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琴陵姉妹の異世界日記if  作者: ガンバル。
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女幽霊が姉の従魔になった

 姉はビル購入とお社を作った。

 ビルは寝泊まりルームみたいに1フロアを改装して、3畳の部屋を6部屋(鍵付き)と風呂とダイニングキッチンを作った。そのお蔭でお金が吹っ飛びました。

 自宅を売り払い、新居に移り新生活が始まった。

 姫嶋神社から神主さん呼んで屋上のお社へお引越しもしたよ。

 神官のスキルがあるので似非神主として社の管理をしている。

 毎日お水の代わりにお酒をお供えしていたら、姉の夢に出てきてもっと良い酒寄越せとねだってきたらしい。

 姉に言われて翌日、大吟醸を献上したら、またまた夢にまた出てきておつまみも催促されたらしい。

 うん、紅白こうはく赤白せきはくのような神様やな。

 1日1回私たちと同じ食事・おつまみ・お酒をお供えすることにした。

 手抜きしたら姉が怒るので、頑張っている。しかし、高い酒ばっかり要求するのは本当にやめて欲しい。財布に嫌がらせせんといて!

「う~ん、結構使ったからお金を稼がないとヤバイな」

 通帳と睨めっこしながらぼやく姉。私はヒョイと顔を覗かせた。

「100万円切っているやん。ヤバくね?」

「正直ヤバイ。社とビルの改装・購入で結構お金使ったしな。金貨換金するにしても、一気にしたら色々面倒やから自力でお金稼がんとあかんのよ」

「化粧品セット(良)を販売したら?」

「コピーすると(普)になるんよ。神託のスキルをポイント使ってⅢⅩまで上げたからなぁ」

「また勝手にポイント使ったん! 一言相談しぃや」

「緊急やったんやから仕方がない! それよりも、これからどうするかや」

 うーんと二人して唸っていたら、アンナが奴隷買いを勧めてきた。

「奴隷を買いましょう! 人手不足も解消されますし、生産性も上がります」

 確かに生産性も上がれば、受注発注の規制も解除される。

 アンナさんの言う事は最もだけど、お金ないしな。

「は? 何で宝くじ!?」

 姉がビックリして独り言喋っとる。とうとう頭が壊れたんか?

「いきなり何なん。宝くじとか言っている場合ちゃうやろ」

「いや、ヘビ様が明日の10時に●◎駅前の宝くじ売り場で宝くじ買えっていうお告げがあってん」

「金に困っているから助けてくれるんやろうか?」

 でもあの神様、そんな玉やないと思うんやけどなぁ!?

「お告げもあった事やし、皆で宝くじ買いに行こう」

 幸運値の高いティムカルテットも連れて、宝くじを買いに行った。

 スクラッチとジャンボな宝くじを1枚ずつ買ったら、全員当たりました。

 イザベラは300円だったけど、他は1等や2等といった具合で高額当選した!

 姉の神託に感謝である。蛇様有難う!自分の食い扶持も稼いでくれる神様に感謝であった。

 当面の生活費や何やで消えるだろうお金だが、色々とケチらなくて済むなら有難い話ではある。

 次は人員調達するためにサイエスに戻る事になった。





 王都の宿に戻り、まず最初にした事は宿を出て商業ギルドに皆で向かった。目的は一軒家を買う事だ。

 やっと本拠地っていうか、家を購入出来るのかと思うと、日本とサイエスの行き来で時間を気にしなくて済む。

「済みません。家を買いたいのですが」

「家ですね。畏まりました。担当を呼びます」

 受付嬢が、魔法具で不動産担当を呼んでいる。

 数分後に、七三分けの眼鏡を掛けたインテリ系おっさんが出てきた。

「ハウル・シルビアと申します。こちらへどうぞ」

 通された部屋は、皆が座れるくらいの余裕がある大きな部屋だった。

 でっかい円卓のテーブルは綺麗に磨かれている。

「物件をお探しとの事ですが、どのようなのがご希望でしょうか?」

「白金貨10枚前後でお風呂の付いた広めの家を探しています」

「!? お支払いは即金になりますが大丈夫ですか?」

 白金貨10枚と言ったら驚かれた。しかも、金払いの心配までされた!

「大丈夫です。お金ならありますので」

 姉はウエストポーチに手を突っ込み、メディションホールから白金貨10枚取り出した。

 テーブルの上に置かれた白金貨を見て、インテリ眼鏡はゴクリと生唾を飲んだ。

「た、確かにお金はあるようですね。いくつか候補があります。ご案内致します」

 お金を仕舞い、物件を案内して貰った。

 色々見て回ったが、これと言って良いのが無い、

「一応、お客様の条件に合うのがあるのですが曰く付きでして……」

と歯切り悪く切り出された。買わないと思われたのか?

「見ます」

 姉の言葉に私が、何でそんな曰く付き物件をー!!と文句を言うも無視された!酷い!現実世界の物件だって私に押し付けた癖に!!

 案内されたのは、商業ギルドから徒歩10分。丁度、貴族と庶民が住む区画の堺にあった。

 厳密に言えば元貴族の家らしい。

 確かに立派な佇まいで大きな庭も付いている。

 中も部屋数が多くリビングも厨房も大きかった。

 何よりお風呂が広くて気に入った。

「良いね! ここにする」

「いや、良くないから! この禍々しさ気付かないの?」

禍々しいどころではない!超呪われてる!しかもうじゃうじゃとウザい程、呪い殺すでぇと囁きが聞こえてるんだが……

 ワウルが超怯えているじゃねーか!!このヘタレめっ!

