昇級試験再び
昇級試験当日、私は姉に対して盛大に切れたよ!だって急に昇級試験あるからねって、もっと早くに言えよって思わん?
姉はいつも報・連・相は大事だねって言いまくってる癖に報告のほの字も無かったやん!
ガウガウと姉をギチギチに〆めて再確認してやったわ。
冒険者ギルドへ向かったら、ギルドマスター直々に迎えてくれた。
姉よ、一体冒険者ギルドで何をしたんや?やけにギャラリーが多い。
イケメソ風なおっさんが
「まずは、個別戦とパーティー戦を行い、総合を評価してランクアップするかどうかを決める。元Sランクの私が直々に相手になろう」
「連戦になると思うんですけど、大丈夫ですか?」
「問題には及ばない。こう見えても頑丈で体力はあるからな」
姉とおっさんの会話に私は本気でおっさんを心配した。手加減出来ねぇチーム相手に連戦って本当にアホなんやろか?Sランクが弱いとは思わんが、連戦は控えた方が良えと思うで??
個別ならアンナ・姉・ティムカルテット・私の4組みを1人で相手するんやし。
アンナはともかく、他は瞬殺されるか新しい技の実験台にされるか、手加減出来んから最悪コロコロされるかもしれない。
私ら手加減なんてスキル持ってないからね。
「私の従魔は、従魔同士で連携して戦うスタイルので4匹纏めて1人とカウントして貰えますか?」
「君の従魔は、変わった戦い方をしているんだな」
姉よ微妙な顔で私達を見るなよ。
「まあ、色々あるんですよ」
「取敢えず、レベルの低い順から行いましょうか。最初はアンナで、次がティムカルテット、その次が留美生、最後は私の順番で良いかな?」
姉よ、良い選択だと思う。
「留美生、M85とドラゴンフライの使用は禁止な」
「そんな! どうやって戦えっちゅーねん」
「聖魔法で戦え。もしくは、お前が作った武器で戦え」
使えない神聖魔法でどうやって戦えちゅーねん。実践式ならM85投入してくれたって良えやん。
物理しか許さんとメンチ切る姉に私は溜息を一つ吐いて、アンナさんやティムカルテット達の戦いぶりで使用するか、しないか検討する事にした。
<ポイント振ったるから、それで何か取得しとけ>
姉から念話でスキル取得しとけと言われたので、渋々だが了承した。
速度が無いんだよなぁ。速度が一瞬でも上がるスキルを取得したい。良いのあるかなぁ~と思案していたらピコンと俊足とあと力がいるので、剛腕のスキルが出た。斧を使うなら片手斧だよねぇ。俊足スキルは、一気に間合いを詰めたり、距離を大きく取るのに活躍するスキルのようだ。永続して使用するのは無理ってことらしい。
剛腕と片手斧はそのまんまやな。
私はそれぞれのスキルを取得しレベルをⅩまで上げる事にした。
「じゃあ、訓練場に案内するから付いてきてくれ」
ジョンを先頭に移動を開始するレンパーティとギャラリーご一行様。
ギャラリーが観戦出来るように円形の闘技場になっている。
ひぇ、公開プレイって私の趣味じゃないんですけどぉ。
「非公開で昇級試験受けられないんですか?」
「不正がないように公開しているから無理だな」
このおっさん可哀想に。5連敗するのを公開プレイさせられるなんて!!姉よ、フォローは入れないんだろうな。
「じゃあ、アンナからお願いします」
アンナから順番に模擬戦闘を行う事となったのだが、アンナの初撃でジョンはノックアウトした。
本当に元Sランクだったのか?弱いじゃないかっ!!
姉がウォーターボールをぶつけて叩き起こす。手荒やね。でも連戦を選んだのはおっさんだから仕方ないな。
「はい、次ティムカルテット」
選手交代し、ティムカルテットの熟練した連携とチートアイテムの前でまたもノックアウトされた。
同じようにウォーターボールで叩き起こしヒールを掛けてから、
「はい、次は留美生」
「嫌やー。こんなん使いたくないわぁ」
ティムカルテットが作った肉球斧を担いでぼやく私に、
「昇級してあんたの装備品の販路が確保出来たら、今度こそドワーフの洞窟にいけるで」
と、ドワーフの洞窟に行けると姉が言ったので私はやる気になった。
自分に連続ヒールを掛けながら新しいスキル俊足で、おっさんに突っ込んでいく。
数撃受けるが連続ヒールと強固な防具に高い体力の前には焼け石に水の状態。
ズパンッと力任せに振り下ろされた斧が、おっさんの剣ごと叩き負った。
剣が折れると同時にジョンの身体も切られて血が噴き出ている。
やっべ、やり過ぎた!一応頑張って手加減してみたんだけどブッシャーと返り血を浴びてもうた。
ちょ、し、死ぬ、死ぬ、死ぬ!!おっさんが死んだら色々と迷惑が私に掛るやん。頑張ってヒールを掛けるも闇属性以外はポンコツなので止血がやっとだった。
それを見て姉が
「サクラ、あのおっさんにエクストラヒール掛けてあげて」
<分かったの~。えい!>
可愛らしい声で詠唱破棄でエクストラヒールを掛けるサクラ、ゲバ有能!
サクラのエクストラヒールで完全に傷が塞がったジョンを、またもウォーターボールで叩き起こす姉。鬼やな。
「残るは私だけなんですけど、私手加減出来ないんで死ぬかもしれませんけど大丈夫ですか? あ、言っときますけど。私このメンバーの中で一番強いですから」
お前が単にレベルが一番高いだけやろう!!ティムカルテットと戦ってみぃ、あいつ等レベル無視して殺戮しまくるで!
「もういい。十分分かった。全員Sランクだ」
私以外は初撃で昏倒させられ、私には致命傷の一撃を受けるという不運さ。
そもそも、レベル的にも大きな差があったのだ。
それをアンナの時点で見極めていれば、公開処刑にならんかったのになぁ。
まぁ、姉と戦わずにSランクにしたのは賢明やな。姉が戦ってたらほんまにコロコロされてても文句言われへんで。
「じゃあ、ギルドカードの更新お願いします。後、素材の買取もお願いしますね」
王都に来るまでに狩ったモンスターの素材を半分だけ放出したら、また驚かれた。
AランクやSランクに該当するモンスターをどうやら狩っていたらしい。
魔石以外の素材は、全てお金に変わりました。
何もせずとも討伐達成でお金が入るって素晴らしいね!
一気にお金持ちになりました。
現在の所持金:金貨30816枚、銀貨44079枚、銅貨258647枚、青銅貨106705777枚
手元に金貨100枚残して、それ以外は全て貯金させて貰った。勿論、私が商業ギルドに売ったデタラメ仕様な杖の代金白金貨150枚もだ。
結構貯まったわ。ウハハハッと笑う姉の眼は金に変わっていた。




