ACT46 山賊の手
「嫌ぁああああああああああああ!!!!」
帰宅したら冷蔵庫が契約カルテットによって荒らされていた。
飲兵衛の二匹に甘い物を中心にガツガツと食べまくってるサクラと楽白ちゃんの二匹。
一週間分の食糧とお菓子が消えた!
「ゴラアアアアアアアアアアアアアア!!この糞蛇ぃ!!」
呆然となっている私を余所に宥子が泥酔している馬鹿蛇二匹を締め上げていた。
<あー宥子が居るぅ~>
<鬼が居るぅ~>
デロンデロンに酔っぱらっている馬鹿二匹を
「何で冷蔵庫を開けられたんだ!?」
この野郎とばかりに二匹を持つ手に力が入る。
<もうちょっと優しくしてーなぁ。>
<わし等の魅惑のBodyが傷付くやないの~>
完全に酔っぱらいの戯言に宥子は標的を変え、酔ってないサクラを鷲し掴みにした。
<痛っ、痛いですのぉーーーーーーー!!>
「どうやって冷蔵庫を開けた!?」
サクラの悲鳴を無視して、鬼に変身した宥子は絶対零度の声でサクラに聞き出している。サクラも宥子の鬼の形相に怯えたのか、身体を高速プルプルさせていた。楽白も宥子の形相にシャカシャカとお菓子の袋に身を隠している。
「あぁ、一週間分のご飯が……しかも奮発した高級チーズやビールとか無くなってるじゃねーか!!」
ビールの言葉に宥子が
「私だってビール飲みたかったのに!!節約って発泡酒しか飲んでないのよ!今日という今日は絶対に許さないからね!さぁ、キリキリ吐くんだ!何で冷蔵庫を開けれだんだ?」
ブチっと切れた。宥子はサクラを握る手に力が入った。痛い~と喚くサクラの言葉は丸っと無視している。
<うぅ、赤白と紅白がマーちゃんの材料使って何でも開けれる物を作ろうって皆で作ったんですぅ~。それでぇ酒盛りするってぇ~>
ブルブルと怯えながら宥子を伺うサクラ。それよりも私はサクラの言葉に
「アトリエ見てくるわ!!」
アトリエを見に行った。アトリエに置いてた素材の四分の一は使われていた。
「マジか……」
しかも作りっぱなしで道具とか床に散乱している状態である。
「あいつ等、これ片付けるの誰だと思ってるんだ!?しかも素材使い込みって宥子から渡された分だったのに!!」
駄目だ、とばっちりが来る。
私は、アトリエを後にして馬鹿共が居るキッチンへ向かった。
「あんた等には素材渡してないでしょ!!」
ガミガミと説教する宥子に
<素材はマーちゃんのだもん~>
悪くないよ!とばかりの主張に
「容子、あんたどんな管理をしてるの!?」
ギンっと私を睨む宥子。ヒィっと悲鳴を上げそうになるのを我慢し
「ちゃんと管理してたよ。それより素材使用禁止が出てたのに私の素材を使うとは思わないでしょ!?」
「そうだけど実際に使ってるじゃない!アンタの管理の仕方が悪いんじゃないの!?」
言い訳するがキッパリ責任を押し付けられた。
「管理の仕方はアンタと同じだし。それだったらアンタの管理の仕方も悪いって事になるじゃん!!」
と言い返したら
「何これ?」
宥子が床に転がっていたグロイ手を模した何かを手にし鑑定したところ
「山賊の手:これを使えば何でも開ける事が出来る。ってコレが原因かよ!!」
えげつない鑑定結果に流石カルテットと溜息を吐いた。作った動機が飲み食いしたいって事なんだろうけど酷過ぎる。
ちゃんと餌あげてたじゃん。お酒だって宥子に内緒で飲ませたのに裏切りやがってぇ!!私の素材パチって良いって考えに何で至るかなぁ?
「取り合えず、それ没収しといて、原因の二匹が素面になってからカルテットを叱ろうや。そう、地味に嫌な感じでジワジワとお仕置きしないと気が済まない。」
食材と酒に手を出した罪は重い!今度ばかりは許さんからな。蛇ちゃんズはマウスのみ!サクラと楽白ちゃんは乾パンの刑にしちゃる。嗜好品一切なしで!
「それもそうだけど、あまり過激な事はしないようにね??」
何故か宥子の怒りが解けたようで、私は大丈夫とニヤっと笑ったら引かれた。何故だ?
翌日、私達VS契約カルテットの構図で昨日の醜態の言い訳を聞く事にした。
「何でこんな物を作ったんだ。目的は何!?」
私の問いに
<わし等もミオンモールって所に行きたかったん。買い物も一緒にしてみたかった!それやのに連れてってくれへんかったやん。>
ブーブーと文句を言う赤白に追撃する紅白
<せやで!わし等も一緒に行きたかったのに強制的にお留守番って酷いわ!三人して美味しい物を食べてたんやろ!せやからわし等も美味しい物を飲み食いする権利はあると思うんや!>
「バッカじゃない。そんな道理が通ると思ってんの!?人間に化けれるようになってから良いな。アンタ等が使い込んだ素材は、あんた等の食費から補填するからな!蛇ちゃんズはマウスのみ!楽白ちゃんとサクラは乾パンが素材代完済するまでずっと同じ食事にするからな!甘えたは許さん!」
<<<嫌(や・ですのぉ~)>>>
「キシャシャーシャー」
四匹が凹む姿に私は同情しない。アトリエと台所の冷蔵庫を食い散らかした罰だ!特に蛇ちゃんズは許さん!
「宥子、絶対にカルテットのメロメロBodyに誘惑されて許すなよ!私は絶対に許さんからな!お前等完済するまでマウスと乾パンの刑じゃ!嗜好品は一切なし。これでもまだ甘い方だ!!」
ギンとカルテットを睨む私に
「容子、それはちょっと酷くないか??」
宥子の言葉に
「何が酷いの!これでも生易しい方だよ。絶食の刑でも良いんだよ!?コイツ等、アトリエも片付けせんと食い散らかした挙句、私達の食事にまで手を付けたんだし!しかも一週間分もな!許さない。絶対にだ!」
バッサリと切り捨てた。
「宥子、アトリエの片付けがあるから戻るけど、ちゃんとコイツ等に言い聞かせておいて。あと阿保なグッズも仕舞っといて。」
私はそう言い残して、アトリエに戻った。アトリエで片付けと契約カルテットのお気に入りグッズを処分した。
私の人間に化けれるようになってからという言葉を四匹は真に受けて、後日習得して問題を起こすのだった。