「そんなの気付いているよ。呪われてても問題ないし、ここを買います!」

 ハウルは、え? 本当に買うの? と目を丸くしている。

「で、では、一度ギルドに戻って売買書をお渡しします」

「はい、お願いします」

 姉は即金でお支払いし売買契約書を貰って、意気揚々と曰く付きの館へ戻って来た。

 その間、私は盛大に愚痴るも誰も相手にされなかった。納得いかねぇ。

 曰く付き館に到着して、姉は私に神聖魔法のヒールを館全体に掛けろと言って来た。

留美生るみな、敷地全体にheelヒールを掛けて。全力でな。MP切れ寸前までやれ。MPポーションはあるから安心し」

「何でやねん!」

「お前のheelヒールの方が、浄化出来るやん。お前、対アンテッド系には絶大な効果を発揮するheelヒールをいつ使わんでどうすんの」

「だから、曰く付きで安く売られているこの館を買われたんですね」

 納得とアンナが頷いていた。

「どうせ叩き売りしているんやろう。これ、正規の値段で買おうとしたら白金貨10枚じゃ足りひんで」

「そうですね。安く見ても白金貨80枚は要るかと思います」

「やろうね。てなわけで、サクッとheelヒールしてや」

 姉がくしろとせっつくので、私は渋々heelヒールを敷地全体に渡るように掛けた。

 ギャーとかウァァワアアとか変な声も聞こえたが、強制的に昇天させられた悪霊だから問題なし。

 MPポーション片手に連発ヒールと止めのエリアヒールで息絶え絶えな私に

「お疲れ様」

滅茶苦茶良い笑顔の姉。

「ほんまごっつう疲れたわ」

 ゼイゼイ言いながら、MPポーションを煽った。

「これで浄化完了したし、住めるな!」

と言いながら姉が扉を開けたら、空けたメイドが立っていた。

 姉が思わず扉を閉めていた。

 見間違いか? と思ってもう一度開けたら、メイドが立っている。

留美生るみなheelヒールを食らっても成仏しない幽霊って初めてみたわ」

「スケルトンキングを一撃で倒すくらい強力なのに、凄い精神力ですね」

 姉の呟きにアンナが感心したように同調する。

「いや、そこちゃうやん! 何で成仏してへんことに焦ろうや」

「そこのメイドちゃん、悪いんやけど。これから此処に住むから成仏してくれへん? 嫌なら、無理矢理昇天させるで」

「待って下さい。危害を加えるつもりはないんですぅ!! ここに縛り付けられていたせいで、自力で成仏出来ないんですぅ」

「じゃあ、害はないと?」

「はい、ありません!!」

 半泣きになりながら必死に無害アピールする幽霊メイドを見て、姉が唸った。

「じゃあ、私の従魔になる? ティムすれば、好きな時に成仏出来るし此処にいても良いよ」

 何を思ったのか姉は幽霊をティムする気満々になった。姉がティムっとるのは訳アリ物件ばっかやな。

「はい、はい! それでお願いしますぅ」

 姉は幽霊をティムし、その幽霊にパンジーと名付けたら、パッと身体が光り額に太陽の模様が浮き出ていた。

 ステータスを確認すると幽霊メイドではなくなっていた。

---------STATUS---------

名前:パンジー

種族:ドモヴォーイ(家の精霊)

レベル:25

年齢:18歳

体力:∞

魔力:0

筋力:3

防御:3

知能:145

速度:27

運 :200

■装備:メイド服

■スキル:索敵∞・罠∞・メイド∞

■ギフト:[メディションホール共有化]

■称号:[レンの従魔]・[メイドの中のメイド]

■加護:[須佐之男命・櫛稲田姫命・阿迦留姫命]

■pt統合

-------------------------------

 

「今度は体力馬鹿が下僕になったんか」

 色々と酷いステータスである。ボソっと呟いたら

「阿迦留姫命様の加護が追加されとる。皆、ステータス見せて!!」

 姉がステ確認すると、全員が阿迦留姫命の加護が追加されていた。

 戻ったらお礼を言いに行かなければならない。きっと良い酒とかおつまみを強請られるのは分かっているので京都美味しいと評判の地酒とおつまみをスマホで購入しておいた。

「阿迦留姫命様の加護を貰ったから、幽霊からドモヴォーイに変化したんやな」

「どういう事なん?」

「阿迦留姫命様は、決断と行動の神様。美の神様とも言われとるんや。由来は、太陽のように赤い玉から生まれた阿迦留姫命様は新羅、古代の北朝鮮な。そこの王子と結婚したんやけど、王子が凄いモラハラ男で、それに耐えかねて三行半言い渡して日本に帰って来てん。夫を捨て海を渡り再出発した阿迦留姫命様は、女性達に機織りや楽器などを教えた事で『決断と行動の神様』『美の神様』として女性達の信仰を集めたんよ。多分、それが影響して変化したと思う」

「日本最古の国際離婚やと思うわ。凄いな阿迦留姫命様。むっちゃ尊敬するわ」

「新しい仲間も加わった事ですし、今日は宴会にしますか?」

とアンナが提案した。

 アンナさん、宴会ってあんた飲みたいだけやろう!!と思っても口には出さないでおく。

税金対策とか不動産購入とかで色々と姉にこき使われたのだろう。労いも込めて私はお酒のストックを確認する。

「家の精霊になったお祝いも兼ねて宴会にしよう! 明日からやる事はいっぱいあるで」

 こうして新しい家を購入したら、私のheelヒールで浄化されなかった新しい仲間が漏れなく付いてきた一日だった。


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