ＡＣＴ３８ サイエスへ行こう！
宥子が何やらしている中、私はヒーヒー言いながらサンプルを作っていた。やっと一箱終えた所で、夕飯を食べてた時に宥子が
「容子、どこまでサンプル作れた？」
「箱一個分、バック系とアクセサリー系は作った。やっぱり良は７割ぐらいで後は並になるねぇ。その辺はどうするの？」
「へぇ、良が７割って上出来じゃん。並はサンプルで格安で出しても良いけど、その辺はサイエスに行って考えるわ。」
「さよか、今度はいつ行の？」
ふと気になった質問に宥子は
「明日の朝一にサイエスに行くから、準備して寝なよ。」
ＤＱＮな事を言いだした。何て無茶ぶり！！
「まだ全部作れてないよ！！」
私の悲鳴に宥子は
「アクセサリーとバック系のサンプルが出来てるなら別に大丈夫。衣類系も欲しい所だけど、軍資金を毟り取りに魔物を刈りつくすわよーーーーー！！」
お金、お金とニマニマしながら狩りの予定を立てているようだ。
まぁ、ここ最近ずっとアトリエに籠って只管サンプルを作ってたし、ストレス発散に魔物をボコるのも良いなぁ。
素材も欲しいし
「りょ」
と返事し、各々明日の準備をして寝るのであった。
ふ、戻って来たぜサイエス！！
「宥子よ、この後はギルドか？」
「ギルドは私一人で行ってくるわ。アンタは此処で待ってて。待ってる間にサンプル品量産しておいてね！！」
アディオス！とばかりに言い捨てて出て行った宥子に
「ふざけんじゃねー！！！！！また缶詰かよ！？折角ボコれると思って来たのに！？酷いわぁ！！」
ギャンギャンと喚く私に
<まーまー落ち着きぃな。鬼婆みたいやで！>
赤白の暴言に
<誰が鬼婆じゃぁゴラァアア！！蛇酒にすんぞ！>
私は赤白の身体をむんずと掴んで睨む。赤白は、私の視線も気にせずケロっとして身体をプラプラさせていた。
<それよりもサンプル作ってしまえば良えやん。宥子に素材融通して貰えば好きなん作れんで？？>
御尤もな紅白の言葉に赤白の身体をポイっと投げ捨てた。
後ろで痛いと文句が聞こえたが無視した。
<ドロップアイテムで欲しい奴を抑えるチャンスやん。>
紅白の提案にそれもそうかと思い
<ディゼニーで格好良い服があったんだよ！それを戦闘服に手直しするのも良いなぁ。>
デザインを頭の中に書き起こしていく。
うん、作れるかも！！
<今はぁ、魔石ないですぅ>
サクラちゃんが現実を突き付けてきたが、契約チームで宥子を丸め込んでドロップアイテムを融通して貰おう！
<皆、宥子にドロップアイテムを最低でも半分譲って貰う為に協力してね！！>
<良えで～大吟醸な。>
飲ん兵衛な赤白に
<お米の純生のロールケーキが食いたい！！>
何でも興味を持つ紅白。
<サクラはぁ、小倉くりぃむ生どら焼きなる物が良いですぅ>
食べた～ぃとばかりに高速プルプルを始めたサクラ。
楽白ちゃんをじっと見ればズルズルとパンフレットを持ってきてニャローケティのマシュマロクッションを指して謎の踊りを踊った。
楽白ちゃん。言いたい事は、うん…分かったから踊り止めないか？
<楽白ちゃん以外は飲み食いに走ってんのね。食意地はり過ぎだと思うわ。まぁ、良いけど、頑張って協力してくれたら良いよ！>
私の言葉に契約カルテットは輪になって相談し始めたので、私は大人しくアトリエに彼等を持って行きサンプルを量産するのに精を出した。
後に宥子が再び、契約カルテットに無視される日々が続き、私にドロップアイテム５割を約束させられる日が来るのであった。
