ACT47 ティムカルテットの悪だくみ
契約カルテットに食糧を食いつくされた私です。
契約カルテットにはお仕置きと称して罰則を与えてますが、腹の虫が収まらん!!納得出来るかぁ!!
ウガーと私は怒り心頭にガツガツと買い物籠に食糧を入れていく。後ろで宥子とアンナが居るけど、一言も発さない。特に宥子よ、お前いつもならアレ買って、これ買ってって私に沈められてるじゃない。今日は大人しいな。
「何か買いたい物はないの?」
私の言葉に宥子がパアっとなった。ほんまに単純な奴だな。
「良いの?」
「ダメって言ったら諦めんのか?」
「嫌、無理。」
「だろ。酒の補充もあるからアンナと一緒に選んどいて。今回は契約カルテットのせいだし買ったる。」
あの馬鹿共のせいで出費が嵩む。ササっとアンナを連れて売り場に出た宥子を尻目に私は必要な物を籠の中に入れて行った。
宥子と別行動してから20分、そろそろ戻ってくる頃だろう。
私は会計の列に並びながら宥子を待っていた。その時、事件は起きた。糞婆が割り込んできた。
私はカチーンとして婆に一言物申そうとしたら、宥子が鬼の形相で
「そこの糞婆っ!順番守らないならこの店使うな!!」
カートを押しながら仁王立ちしていた。ちょっ、宥子よ、その荷物買う予定じゃないだろうな!?
「な、何ですってぇえええええええええ!!誰が糞婆よ!」
「喚くな糞婆。横入りした厚顔無恥なお前の事じゃ!」
ズカズカとこっちに寄って来る宥子とアンナ。この勢いであの荷物も買う事になったらどうしよう……
「まっ失礼な!私は急いでるのよ!アンタみたいな若者が使う店じゃないの!もっとアンタに相応しい店に行きなさい。」
宥子がスタスタと私の前に立ち糞婆を可哀そうな目で見つつ
「痴呆か。なら仕方ないわね。婆ちゃん、あのね此処はお店なの。お買い物するところなのよ。婆ちゃん一人で好き勝手にしたら駄目なの。保護者の人いないんでしょ?警備員さん連れて来てあげるから婆ちゃん此処で待っていてね。」
糞婆を痴呆婆扱いしよった。プルプルと糞婆が怒りに震えて真っ赤になってる。周囲からクスクスと笑い声まで聞こえる始末。宥子よ、えげつないな。
「容子、これ追加分。この婆さん痴呆入ってるみたいだし、周囲に保護者らしき人も居ないから警備員さん呼んで来るわ。ちょっと待ってて。」
颯爽と警備員さんを呼びに行こうとする宥子に、とうとう婆が切れた!
「私は痴呆じゃないわ!何て失礼なの!?大体若者ときたら……ふじこっふじこっふじコッコー」
痴呆じゃないと叫びながら若者批判をし周囲の反感を更に買う糞婆。その姿に宥子が指さして
「なら常識が欠落した糞婆だな。あんたみたいな糞が社会を語るな。若者の金で暮らしてる年金婆。社会のルールも守れない屑がっ!逆に言ってあげるわ!割り込みするような常識外れの糞婆が利用出来るような店じゃない!お前に似合う店はもっと下品な店っ!サッサと居ね!!」
殴りかかって来た割り込み婆をスイっと除け、周囲にバレん程度に足を引っ掛け転倒させた。
「痛ーい!!アンタ、私に足を引っ掛けて!慰謝料払いなさいよフジコーーーーーーー!」
喚く婆に
「あんたが殴りかかって来たのを避けただけじゃない。勝手に被害者面しないでよ。」
絶対零度の眼差しで見下す宥子。
周囲の人も宥子の言葉に同意し
「そうだな。婆さんが勝手に横入りした上に注意されて逆切れ。しかも暴力を振るおうとして避けられて転倒したからって慰謝料って馬鹿じゃね?」
後ろの列に並んでいた女子高生の言葉に
「そうよね。割り込みして図々しいったら無いわ。この店に相応しい人間って、お婆ちゃんw全然相応しくないわよ。」
ママさんに止めを刺されていた。
誰かが呼んだ警備員に糞婆はドナドナされ、私は宥子が持ってきたワゴンの会計を一緒にする事になる。
酒類が多いな。宥子が好きじゃないカクテルもあった。これはアンナの分かな!?二人とも遠慮しないね。
こうして私は買い物を終わらせ、宥子とアンナと一緒に家に帰ったのである。
夜に宥子は買って来た酒でアンナと一緒に酒盛りをしていた。私は、転がってる酒瓶を集めゴミの分別をしている。
酒好きの宥子と渡り合えるアンナも酒豪なのか?良い飲みっぷりではあるが、楽しそうで何よりである。
突拍子もない世界に連れてこられて、色々と苦労してるだろう彼女が息抜き出来れば良いが……
てかそろそろお開きにして欲しい。明日もあるのだし
「宥子、アンナ、それが最後だよ!今日のお酒は終了しました!チャカチャカ飲んで、歯を磨いて寝なさい!!」
サッサと寝ろとばかりに食べ散らかしたおつまみ等を回収していく。二人とも酔っぱらってヘラヘラと笑っているだけ。
こりゃ明日は二日酔い決定だなと思いつつ私は宥子とアンナをベットへ促すのであった。
私が就寝した後、契約カルテットが不穏な動きを見せていた。
<皆良えか!?>
<大丈夫やで!>
<準備万端ですのぉ!>
「キシャシャ!」
四匹は暗闇の中でゴソゴソと動き出した。
<人間の姿に擬態出来る能力は、今のわし等にはない!だったらスキルを使えば良えねん。>
<せや!スキルポイントは、元々はわい等の物や。それを共有化してしまったんや!このままやとずっとマウスと乾パンの生活を強いられるで!>
<それは嫌ですのぉ↓>
「ギギギ↓」
<だから宥子にスキルをわし等に取らせるんや!>
<<<おー(ですのぉ)!>>>
「キッシャシャー!」
一致団結を見せる契約カルテット。彼等は宥子の部屋へ突撃するのであった。
酒に泥酔して眠りこけている宥子に赤白が宥子の耳元で
<宥子、わし等に擬態のスキル付けてーな。このメロメロボディ触らせてあげるでぇ>
誘惑し始めた。
サクラは宥子の手の平に身体を乗せプルプルする。宥子の手がサクラをニギニギしてニヘラと笑った所で
<擬態のスキル付けてくれたらもっとサービスしたるで??>
シュルルと腕に巻き付く赤白。硬質でツルツル感のある触手で宥子の顔を撫でる楽白。息の合ったチームプレイに宥子は無意識の内に
「良いよぉ~」
了承しヘラヘラと笑っているのであった。夢の中とはいえ、言質を取った契約カルテットは
<今からわし等にスキル取得させてやぁ>
<もっとメロメロになるからぁ~取得させて欲しいのぉ~>
「キシャシャ!!」
メロメロ猛攻撃をし、宥子は寝ぼけて契約カルテットにスキル:変化を与えてしまったのである。
スキルを貰った彼等はササササっと宥子から離れ自分の寝床に戻るのであった。哀れ宥子。
次の夜から契約カルテットが変化の練習に勤しみ、宥子を筆頭に心配させられる事になるのだった。




