新しいスキルの派生
「取敢えず、自己紹介も終わったし仕事の振り分けとかは追々やるのでまずは皆の運を均等にしたいと思います! 留美生、例の奴持ってきて」
出来た作品を皆に渡したら案の定混沌となった。神のアイテムとかなんとか…
「何なんこの鬼仕様なチートアイテムは!!?」
やっぱり作品に文句を付ける姉。
「仕方ないやん。悪運を帳消しにする為に全員の運を統合、再分配する為のアイテムやもん。別にこれを売るつもりは無いんやし」
無茶ぶり振ったお前が悪いとキッパリと姉を切り捨てた。隣でアンナが金勘定し始めて、姉はリアルでOTZになりバンバンと床を叩いる。
色々と奇行がヤバイな商売人コンビ。
「ティムカルテットは、どうやって装備すんのよ」
「蛇ちゃんズはチョーカーにしたし、楽白ちゃんとサクラちゃんは体に取り込んでるから大丈夫やで」
「さよか」
心底疲れたとばかりの返事をする姉。
このイヤリングを作る事になった元凶のイザベラが、ボソッと呟いた。
「もっと可愛いのが良かった。」
「お前の可愛いは世界の基準からそれてるからあかん」
と私はバッサリと言い切った。
バッサリ言い切られたのが不服なのか、イザベラは姉を見た。
姉は目を反らし、言葉を濁しつつ傷つけないように、オブラートを何重にも掛けて説明している。
「その、な…イザベラ、アンタの趣味は万人受けせえへんのや」
しかし、イザベラには通用しなかった!
「イザベラの趣味は悪いんです。ブチブチ言わずにイヤリング着けなさい。これは貴女の不運を幸運に変えるアイテムなんですよ。本当なら売りたいのに……」
ズバッと躊躇いもなく言えるアンナに喝采や。
でも、売らんからね!
それぞれイヤリングを付けてくれた事で、姉の目の前に幸運のポイント再分配しますか? と表示されたので、再分配するを選択したら皆の身体がピカっと一瞬光った。
それだけ? と首を傾げた姉と私は顔を見合わせた。
ちゃんと再分配されているか全員のステータスを確認したら、
「おぉ!! ちゃんと再分配されてんで! これで悪運666も無くなったわ! ん? 何か新しいスキルが発生しているで!!」
姉が興奮気味にステータスを見せると、私も驚いた。
「金運のスキルがある! 取得金2倍って凄いやん! 留美生よくやった!!」
「本当です。全員に金運スキルが付与されてますよ! これでモンスター狩りまくってお金を貯めましょう!」
明日は狩りの日にしましょうと、アンナのお目が(¥¥)になってる。
アンナ、お金が関わると人が変わってないかい?
「まぁ、うん、何ちゅーか明日は狩りか?」
「せやね! 腕試しってことで依頼を受けるで!!」
おーと気合を入れるアンナさんと姉を他所に、私はグッタリとソファーに沈んでいた。




