嫌な役職の肩書なんてマジで不要だ!!

 どうせ文句言いたいけどメシマズ決定になるのを抑えて沈黙してるのだろう姉よ、不満は顔に出とるで!マズ飯決定な!!

「事業を起こしたから傷病手当の給付も打ち切りやな。病院の通院は継続なのが辛いところやわ」

 それは同感である。

「あの……病院って何ですか?」

 はいと、手を挙げて質問してきたのは最年少のチルドルだ。

「病気の人がかかる場所や。お医者さんがおるところやね」

「ポーションとか神聖魔法で治せないんですか?」

「ぶっちゃけ心の病や。怪我や病気は治っても、心の傷はそう簡単には治らへんからな。それを直すために病院、向こうで言えばポーションや教会が役割をになってるんかな」

「うん、まあそういう事。心の病と言っても色々あるし、詐病という奴もおるからな。サイエスに飛ばされてから、色々あったから以前の自分と比べたら随分活発になったと思うで。寝込んだりするのは少なくなったし」

 何かあれば二人して熱を出して寝込んだり、嘔吐や下痢などの症状が出たりと大変だったが、今はそれどころじゃなくなり忙しさに忙殺されている為、気がまぐれている状態だ。

「チルドルもそうやけど、ここに居る皆は家族や。協調性は大事やけど、本当に嫌なことがあったら相談してや。言葉にせんと分からんこともあるし」

「そうそう、我慢を重ね取ったら心が壊れんで」

 姉の言葉に留美生るみなが相槌を打つ。

 経験者は語る。

 言葉の重みがしみじみと出るなぁ。

「じゃあ、留美生るみなは彼らのこと宜しく。うちとアンナは、業者の方に行ってくるわ」

 一足先に食事を済ませたわたし姉は、専属秘書になりつつあるアンナを連れて内装を受け持ってくれた業者へと足を運んだ。



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