神主を押し付けられました
私達が帰宅してから数時間後に姉が帰宅した。こっちは大変やったのに偉い機嫌良えな。
「お疲れ気味やね」
姉の気遣いにイラっとしながらも今日の顛末を語った。
「ワウルは店員さんに丸投げで良かったんやけど、イザベラがなぁ……」
「何かあったん?」
「ごっつうセンスが悪いねん。色んな意味で残念過ぎて、軌道修正しようにも、ガンとしてこれが良いって聞かんくて。趣味悪い服や痛パソコン、痛スマホになった」
と見せられた(イザベラにとっての)戦利品を見せられ、ウッと言葉に詰まった姉。
ハーフタレント並みに可愛いのに、アキバ系オタクの趣味で固められていた。
「室内なら良いんちゃう? 外出用は別に買うか、あんたが作れ」
「そうする」
折角可愛い売り子が出来たと思ったら美麗なキャラグッズにしか興味が無いという残念仕様。是非ともサイエスでは私の趣味を着て貰おう。
姉と話していたら、丁度姉のスマートフォンに着信が入った。
姉が電話に出ると、不動産の人からだった。
「はい、山田です」
『●×不動産の渡です。例のビルの件なんですが、3000万円でOKが出ました』
「じゃあ、明日伺いますので書類の用意お願いします。現金用意しておきます」
『分かりました。でも、本当に良いんですか?』
「大丈夫です。宜しくお願いしますね」
『分かりました。では、明日宜しくお願いします』
「はい」
ピッと電話を終えると姉に不審な目で見れば、曰く付きのビルを購入したと爆弾発言された。馬鹿たれ!!!
「馬鹿ちゃうん! 何でそんなん買うん」
「安いし、立地も良いし、交通の便も良かったから。それに、伊勢まで行って天照大御神様から勾玉貰ったから何とかなるやろう」
姉がメディションホールから取り出して翡翠の勾玉を見せた。
滅茶苦茶神々しい。うん、こう背中がザワザワするわ。
「何これ、むっちゃ神々しいんやけど」
「そりゃ、神様から直接貰ったもんやからな。八坂神社に皆で行って貰った加護のお礼して、姫嶋神社に行って非礼と神社再建の報告をしに行くから、明日から忙しくなんで」
アイエエェ!!とビックリしているのに姉は、私を置いてきぼりにしたいのかドンドン先に話を進めていった。
てかね
「神社の再建ってどこにすんの?」
ビル建ってんのに社をどこに構えるんや?
「ビルの屋上。挨拶が済んだら宮大工に依頼や。それまでは、簡易のお社を最上階に設置してお祀りするから。あんた、神官のスキルあるやろう。スキルポイント振るからレベル上げて神主さんの代わりが出来るようにしときや」
姉に神主代わりにされた!ぶっちゃけ祝詞なんて知らんで!?無茶ぶりも良えとこやろ!
「何ちゅう無茶ぶり!!」
「何のためにスキルがあると思うねん。使えるもんは使え。本住まいに移る際は、ちゃんと姫嶋神社から神主さん呼んで移すから安心し」
「全然安心出来ひんわぁー!」
と絶叫したが無視スルーされた。
それから何やかんやあって、無事に社も建ちビルへお引越しする事になった。




